「黒い司法 黒人死刑大国 アメリカの冤罪と闘う」あらすじ感想。映画化された実話!差別冤罪は決して他人事ではない。

 不当な扱いを受ける人を見過ごしにすれば、誰もがみな共犯者だ。
(本文引用)
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 米国での、白人警官による黒人男性暴行死事件。
 事件を受け、今、人種差別に対する抗議が世界中で広がっている。

 そこで読んでみたのが、「黒い司法」。
 黒人弁護士が、無実の罪で死刑判決を受けた黒人男性を救ったノンフィクションだ。
 
 読みながら、何度怒りに震え、悲しみに涙したことか。
 
 しかし本書を読み、最も感じたのはこれだ。

 「差別・冤罪は決して他人事ではない」

 人種に限らず、私自身も差別感情・先入観で、誰かに罪を着せているかもしれない。
 そしていつ、私自身も理不尽な受け、罪を着せられるかわからない。

 
 本書は「黒人・白人」という問題を越え、人間に根付く「差別・先入観・固定観念が導く不当な行為」の恐ろしさを訴えている。

 「黒人じゃないから」「人種差別のない国に住んでいるから」・・・と無関心でいる場合ではない。

 人種差別は、あらゆる差別のなかの一種類。
 いつ、誰でも、本書のような事件に巻き込まれ、“合法的な死刑”を受ける恐れもある。

 差別・冤罪は決して、全く他人事ではない・・・そう思えたことが、本書を読んだ最大の収穫だ。
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■「黒い司法」あらすじ



 舞台は1980年代の米・アラバマ州。

 黒人男性ウォルター・マクミリアンが、突然、殺人容疑をかけられる。
 ウォルターには身に覚えのないことだ。

 実は事件の前、ウォルターは白人女性と交際していた。

 アラバマ州は異人種間の男女交際を、嫌う風土が根強い。
 さらにウォルターは事業で成功しており、白人至上主義の空気がある土地では、面白くない存在だった。

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 そんな時、一人の女性の遺体が発見される。
 
 警察は勝手にウォルターを犯人に仕立て上げ、証拠を捏造。
 死刑を宣告されるに至るが・・・?
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■「黒い司法」感想



 まず本書を読み、驚かされるのは「白人優位司法における、黒人差別の苛烈さ」だ。

 黒人男性は白人に比べて、警官に射殺される確率が8倍(※改善された現在でも、4倍)。
 黒人というだけで、車を運転中に警官に止められ、免許を取り出そうと鞄を探ったら、「銃を出す」と勘違いされて射殺。
 陪審員が圧倒的に白人。
 裁判で黒人側優勢になると、裁判所に入れないなど嫌がらせをする。
 黒人というだけで、死産で生まれた赤ん坊を「殺した」として逮捕する等々・・・。

 なかには黒人というだけで、少女を殺した罪を着せられ、電気椅子にかけられた男性も。
 彼が“合法的に殺された”後、ある白人男性が罪を告白。
 黒人というだけで、何もしていないのに死刑になる例も枚挙にいとまがない。

 本書は弁護士による実話だけあり、司法における差別の実態を詳しく紹介。
 ページを繰るごとに、怒りで握りしめていた拳がどんどん強くなり、掌に爪の後がついたほどだ。

 しかし読むうちに、その怒りは「自分にも向けねばならない」と感じはじめた。

 確かに日本では、「黒人と白人」という人種差別はそうそうないかもしれない。
 だが「差別」や「先入観」で、誰かの人生を壊してしまうことは、いつでもどこでも充分あり得る。

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 例えば何か事件が起き、容疑者が逮捕された際、こんなことを思う時はないだろうか。
 
 「虐待事件、親がまだ若いから・・・」
 「犯人の職業、●●かぁ。やっぱりね」
 「この犯人、複雑な家庭環境で育ったらしいよ」
 「貧乏だから、お金に困ってやったんじゃない?」
 「××で事件か。確かに治安悪そうだよね」
 
 そんな差別・先入観・固定観念が、つい心の奥でわいてくる・・・そんな時はないだろうか。

 そして万が一、容疑者が無罪だったとしても、なかなかその過ちを認められない。

 「若いから、職業が●●だから、家庭環境が複雑だから。貧乏だから。治安が悪い場所に住んでるから・・・てっきりそう思った。誰でもそう思うよね」などと、自分に言い訳。

 罪を着せられた人が、どれほど傷ついたかも考えず、「そのようなクラスタに属している人は、犯罪をしても当然。疑われるのも当然」と、無茶苦茶な自己正当化すらしてしまうのだ。

 本書は実際に容疑者・警察・判事・証人等と向き合った弁護士が書いているため、「差別で冤罪が生まれる経緯」が実によくわかる。

 人間心理の深い深いところまで入り込んでいるため、「黒人差別だけではない。人は皆、誰かを差別し、理不尽な傷を負わせている」と痛いほど気づかせてくれるのだ。

 白人警官による黒人男性暴行死事件、これは異国の話ではなく、他人の話でもない。

 人間を「属性」で判断し、「属性」で差別し、「属性」の外から、心の中で石を投げようとしている「私自身」の話でもあるのだ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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