下町ボブスレー ~東京・大田区、町工場の挑戦~ 細貝淳一

 仲間に、「こんなもんつくっちまった」と自慢するのは、町工場の職人の生きがいだ。(本文引用)
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 いよいよソチオリンピックが始まる。オリンピックを目指し、さらにその遠くを見つめて邁進する選手たちの姿には、いつも感動させられる。

 しかしここにもうひとつ、オリンピックを目指していたチームがあった。それは「下町ボブスレー」-大田区の工匠たちが結集した、初の“日本人による日本人のための日本の”ボブスレー開発チームだ。

 そんな彼らの奮闘をつづった本書は、まず発起人・細貝氏の熱い思いから始まる。それはもう火傷しそうなほどの熱さだ。
 約4000もの工場がひしめき、一流の腕と腕とを携えながら、世界に負けないモノを生み出しつづける東京都大田区(その様子については、以前紹介した「どっこい大田の工匠たち」に詳しい)。


 しかしその製品は主に部品であり、実際に消費者に売っているわけではないため、なかなか世には出にくい。それに加えて職人の高齢化、承継の問題などもあり、大田区のブランドは衰退の危機に瀕している。

 そこで打ち出されたのが、この「下町ボブスレー」計画。

 あの名作「下町ロケット」に、町工場の課題解決のヒントと心意気を得て、職人たちが立ち上がった。資金も知名度もない無軌道のなかで、果たして下町ボブスレーはソチの軌道を滑走できるのか?日本人未踏の大プロジェクトが、今、動き出す!
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 こう書くと、思いつきだけで、ずいぶん気軽に着手した無謀な計画に見えるかもしれない。たしかにこのプロジェクト開始の合言葉は、「思いは深く、でも、ノリは軽く」である。しかしいざ読んでみると、その思いの並々ならぬ深さと、周りを惹きこむ吸引力に頭が下がる。そしてその一方で、「思いは深く、ノリは軽く」以上に難しい「硬くも曲がる」「強くても軽い」を両立させねばならないボブスレー作りの奥深さにも、思わず慄く。

 しかし、彼らは決して揺るがない。

 そう、われわれは挑戦する。まだ見たことのない世界に対し、恐れを抱かず、進んでいく。

 そんな姿勢に共感して、続々と大きなスポンサーがついていく様子は、読んでいて非常に爽快。日々研鑽を積み、夢を持ち、苦しい時にも歯を食いしばり、笑顔で歩いていけば、こんなにも人が動かされるのかと涙が出てくる。

 また、その支援の仕方も多種多様なのが非常に面白い。たとえばフラワー・アーティストの川崎景太氏は、松屋銀座で下町ボブスレーのフラワーインスタレーションを展示する。そして川崎氏は、こう語る。

「下町ボブスレーが通ったあとには、人の夢という名の花が咲く」


 「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー2013」において優秀賞を受賞した「下町ボブスレー」。
 いつかきっと、彼らは世界に大輪の花を咲かせるだろう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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