【再レビュー】草原の椅子 宮本輝

 いよいよ映画「草原の椅子」が2月23日(土)より公開される。
 この作品が映画化されると知ったとき、私はもう嬉しくて嬉しくて、夢を見ているのではないかと思った。

 そしてまた思い出す。
 油まみれになった富樫、通り過ぎる煙草の火や静電気に脅えながら富樫を車で運ぶ憲太郎、人生の小さな一歩を懸命に踏み出そうとする幼い圭輔、そんな彼らを包むように見守る貴志子・・・。
 こうして彼らの姿を思い出すだけでも、涙がジンワリと滲んでくる。

 「草原の椅子」については、以前レビューに詳しく(と言うよりも長々と)書き、一応感動は伝えたつもりなのだが・・・この作品だけはいくら言葉を尽くしても、胸に充満するこの思いを伝えきることはできないだろう。

 この物語に登場する人物たちの迷いや欠点は、ボロボロになりながらも生きていこうとする人間の泥臭さそのものであり、またそれを越えて得た信念、覚悟、そして温もりは、人間の美しさそのものではないだろうか。
 
 そんな生身の人間たちがページから浮き出し、ぶつかってくるこの作品は、まさに「生きて帰らざる」小説といえるほど人の心をつかむ、桃源郷そのものだ。

 ちなみに、憲太郎の「ほんとに行きたかったら、誰の助けがなくても行くさ。何を捨てても行くさ」(本文引用)という言葉は、わが心の名言として保存し、時々引っ張り出している。



 このような素晴らしい小説を世に送り出してくれた宮本輝氏、そしてこの作品を映画化してくださった2013「草原の椅子」製作委員会の方々に、心より御礼申し上げます。
 (絶対に観るぞ!)
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反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
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