日経新聞「ナゾ謎かがく」に、2冊の本を想う。

 11月16日の日経新聞「ナゾ謎かがく」が非常に面白かった。そして読みながら、ある2冊の本を思い出した。

 当該記事のタイトルは「生物、色をどう区別?」
 人間をはじめ生物たちは、どのように色を認識しているかを解説したものだ。

 それによると、「青」「赤」「緑」3色の光を重ねて「白」と認識するのは、「人間や一部の猿など限られた動物」だけ。
 他の多くの哺乳類や鳥類などは、人間とは異なる「色の感じ方」をしているという。

 一般的にも、以前から「牛は本当に赤い布に興奮しているのか?」「蜂には世界がどう見えているのか?」等について議論がなされているので、動物間での色認識の差異は多くの方が見知っていることであろう。

 記事では、網膜にある錐体細胞の種類の数から「色認識の差異」を解説し、またその種類の数の決め手を、進化の過程に求める。
 たとえば人間の場合、緑色の葉から赤い実を素早く見つけることで生存を有利にし、鳥は紫外線を見分けることで昆虫を得ることができた。要するに、生き残るために錐体の種類が増えていったと、こういうわけである。

 この記事を読み、私は2冊の本を思い出した。いずれも、先日当ブログでご紹介したものである。

 まず1冊目は、脳科学者池谷裕二氏の「進化しすぎた脳」
 本書のポイントは、「脳は、体の作りに比して進化しすぎてしまった」ということである。
 よく、人間の脳は一部しか使われていないなどと言うが、現在の人間の体に対応するには、それしかない・・・と言おうか、それで十分なのである。そして、その「体」は環境に適応している。
 要するに、我々を支配している順番は、「環境」→「体」→「脳」なのである。

 これはまさに、当記事が唱える「進化に沿った錐体の分化」である。
 その証拠に、「進化しすぎた脳」にはこんな解説もある。
 人間は全ての色を認識できているわけではない。人間の網膜が認識できる色しか見ていないだけだ、と。
 これら池谷氏の解説は、私の固定観念を覆すもので非常に面白かったが、今回の記事でそれが裏付けられたような気がする。個人的に、これはちょっと嬉しい。

 そしてもう1冊は、日高敏隆氏の「世界を、こんなふうに見てごらん」である。
 このたびの日経の記事では、生物の色認識を解説しつつも、「まだ未解明」ということを繰り返し訴えている。
 私はその点にたいへん好感をもったのだが、それはおそらく日高先生の本を読んでいたからだろう。

 日高氏は様々な理論について「あくまで、そうだろうと思うだけの話」と語り、「正しく見えることと、本当に正しいかどうかは関係ない」と断じる。
 そして、どんな理論を聞いても、それを真理と鵜呑みにすることなく、「なぜ?」の精神を持ちつづけよと主張する。





 科学系の本を読む度にそのまま飲み込んでいた私としては、雷に打たれるような衝撃的な本だったが、これも日経の記事とつながる。
 色の見え方など、結局のところ、その動物になってみないとわからない。あくまでそうだろう、というだけの話。そんな謙虚さが、今回の日経の記事からはうかがえる。

 以上、2つの点から、私はこの度の日経記事を興味深く、かつたいへん好感をもちながら読んだ。
 次回の「ナゾ謎かがく」も楽しみにしている。
 
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告