「法の雨」あらすじ感想。今まで読んだミステリーで一番怖かった(ホントに)・・・。

前途洋々の未来へ繋がっている気がした道路は、今や奈落へ崩れ落ちそうなほど黒かった。
(本文引用)
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 今まで読んだミステリーのなかで、圧倒的に、断トツ怖かった。
 
 だからといって、本書は猟奇殺人やサイコサスペンス、といったものではない。

 さらに言うと、「恐怖」の理由は、「犯行」とは別のところにある。
 
 実は「国の制度」が、私たちをどん底に突き落とす可能性がある。

 いつ自分が合法的に、窮地に追い詰められるかわからない。
 「法律・決まり」という鉄の壁で、人生を破壊されるかもしれない。
 「法的に正しい方法」で、「自分が決して逆らえない方法」で、己の人生が抹殺される。


 世の中に、それほど恐ろしいことがあるだろうか。

 「法の雨」は、そんな「法のタブー・落し穴」を「これでもか」と見せつける。

 だから本書は、震えがくるほど恐ろしいのだ。
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■「法の雨」あらすじ



 嘉瀬幸彦は、念願叶って大学の医学部に合格。

 友人と合格祝いをするが、その最中、祖母から電話がある。

 電話の内容は「入学金が払えない」というもの。

 幼い頃、事故で両親を亡くした幸彦は、祖父母に育てられていた。

 学費は心配ないと言われ、受験勉強に勤しんでいたのに、ここへ来て「入学金が払えない」という危機に陥る。

 入学金納付のタイムリミットが近づくなか、幸彦の祖父の「ある秘密」が暴かれることに。

 裁判官だった幸彦の祖父。
 そして「罠」ともいえる、国の制度。

 もつれあった「二つの闇」がほぐれないと、幸彦の夢は絶たれるのだが・・・?
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■「法の雨」感想



 「人間にとって本当に恐ろしいのは、合法的に、当たり前のことができなくなることなんだな・・・」

 本書を読み、初めて「人間が犯す本当の恐怖」を認識した。

 幸彦の大学の入学金が出せない。
 「お金」はたくさんあるのに「お金を出せない」。

 それは「国の制度の巨大な落し穴」のせいであり、はっきり言って理不尽極まりないものなのだが、なにぶん「合法」だから始末が悪い。

 まさしく法とは雨のごとき、諸刃の剣。

 時に慈雨となるが、時に土砂崩れを起こし、普通の生活を脅かし、破壊する凶器となるのだ。

 ミステリーと聞いて、「謎解き」「サイコサスペンス」「猟奇」「どんでん返し」を期待する人も多いかもしれないが、そんな人は肩透かしを食うかもしれない。

 しかし恐怖度は、期待以上のはず。

 自分に滅多に起こらないであろう殺戮よりも、自分にいつ起こってもおかしくない「法の落し穴」のほうが、どれほど恐ろしいか。

 「人間が起こす本当に恐ろしい行為」は、殺人等の「非合法行為」ではなく、誰にも突き崩せない「合法行為」。

 本書を読むと、「ミステリー=恐怖=犯罪」という固定観念が根底から覆されるだろう。

 「幸彦の将来」と「国の制度の落し穴」とのせめぎ合い、いったいどうなっていくことか、ハラハラしながら一気読み。

 今までにないミステリー、未知の「本当の恐怖」を味わいたい方には、全力でおすすめしたい一冊だ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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