レオナルドの扉 真保裕一

 「約束したろ、ジャン。――空を飛ぶ時は一緒だって」 (本文引用)
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  本を読む楽しさを知ったのは、いつのことだろう。この小説を読み、ふとそんなことを思った。
 なぜなら本書は、「本を読む楽しさを知った頃のときめき」を鮮明に思い出させてくれた作品だからだ。

 国をまたいで宝探しをする、超弩級の歴史冒険譚。天才レオナルド・ダ・ヴィンチの「本当の」遺産とは何か?それを手に入れるのは、果たして誰か?
 誰も知らない歴史の扉が、今、開かれる。
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 舞台は、18世紀末から19世紀初頭のイタリア。時計屋の少年ジャンは、祖父ベルナルドと二人暮らし。父親は、かつてフランス軍がイタリアを攻めてきた際に逃げ出したと言われ、そのせいで二人は肩身の狭い思いで暮らしつづける。


 そんなある日、フランス軍の兵隊が突如、ジャンとベルナルドを襲う。フランス軍は、どうやらジャンの父親の行方を追っている模様。
 実は父親は、ただ逃げ出したわけではない。フランス軍からイタリアを守るべく、レオナルド・ダ・ヴィンチの遺産を持ち出し、姿を消したのであった。
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 あとがきによると、真保裕一氏は、かつてアニメーションの仕事をしていたという。売れっ子小説家としての地位をすっかり確立させているため、その経歴は意外だが、氏のこの志を聞けば思わず納得。 

「夢と冒険にあふれた物語を自分の手で作り上げ、多くの人に楽しんでもらいたい」

 真保氏はこの思いのもと、漫画、アニメ、小説の世界に携わりつづけているわけであるが、この作品を読むと、その思いの並々ならぬ強さがわかる。

 歴史上の超有名人ナポレオンと名もない少年たちとの追走劇、天才レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した謎・・・。「夢と冒険にあふれた物語」の要素が満載だが、特に良いのが「少年たちの固い友情」だ。

 主人公ジョンは、村長の息子ニッコロと医者の娘マドレーナと共に、ダ・ヴィンチの遺産を捜し出す。それは、ナポレオンの一団から逃れるという大変な苦難を伴うものだが、ジョンたちは、それを鮮やかに切りぬける。
 それは、3人の揺るぎない信頼関係あってのものなのだが、その友情には素直に感動できる。
 
 さらに、難局にぶつかるたびに、ダ・ヴィンチの遺産が思わぬ活躍を見せるという展開が、ゾクゾクするほど面白い。
 読んでいるうちに、「今では普通に使われている、歴史上の大発明」がなかった時代へとタイムスリップした気分になった。
 ついでに言うと、「誰でも知っているあの名画を、私はまだ知らない」という何とも不思議な気分にも。

 友情、正義、アクション、架空と事実との融合・・・エンタテインメントの要素が、カラフルなオモチャ箱のように盛り込まれた長編「レオナルドの扉」
 これを読めばきっと、「本を読む楽しさ、面白さを知ったあの日」がよみがえってくるに違いない。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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