銀行総務特命 池井戸潤

 根っからの善人が悪人にならなきゃいけないほど悲しいものはないです。(本文引用)
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 2014年4月、また池井戸作品がブラウン管(今どき言わないか・・・)に帰ってくる。
 今度の主役は、女性バンカー。美しくも鋭い眼光で、銀行にはびこる“悪”を細大漏らさず暴いていく。そんな凛とした女性を杏さんが演じるというのだから、これは観ないわけにはいかない。今から放映開始が非常に楽しみだ。

 さて聞くところによると、このドラマ、2つの作品をもとに制作されているという。
 1つは一流テラー花咲舞が活躍する「不祥事」、そしてもう1つが、今回ご紹介する「銀行総務特命」だ。
 予想としては、この作品をベースとしたストーリーでは、唐木怜という総合職キャリア女性を杏さんが演じると思われるのだが、さてその内容はというと・・・?


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 メガバンク帝都銀行に、ある係が置かれている。それは総務部企画グループ特命担当-銀行総務特命だ。主人公の指宿修平は、その特命係に籍を置き、銀行にまつわる厄介事を次々と冷静に解決していく。
 ひとくちに厄介事といっても、一筋縄ではない。情報漏えいなどはまだ可愛い。あるときはアダルトビデオに出演した女性行員を突き止め、またあるときはストーカーを、そしてあるときは行員家族の人質事件を追い、しまいには何と、同行の行員が重傷を負う通り魔事件まで追っていく。
 しかし女性が絡む事件となると、男手だけでは難しい。そこで登場するのが、人事部調査役唐木怜。総務部特命と人事部特命がタッグを組んで、組織の悪事をバッサバッサと斬っていく。しかし、それを排除しようとする影も忍び寄り・・・?
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 さて「特命」と聞いて、多くの方は、あるドラマを思い出すのではないだろうか。
 そう、水谷豊主演の「相棒」である。土曜ワイド劇場で放送されていた頃からの「相棒」ファンである私にとって、この小説はたいへん楽しめるものであった(非常に個人的かつ勝手な解釈で申し訳ない)。

 まず指宿と唐木の連携プレー。唐木が現場で奮闘し、クールな指宿が真相(主に犯人)にズイと迫っていく。しかもその真相も、最後の最後までわからない。
 なかでも面白いのが「遅延稟議」。ある支店の支社長が帰り道、暴漢に襲われ生死をさまよう重傷を負う。当初は融資がらみと考えられ、倒産した会社の社長などをあたるが、次第に被害者の意外な面が見えてくる。
 このストーリーには、やられた。真相が二転三転し、最後の1ページまで全く気が抜けない展開だ。この、最後の1分まで気の抜けない緊張感が、まさにドラマ「相棒」と重なるのである。

 また、「小さなことが気になる悪い癖をもっている」のも共通する。
 行員の家族が人質にとられる「灰の数だけ」において、指宿は杉下右京も顔負けの観察眼を見せる。
 物証がつかめないまま焦れる警察の前で、指宿は何と暖炉の灰の中から、犯人像を細かく割り出していくのだ。

 もちろん唐木も負けてない。最終話「ペイオフの罠」において、他行の若き銀行員が顧客に預け替えを勧める。しかしその直後、その銀行は破綻。その銀行員は、まさか自分の勤める銀行が破綻するとは思わなかったと平謝りするのだが・・・?
 ここで唐木のアンテナが敏感に反応、彼女はその行員の企みを見事に突き止める。

 そんな指宿と唐木の名コンビが見ものの「銀行総務特命」であるが、実はもう一点、「相棒」との大きな共通点がある。
 それは正義感と有能さ、そして純粋さ故に、保身に走る上役たちからは煙たがられているということ。
 叩けばいくらでもホコリが出る、この巨大組織に、指宿と唐木はどう対峙していくのか。世を救うバンカーとしての矜持を、どこまで保つことができるのか。

 ドラマももちろん楽しみだが、ぜひ続編を望みたい作品である。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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