「首里の馬」感想。「孤独・ぼっちが怖い人」に本気でおすすめしたい一冊。

自分の宝物が、ずっと役に立たずに、世界の果てのいくつかの場所でじっとしたまま、古びて劣化し、消え去ってしまうことのほうが、きっとずっとすばらしいことに決まっている。
(本文引用)
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 芥川賞受賞作は、たいてい不思議な浮遊感がある。

 「この物語はどこから来て、どこに向かい、どう着地するんだろう?」と。

 「首里の馬」も同様。

 「この物語はいったいどこに向かうのだろう?」とフワフワした感触があった。

 しかし「首里の馬」は、他の芥川賞受賞作とは一線を画すものを感じた。

 「いったいどこへ行くんだろう?」というフワフワ感がありながらも、最後まで見届けないと気がすまないような握力・引力がある。

 そしてラストでは「ああ、最後まで見届けてよかった」と安堵。

 読み終えた瞬間、心にサッと清涼な風が吹き、人生が豊潤にふくらんでいくのを感じた。

 うん、いいな、こういう話、好き!

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■「首里の馬」あらすじ



 未名子は沖縄でオペレーターの仕事をしている。

 本業の傍ら、資料館で資料整理の仕事もポツポツ。

 しかし勤務先のコールセンターが一部閉鎖され、失職。

 その後に就いた仕事は、「世界中にネットでクイズを出す」という特殊なものだった。

 1人しかいないオフィスで、解答者1名と、1人で対峙する未名子。
 
 とにかく「1人」という特殊な環境で働くなか、未名子の家の庭に不思議なことが。

 いったいどこからやってきたのか。

 一頭の馬がいたのである。

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■「首里の馬」感想



 今現在、「ぼっち」がつらい、「孤独」が怖い・・・そんな人に「首里の馬」を、ぜひおすすめしたい。

 本書を読めば、きっとこう思えるはず。

 「自分は今、孤独と共存している。そして孤独と暮らしてる自分には、孤独じゃない人には見えない風景が見えている」と。

 「孤独じゃない人は感じられない爽快な風を、自分は受けることができている」と。

 これは「主人公が馬に乗っている」という設定だからこそ、伝わってくるメッセージだ。

 と言いつつ、この物語、馬の登場シーンは多くない。
 
 「馬はいつ出てくるの? あ、もしかして馬は、他の物の比喩?」と疑ったほど。

 延々と「未名子の孤高の日々」がつづられ、「この物語はいったいどこへ向かうのだろう?(そして馬は・・・?)」と不安になった。

 ところが馬登場後、物語の行く末が見えてくると様相は一変。

 「孤独なら、馬にまたががってどこにでも行ける」と、無性にワクワク。

 誰にも侵されない「過去の自分」を見つめながら、「さてこれからどこに行こうか」と、しっかり前を向くことができるのだ。

 そしてラスト、あれだけ右往左往していた感情が、こんな気持ちで落着。

 「本当に幸せで心豊かな人生を歩める人とは、孤独と共存できる人なんだな・・・」

 だから本書は「孤独・ぼっちを恐れる人」に、ぜひ手に取ってほしい一冊。

孤独も「ぼっち」も、恐れることなどなにもない。

 「一人でいられる力」を持つ人だけが、自由に、自分の生きたい人生を歩むことができる。

 「首里の馬」を読めば、「孤独の力」を信じられるようになり、自分自身をも信じられるようになる。

 それってズバリ、最高なんじゃないかな。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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