「社長!それは『法律』問題です」~知らないではすまないビジネスのルール~

最近、この言葉がよく耳に入ってくる。

コンプライアンス

大王製紙の巨額借り入れ問題、オリンパスの損失隠し、そして巨人のお家騒動・・・。
特に巨人軍の問題では、記者会見の中でしばしば「コンプライアンス」という言葉が使われている。
多くの人は聞いたこともあるし、おおよその意味は知っているが、はて、この「コンプライアンス」とは結局のところ一体何ぞや?と思う人も多いのではないだろうか。
そこを実に
「わかりやすく、面白く、そして深く」
教えてくれるのが、今回ご紹介する「社長!それは『法律』問題です」である。




これは、弁護士・中島茂氏と、インディペンデント・コントラクター・秋山進氏との「企業にまつわる法律談義」をまとめたものである。
(※インディペンデント・コントラクター:組織から独立して、複数の企業とそれぞれ契約を交わし、事業開発や採用業務、株式公開などの専門業務を期限付きで請け負う人)

まずいきなり、「コンプラとテンプラの違いを説明せよ」との発問から入る。

これは決してふざけているのではなく、そんな質問をしたくなるぐらい、コンプライアンスという言葉が「形だけ」になっているということである。
そして中島氏は、「コンプラもテンプラも中身が肝心」といい、いまいちど「コンプライアンス」というものの本当の意味に迫ろうとする。

そして対談のなかで、中島・秋山両氏は言う。
「コンプライアンスとは、思いやりなのだ」
と。

法令遵守も結構だが、それで終わるのではいけない。
たとえば「法令遵守=コンプライアンス」と捉えると、個人情報保護法に照らし、
「うちの会社で扱ってる個人情報は5千名以下だから、個人情報取り扱い事業者を対象とした法律から外れるよね。だから顧客データの管理なんていい加減でいいよね」
となってしまう。

その考え方は、たしかに法には触れないかもしれないが、この話を聞いて、果たして「この企業はコンプライアンスの精神をもつ企業だ」などと考えることができるだろうか?
消費者からすればそんなことでは困るわけで、たとえ扱っている情報が1名であろうと、しっかり守ってほしいと考える。
企業側がそこまで考えられるか否か、そこが「コンプライアンス」に則ってるか否かというわけである。

そして中島・秋山両氏はこう話を進める。

未だに被害の耐えない「振り込め詐欺」(本書ではまだ「オレオレ詐欺」)。
ある日、お年寄りが郵便局にやってくる。久しく連絡のなかった孫から「●●という理由でお金がいる」という電話があったから貯金をおろしたい、と。
そこで「おばあちゃん、それ怪しいんじゃない?お孫さんに連絡をとってごらん」と局員が忠告してみたところ、やはりその電話は嘘だったという。
そして両氏は言う。
「この局員の対応こそが、コンプライアンスなのだ」と。
別に、局員がそうしなくてはならない法律などない。そこまで配慮せずに「ハイハイ」と貯金をすべておばあちゃんに渡しても、善管注意義務違反なんてことになるはずはなく、何の問題もない。
ただ、この「思いやり」こそがコンプライアンスなのだと、本書では強く訴えているのである。

法律に触れるか否かや、企業のトップの顔色をうかがうのではなく、常に消費者の気持ちを考える。これこそがコンプライアンス、という軸を、本書では決して動かすことなく論じている。

そう、その思いやりの心がないコンプライアンスなど、衣だけのテンプラのようなものなのだ。

その軸に照らして、昨今、いや過去の企業不祥事などを考えると、霧が晴れたように「真実」がみえてくるのではないだろうか。

あのとき、企業側の対応の何がいけなかったのか。
あれほどの大企業が、なぜ潰れたのか。
なぜ、私たちはあれほど怒りに打ち震えたのか。


そこには常に、法律と私たち素人との乖離、生産者側と私たち消費者との乖離が存在し、そこが埋まらないがために、常に世の中にはモヤモヤ感がはびこっている。
そのモヤモヤ感を晴れ晴れとした気持ちに変えてくれるのが、本書であると自信を持ってオススメできる。

とにかく何度でも読める、何度でも感動できる、何度でもうなずくことのできる、良書である。

満足度★★★★★
泣ける度★★★★★
勉強になる度★★★★★

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社長!それは「法律」問題です―知らないではすまないビジネスのルール (日経ビジネス人文庫)
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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