「バンクシー アート・テロリスト」感想。バンクシー展に行く前に読んでおけばよかったと激しく後悔。
バンクシーを捕獲した小池知事は、確かに「英断」を下したのかもしれません。けれども、その前に相談をし、判断を仰ぐべきだったのは、ほかでもない東京都民であり、港区区民でした。
(本文引用)
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鑑賞後、手に取ったのが「バンクシー アート・テロリスト」
なぜ本書を買ったかというと、展覧会で「バンクシーのメッセージ性に気圧された」から。
戦争、民衆への抑圧、大国の傲慢、世界の分断・・・。
「世界の大問題」に対する強烈なメッセージが、作品1つひとつに詰め込まれていることをビシビシ感じ、圧倒されてしまったからだ。
「これはバンクシーについて、もっと知らなければならない。ムーブメントに乗っかるだけではいけない」
そんな思いが突き上げるように込み上げ、バンクシーにまつわる本を憑りつかれたように検索。
「バンクシーのメッセージ」を、最もわかりやすく伝えてくれそうな本書を買った。
そして読み終えた今、断言する。
「これからバンクシー展に行く人は、絶対読んでおいたほうがいい!」
実は私、現在大大後悔中。
本書を読みながら、何度「バンクシー展に行く前に読めばよかった」と悔やんだことか。
「この本を読んでいれば、あの作品の写真も撮っておいたのになぁ」
「もっとじっくり真剣に、作品と対峙したのになぁ・・・」と、毎日ため息をついている。
というわけで、これから「バンクシー展」に行かれる人のために、本書を紹介。
本書を読んだあなたは、会場内にいる「読んでいない人」より、圧倒的にバンクシー展を深く楽しく味わえるだろう。
(本文引用)
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鑑賞後、手に取ったのが「バンクシー アート・テロリスト」
なぜ本書を買ったかというと、展覧会で「バンクシーのメッセージ性に気圧された」から。
戦争、民衆への抑圧、大国の傲慢、世界の分断・・・。
「世界の大問題」に対する強烈なメッセージが、作品1つひとつに詰め込まれていることをビシビシ感じ、圧倒されてしまったからだ。
「これはバンクシーについて、もっと知らなければならない。ムーブメントに乗っかるだけではいけない」
そんな思いが突き上げるように込み上げ、バンクシーにまつわる本を憑りつかれたように検索。
「バンクシーのメッセージ」を、最もわかりやすく伝えてくれそうな本書を買った。
そして読み終えた今、断言する。
「これからバンクシー展に行く人は、絶対読んでおいたほうがいい!」
実は私、現在大大後悔中。
本書を読みながら、何度「バンクシー展に行く前に読めばよかった」と悔やんだことか。
「この本を読んでいれば、あの作品の写真も撮っておいたのになぁ」
「もっとじっくり真剣に、作品と対峙したのになぁ・・・」と、毎日ため息をついている。
というわけで、これから「バンクシー展」に行かれる人のために、本書を紹介。
本書を読んだあなたは、会場内にいる「読んでいない人」より、圧倒的にバンクシー展を深く楽しく味わえるだろう。
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本書は「バンクシーの謎」を追究する“バンクシー ガイドブック”。
東京都で発見された「バンクシーかもしれない落書き」、1億5千万円で落札後、裁断された「風船と少女」、壁に描かれたネズミ。
そして作品から見える、パレスチナ問題、米国資本主義への皮肉、英国議会・王室への風刺・・・。
本書では、バンクシーの作品写真も交えながら、「バンクシーが訴えるもの」「そもそもバンクシーとは何者なのか」を追跡。
さらに「バンクシーが世に与える影響」も詳しく分析。
バンクシーはなぜ支持されるのか。
数多あるアート作品のなかで、なぜ世間はバンクシーを放っておかないのか。
社会学・文化・メディア研究専門家の著者が、バンクシー現象を解明する。
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しつこいようだが、悪いことは言わない。
「バンクシー展」に行く前に、本当に読んでおいたほうがいい!
