新聞記事から、伊藤元重著「人生で大切なこと」を見る。

 先日、伊藤元重著「東大名物教授がゼミで教えている 人生で大切なこと」について書いた。
 そして今日、新聞で、本書に通じる内容のものを発見したので、ここに書き留めておく。

 まず「人生で大切なこと」が掲げる大きなテーマは、「人生を戦略的に考える」ことだ。
 しかし人生の戦略を練るためには、まず人生の目的を考えなくてはならない。ではその、人生の目的とは何か。
 そこで伊藤教授は、このような例を挙げる。 

かりに結婚して家族を持つという人生を選んだとすれば、幸せな家庭生活を築くということの方が、目先の仕事で成功するということよりも重要な目標であるということは明らかなはずだ。

 さらに伊藤教授は、こう続ける。


 優秀な人ほど、短期で成果が見えることに邁進しやすい。
 しかし、幸せな家庭を築くという努力は即効性がなく、長期的に考えなくてはならない。
 よって、すぐに結果が現れることに目を奪われ、伴侶が病気なのに仕事で帰宅しないといった行為につながり、本来の目的である「幸せな家庭生活を築く」ことに多大なダメージを与える。
 そんな本末転倒の結果となることに、伊藤教授は警鐘を鳴らす。
 そこで、本日9/19の日経新聞1面の登場だ。
 「Wの未来」の連載記事「俺に任せろ」第4回だ。
 (話はそれるが、この「俺に任せろ」シリーズ、9/17の「白一点の輝き」がとっても面白かった。
 家庭科教師を志す男性や、女子大家政科の大学院に通う男性等、目の覚めるような新鮮な内容だった。
 また、私の中にも、知らず知らずのうちに性別による差別意識があったのだなと、気づかされた)

 
 この回のテーマは「海外だって付き添う 『妻の仕事尊重』活力に」というものだ。
 英国演劇の研究者である妻に付き添うために、1年間育休をとり英国に渡った男性。
 妻の米国勤務をきっかけに会社を退職した男性。
 ・・・いずれも、一見突拍子もないように思えるが、伊藤教授の言葉を借りれば「戦略的に人生を生きている」のである。

 確かに、それによって生活があまりに苦しくなるようなら話は別かもしれない。
 記事によると、「妻の米国勤務をきっかけに会社を退職した男性」も、最初は妻に反対されたという。
 研究職という不安定な仕事で、家族を養うのは難しい、と。
 しかし夫は、家族との時間を選んだ。

 私の勝手な憶測だが、彼らは非常に長期的に人生を見つめているのだと思う。
 おそらくだいぶ悩まれたこととは思うが、彼らは「幸せな家庭を築く」という最大の目的からぶれることなく、長い目で人生を考え決断・実行したのだ。その意志と行動力は、心から称賛したい。

 しかしだからといって、夫婦ともフルタイムで働く人を批判するつもりは全くない。短期的にしか人生を考えていない、などと言うつもりは毛頭ない。
 夫婦、家族それぞれの形に合わせて、目先のことだけにとらわれず、長期的視野で「幸せな家庭を築くこと」を考える。
 その目的を念頭において戦略をたてれば、どんな形式だって構わないと思う。
 短期的視野で「子どもとの時間をたくさんもてば、こんないいことがあるに違いない」と拙速し、逆に家庭を壊してしまうパターンもあるだろう。
 戦略には、絶対というものはない。その人、状況に合った戦略を練っていかなければ意味がないのだ。
 前述の夫婦たちは、自分たちに合う形を探るべくじっくりと話し合い、結果、それを見出すことができたという点でも素晴らしいといえるだろう。
 
 かく言う私も、子育てについては短期的視野に陥りがちだ。
 そんな私の苛立ちが、最大目的を粉々にしてしまうのではないかと、日々反省してばかりだ。
 
 そんな時に、この書と記事に出会えたことに感謝している。
 伊藤元重教授、そして「俺に任せろ」に登場したご夫婦に、心から御礼申し上げる。
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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