「はやぶさ2」と、立花隆氏の「有人宇宙開発無用論」

 日本経済新聞11月2日「SUNDAY NIKKEI サイエンス」目玉記事は、「はやぶさ2」。

 11月末に打ち上げられ、小惑星から砂・岩石片等を採取。2020年11~12月に帰還する予定だという。
 記事によると、あの話題になった「初代はやぶさ」は開発に約7年半かかった。しかし今回の「はやぶさ2」は、その経験を踏まえ、2年半で完成させたという。

 これが成功すれば、「宇宙の中で有機物がどのように進化してきたのか」、「どのようにぶつかりながら今の惑星や小惑星帯が生まれたのか」などの手掛かりがつかめ、ひいては「生命の起源」に迫ることにもつながるというからワクワクする。

 新しく搭載される装置・機能も見ものだ。
 小惑星到着時に人工クレーターを作る「衝突装置」がそのひとつだが、記事を読む限り、その発射先の地盤によって成否が分かれそうだ。
 岩盤のように硬いのか、砂地のような柔らかさをもつのか。それは「行ってみないとわからない」。2018年6~7月に向かえるというその正念場を、ぜひ見守りたい。

 さて、この記事を読んでいて思い出したのが、先日レビューした立花隆著「四次元時計は狂わない」だ。

 立花氏は、そのなかで「日本の有人宇宙開発に反対」の姿勢を明言している。




 その理由はふたつ。ひとつは「死のリスク」、そしてもうひとつは「費用対効果が合わない」ことだ。
 立花氏が、その趣旨の発言をしたところ、日本人宇宙飛行士から猛烈に反論されたらしい。

 その反論とは、
 「費用対効果で測れるものではない」
 「子どもたちに夢を与えられる」
 「宇宙がもたらす恩恵は、物質的なものでなく精神的なものであり、精神的な副産物のほうが大切だ」
 といったものらしい。

 そのような反論に対し、立花氏はこう返す。
 氏は「はやぶさ」の功績を「ノーベル賞級」と手放しで称え、「日本の独自性を発揮できる得意技術分野は、有人技術ではなく無人技術だ」と主張する。そして、「はやぶさ」3号、4号をどんどん送りこめと語る。(ちなみに「小惑星探査機 はやぶさの大冒険のレビューはこちら。)

 私自身は専門家でもなんでもないため、有人と無人、どちらが必要でどちらが無用かは判断できない。
 しかし、もう少し「無人宇宙開発のほうが注目されても良いのでは」との気持ちはある。

 というのも、以前、初代「はやぶさ」が帰還した際、私は上野科学博物館へ「はやぶさ」カプセルを観に行ったのだが、警備の厳戒態勢が虚しく思えるほど、そのブースにまで立ち入る人の数が少なかったからである。
 はやぶさ本体のレプリカまでは大勢の観客がいたのだが、いざ、その奥にある「はやぶさ」カプセル展示室に入るとガラガラ。かなり前方にロープが張られ、両脇にガードマンがいたことから、その展示物の貴重さが伝わってくるのだが、それを観ることなく会場を去る人が圧倒的に多かった。これが有人宇宙飛行の展示物だったら、おそらくどこまでも押すな押すなの大混雑になったであろう。無人宇宙開発はやはり地味なのだな、と思わずにはいられない光景であった。

 「夢」という点でいうのなら、そりゃあ人間が宇宙に行くというのほうが、わかりやすく華やかで夢がある。
 しかし、「無人」にも充分、壮大な夢がある。「有人」にはない夢がある。
 「はやぶさ2」の記事と、立花隆氏の主張から、それだけは絶対に忘れないでおこうと意を決した。

 「はやぶさ」後継機「はやぶさ2」。
 2014年11月30日、いよいよ多くの人の夢を乗せて52億キロメートルの旅に出る。
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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