読むべき理由は2つ。
1つは、重要な作品を見逃さないため。
もう1つは「鑑賞者としての自分の責任」を、自覚するためだ。
まず1つめ。
バンクシー展は全作品撮影OKなのだが、本書を読むのと読まないのとでは、「鑑賞・撮影の重要度」がまるで変わってくる。
本書を読まなかったばっかりに、作品の価値・メッセージがわからず、「重要な作品を軽視してしまう危険」があるのだ。
実は私は本書を読んでいなかったばかりに、「重要な作品」を写真に収めなかった。
作品タイトルは「ナパーム弾」。
中央には、ベトナム戦争でナパーム弾から逃げる少女。
その少女の手を、ミッキーマウスとドナルド・マクドナルドが引き、軽やかに歩くという作品だ。
見ればすぐに、あのピュリッツァー賞受賞写真のパロディだとわかるのだが、私はつらくて目を背けてしまい、写真も撮らなかった。
命の危険にさらされながら泣き叫ぶ少女を揶揄するようで、撮影する気になれなかったのだ。
だが本書を読み、その作品こそ撮るべきだった、記録に残しておくべきだったと反省。
私は特に、「反米思想」を持っているわけではないし、この解説を読み、すぐさま「アメリカ、けしからん!」と思うわけでもない。
しかし本書の解説を読むことで、「作品の重要性」がわかるのは確か。
「今、世界で何が問題なのか。その問題の根本原因はどこにあるのか。どうすれば解決できるのか」を、作品を通して考察できるのだ。
本書を読んでから「バンクシー展」に行っていれば、「ナパーム弾」を鑑賞しながら「世界のパワーバランス」に思いを馳せ、それを忘れぬよう写真に収めたのに・・・。
現在、そんな後悔の念でいっぱいである。
そして2つめ。
本書を読んでおくと、「鑑賞者としての姿勢・責任感」が断然違ってくる。
この本を読むとわかるのだが、バンクシー最大の魅力は「プロが価値を評価するわけではない」点。
あくまで「素人である民衆の評価」が、バンクシーにとって最も重要なのだ。
1億円以上の値がつき、その瞬間、裁断される作品。
さまざまな場所で「器物損壊か芸術か」が議論され、市民の声が議会まで揺るがす作品の数々・・・。
バンクシーの作品が巻き起こす騒動を、さて、人々はどう判断してきたか。
本書を読むと「バンクシーの価値を決めてきたのは、あくまで市民」であることが、骨の髄までよくわかる。
だからバンクシー展に行く前に、読んでおくのがおすすめ。
「今、この瞬間にも、自分がバンクシーの価値を決めている」という当事者意識をもって、作品を鑑賞できるのだ。
現在、横浜で開催中のバンクシー展。
その後、大阪でも開催される予定だが、行かれる方はぜひ本書を。
「行く前に読めばよかった!」と打ちひしがれてる私のように、なりませぬよう・・・。
■「バンクシー アート・テロリスト」内容
本書は「バンクシーの謎」を追究する“バンクシー ガイドブック”。
東京都で発見された「バンクシーかもしれない落書き」、1億5千万円で落札後、裁断された「風船と少女」、壁に描かれたネズミ。
そして作品から見える、パレスチナ問題、米国資本主義への皮肉、英国議会・王室への風刺・・・。
本書では、バンクシーの作品写真も交えながら、「バンクシーが訴えるもの」「そもそもバンクシーとは何者なのか」を追跡。
さらに「バンクシーが世に与える影響」も詳しく分析。
バンクシーはなぜ支持されるのか。
数多あるアート作品のなかで、なぜ世間はバンクシーを放っておかないのか。
社会学・文化・メディア研究専門家の著者が、バンクシー現象を解明する。
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■「バンクシー アート・テロリスト」感想
しつこいようだが、悪いことは言わない。
「バンクシー展」に行く前に、本当に読んでおいたほうがいい!
