「まどわされない思考」感想。デマ・誹謗・中傷で人生破滅させない究極の処方箋。

 怒りを共有することで気分がすっきりするかもしれないが、建設的な問題解決策を見つける助けにはならない。
(本文引用)
__________________________

 「まどわされない思考」・・・今、最も大切なスキルかもしれない。

 ネットで誰かが批判コメントをすると、それが付け火となり、火の勢いはどんどん加速。
 時々、「えっ? この人、いつも冷静な意見をつぶやいてるのに・・・」と信頼していたような人まで、過激な意見をリツイートしたり、事実から離れた批判コメントに賛同していたりする。

 そんなつぶやきを目にすると、暗澹たる気持ちに。
 「ブルータスよ、お前もか・・・」と、泣けてくる。

 かく言う私も、きっと無意識にまどわされてる。
 SNSで誹謗中傷まではしないものの、脳の中はきっと、デマや思いこみ、歪められた事実でいっぱいのはずだ。


 ではどうすれば、デマに惑わされず、物事に冷静に対処できるのか。
 どうすれば他者の大きな声に惑わされず、落ち着いて「それは違うのでは?」と己を保つことができるのか。
 
 本書では、その「究極の方法」を伝授。

 方法はとってもシンプル。
 でも「そうか! そう考えればいいんだね」と思わず膝をパチン!

 さすがアイルランドベストセラー第1位。
 気づきそうで気づかなかった見事な「まどわされない思考法」、ここに降臨、である。
______________________________

■「まどわされない思考」内容



 本書の著者は、物理学者・癌研究者・科学ジャーナリスト。
 科学的視点から、「まどわされない・操られない思考法」を説いていく。

 人間は「感情の動物」であるが故に、時おり間違いをおかす。
 
 感情的になったが故に、核兵器で応戦しようとし、危うく世界を破滅させそうになる。
 感情的になったが故に、雀を撲滅させ、農作物の被害を深刻化させてしまう。

 しかしそのような事態に陥っても、科学的・分析的思考を用いて考えれば、最悪の事態を回避。

 逆に、物事を科学的・論理的・分析的に考えないと、誹謗中傷に便乗し、損害賠償する羽目に・・・。

80321_s.jpg


 人はまどわされると、あっという間に人生破壊。
 本書では、せっかくの人生を破滅させないための「究極的思考法」をたっぷり解説する。
_____________________________

■「まどわされない思考」感想



 「ぐうの音も出ない」とは、まさにこのこと。

 本書で書かれている思考法は、「情」や「曖昧さ」を徹底排除。
 ひたすら科学的・論理的に、「まどわされない考え方」を解説。
 
 デマや誹謗・中傷等について、「でもでもだって」と言い訳しても、本書の著者には通じない。

 「1+1=2」「太陽は東から昇る」というのと同じレベルで、「いやいや、その考え方、おかしいから」と冷静に論破。
 
 デマ・誹謗・中傷を流したり、加担したりした人が「・・・ああ、そうですね。すみません」としか言いようがない、痛快な内容となっている。

 たとえば「第二章 暴かれた不条理」では、論理的に「極論・敵対・排除・ヘイト思考」の矛盾を鋭く指摘。
 
 「携帯電話は脳腫瘍のリスクを劇的に高める」という噂について、著者は以下のような論理的矛盾を突く。

 前提1 すべての無線放射は電磁放射である。
 前提2 一部の電磁放射は癌を誘発する。
 前提3 したがって、無線放射は癌を誘発する。


 人々に無用な恐怖を植え付ける噂は、論理的に考えると「あれ? なんかおかしいよね?」
 
 感染症や放射能など、人は「見えないもの」について極論に走り、時に極度に怯え、時に極度に楽観的。
 心の中で、どちらかに偏ってしまうのは仕方がないかもしれない。

 しかし自分の「誤った思いこみ」で、人と敵対したり罵り合ったりするのは避けたいところ。
 どこかから聞いた話にまどわされ、誰かを罵倒し、取り返しのつかないことに発展したら元も子もない。

 本書が説く論理的思考を用いて冷静に考えれば、人としての一線を踏み越えることはないだろう。

 また誹謗・中傷に乗っかりそうになったら、本書がいう「次の論理的誤り」に注意したい。

 それは「否定的前提」から「肯定的な結論」を導き出すという論理ミス。
 

「私はそんなものを聴かない」 → 「趣味のいい人々はそんなものを聴かない。 → したがって、私は趣味がいい」。


 著者はこのような主張について
 

論証としてはひどいありさまなのだが、自分のことを高潔だと思い込んでいる人々が他人をこき下ろすときに頼りがちな論証だ。


 と断じる。

3297952_s.jpg

 
 そしてこの「否定的前提から肯定的結論」の論理ミスこそ、誹謗・中傷の元凶と解説。

 以前米国で、ある女性がネットで苛烈な誹謗中傷を浴び、殺害・強姦予告までされるように。
 彼女は職を失い、精神疾患を患い、家から出られなくなってしまった。

 実は彼女は、積極的に社会貢献をしていた人物で、学習困難な大人や、障害のある人々を支援していた。
 しかし一度だけ、「軽いおふざけ」をした写真を友人と共有。
 それがアッと言う間に拡散し、大炎上し、上記のような状態になってしまったのだ。

 著者はこの事件について、論理的にこう解説する。

 ネット暴徒の潜在意識を支配しているのは論理的な断絶だと言える。彼らの論理は、無害な若い女性に対する生々しい暴力の脅迫を正当だと思うほどねじ曲がっていて、彼女をこき下ろすことで自分たちは道徳的に高い位置にいると固く思いこんでいる。
「彼女には道徳が欠けている。 → 私は彼女を攻撃する。 → したがって、私は道徳的に正しい」。


 どうだろうか。
 このように論理的に考えてみると、先ほどの「携帯電話・癌になる説」と同様、「あれ? なんかおかしいよね?」ということに。
 
 だから本書は「ぐうの音も出ない」一冊。
 相手が誰であろうと、デマ・誹謗・中傷を正当化できなくなるのだ。

 誰かが自分にとって「面白くないこと」を言っていたり、「日頃から嫌いと思っていた人」が問題発言をしたりすると、ここぞとばかりに叩きたくなる。
 そんな欲求にかられることもある。

 しかしその前に一瞬、「私の思考、論理的に破綻してない?」と自問すれば、致命的な過ちは防げるはず。

 毎日どこかでデマ・誹謗・中傷が飛び交い、うっかり便乗しそうになる今、「まどわされない思考」、ぜひ読んでおきたい一冊である。
 
詳細情報・ご購入はこちら↓

関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告