クラスメイツ 森絵都

 だれだって、はげまされるよりは、はげましたいんだ・・・・・・。(本文引用)
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  「『認められたい』の正体」を読んで以来、妙に中学生の心理が気になるようになってしまった。
 いったいどうすれば、自分を認めてほしくてたまらないような、でも放っといてほしいような中学時代を乗り越えることができるのか。私もかつて中学生だったはずなのに、ウンウン悩んでしまった。

 そこで、この度読んだのが、森絵都著「クラスメイツ」
 とある中学校のクラスメイト全員が、各章でそれぞれ主人公を務める異色の群像劇だ。

 たとえばトップバッター、第1章の主人公は相本千鶴。彼女は、常に出席番号1番の苗字のせいで、学期初めはいつも一番すみっこの席になってしまう。
 そんなわけで友達作りに遅れをとりがちな千鶴は、後ろの席の榎本志保里に、勇気を振り絞って声をかける。

 2人はそのまま仲良くなり、とりあえず順調なスタートを切った千鶴だが、彼女にはもうひとつ「ある決意」があった。
 その決意のために、千鶴は志保里と共にさっそく行動を始めるが、その結果、気づいたこととは・・・?

 まずは、特に問題のなさそうな女子生徒の話から始まるが、次の章を読んで驚く。
 子どもたちが、これほどの不安と恐怖を抱えながら学校に通っていたとは。



 近所の幼ななじみの延長のようだった小学校時代とは違い、人間関係を自ら構築していかなければならない中学時代。
 しかし一度友達を作ることができたからといって、決して安心はできないのもまた、この世代の特徴だ。

 2人組が3人組になったり、秘密をバラされたり、魅力的な異性がいたり、ちょっとみんなにウケたかったり、髪型が気に入らなかったり・・・彼らは、さまざまなきっかけで心や人間関係のバランスを大きく崩し、めまいがするほど悩んでしまう。そして時には心の中に、小さな悪魔が住み着いてしまう。「あの子がいなければいいのに」「あいつ、ちょっとウザイ」と。

 文章はきわめて読みやすくて軽快。スイスイと読めるが、その分ストレートに、24人の人生の重みがズシンとのしかかってくる。
 それは大人から見れば浅はかなものかもしれないが、読んでいるうちに、彼らを放っておけなくなる。そして、そんな敏感な心をもつ彼らが、いつの間にか羨ましくなってくるから不思議だ。

 特に面白く読んだのが、第13章、生活委員の久保由佳の物語だ。
 誰にでも厳しく、クラスで煙たがられている由佳(アニメ「ちびまる子ちゃん」の前田さんのような人物)は、実はクラス委員長の座を狙っており(前田さんというよりも丸尾くんか?)、友人に推薦してくれるよう依頼する。

 しかし委員長候補には、人気者として盤石の地位をほこる男子や、成績優秀な前副委員長の女子がいる。お笑い芸人を目指す、クラスのムードメーカーも。
 ほぼ結果は見えている選挙ではあったが、投票の結果、由佳はひとつの希望を見出す。

 この物語を読んだ瞬間、ああ、この子たちは大丈夫だと心から安堵した。
 彼らはこれからも、幾度となく絶望を味わうだろう。生きていても仕方がないなどと、思うこともあるだろう。
 しかし、この由佳の物語を読み、彼らには、暗黒の中に一筋の光を見出す力があると確信した。その光は、おそらく欲深な大人には見えないものだろう。彼らを羨ましいと思った理由は、ズバリそこにある。

 1つとして同じものはない、24個のストーリー。
 それぞれに込められた、絶望と希望うずまく小宇宙をぜひ体験していただきたい。

 読後に見える風景は、今までよりも眩しいものであるに違いない。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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