読むべき理由は2つ。
1つは、重要な作品を見逃さないため。
もう1つは「鑑賞者としての自分の責任」を、自覚するためだ。
まず1つめ。
バンクシー展は全作品撮影OKなのだが、本書を読むのと読まないのとでは、「鑑賞・撮影の重要度」がまるで変わってくる。
本書を読まなかったばっかりに、作品の価値・メッセージがわからず、「重要な作品を軽視してしまう危険」があるのだ。
実は私は本書を読んでいなかったばかりに、「重要な作品」を写真に収めなかった。
作品タイトルは「ナパーム弾」。
中央には、ベトナム戦争でナパーム弾から逃げる少女。
その少女の手を、ミッキーマウスとドナルド・マクドナルドが引き、軽やかに歩くという作品だ。
見ればすぐに、あのピュリッツァー賞受賞写真のパロディだとわかるのだが、私はつらくて目を背けてしまい、写真も撮らなかった。
命の危険にさらされながら泣き叫ぶ少女を揶揄するようで、撮影する気になれなかったのだ。
だが本書を読み、その作品こそ撮るべきだった、記録に残しておくべきだったと反省。
アメリカは、アジアの共産主義化を阻止するという大義の下に、ベトナムにナパーム弾を撒き散らし、多くのベトナム市民の命を奪った存在でもあります。そして、今なお中東をはじめとするさまざまな地域で自国の利益のために軍事的支配を続けています。
こうしたアメリカの軍事力をハードパワーと呼ぶならば、アメリカの政治学者であるジョセフ・ナイが言うように、ディズニーやマクドナルドはこのハードパワーを支えるソフトパワーです。それは、アメリカ文化に親近感や憧憬を抱かせることを通じて精神的に支配するようなパワーなのです。
泣きながら空爆から逃げるベトナムの少女の手を引くミッキーマウスとドナルドという絵は、アメリカの権力に対して徹底的な批判として理解できるでしょう。
私は特に、「反米思想」を持っているわけではないし、この解説を読み、すぐさま「アメリカ、けしからん!」と思うわけでもない。
しかし本書の解説を読むことで、「作品の重要性」がわかるのは確か。
「今、世界で何が問題なのか。その問題の根本原因はどこにあるのか。どうすれば解決できるのか」を、作品を通して考察できるのだ。
本書を読んでから「バンクシー展」に行っていれば、「ナパーム弾」を鑑賞しながら「世界のパワーバランス」に思いを馳せ、それを忘れぬよう写真に収めたのに・・・。
現在、そんな後悔の念でいっぱいである。
そして2つめ。
本書を読んでおくと、「鑑賞者としての姿勢・責任感」が断然違ってくる。
この本を読むとわかるのだが、バンクシー最大の魅力は「プロが価値を評価するわけではない」点。
あくまで「素人である民衆の評価」が、バンクシーにとって最も重要なのだ。
1億円以上の値がつき、その瞬間、裁断される作品。
さまざまな場所で「器物損壊か芸術か」が議論され、市民の声が議会まで揺るがす作品の数々・・・。
バンクシーの作品が巻き起こす騒動を、さて、人々はどう判断してきたか。
本書を読むと「バンクシーの価値を決めてきたのは、あくまで市民」であることが、骨の髄までよくわかる。
だからバンクシー展に行く前に、読んでおくのがおすすめ。
「今、この瞬間にも、自分がバンクシーの価値を決めている」という当事者意識をもって、作品を鑑賞できるのだ。
現在、横浜で開催中のバンクシー展。
その後、大阪でも開催される予定だが、行かれる方はぜひ本書を。
「行く前に読めばよかった!」と打ちひしがれてる私のように、なりませぬよう・・・。
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