「ウイルスは生きている」感想。子どもと血液型が違う私、実はウイルスに守られていた!?

 教科書では「ウイルスは生物ではない」、そう教えられる。しかし、実際にウイルスを身近に扱うようになると、それは「生きている」としか思えないものだった。
(本文引用)
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 2017年、講談社「科学出版賞」受賞作。
 とにかくわかりやすくて、とにかく面白くて、「ウイルスってこうなんだー!」と膝を何度も撃ち抜いた。

 生物学も医学もド素人の私が、ここまで「わかりやすい!」とテンションが上がったぐらいだ。
 「ウイルスは生きている」、勝手に「日本一わかりやすいウイルスの本」と認定させていただく所存だ(傲慢ですみません)。

 「ウイルス感染の仕組みは、家なき子?」
 「ウイルスと非ウイルスの違いは、男子中学生丸刈り問題と同じ?」
 「ウイルスとは悪者なのか?」
 「結局、ウイルスとは生物なのか?」

 ウイルスが起こす、人智を越えた不思議現象から、ウイルスを徹底解説。


 コロナ禍で、「ウイルスとは何か」「ヒトとウイルスは共生できるのか」を知りたい方。
 ウイルスの実態を把握することで、より適切なコロナ対策をしたい方には、これ以上ないほどオススメの一冊だ。
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■「ウイルスは生きている」内容



 本書は、「ウイルスは生き物である」とする理由を解説する本。
 
 分子生物学者・中屋敷均氏が、ウイルスの構造から、「ウイルスは生物である」と主張。

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 ウイルスの構造・仕組みを、巧みな比喩で解説。

 さらにウイルスのメリット・デメリットを、豊富な事例で紹介。

 「ウイルスによる災厄」「ウイルス活用の害獣駆除」「寄生虫に食い破られた幼虫」などをとりあげながら、「ウイルスと生物の共存関係」を解いていく。

 果たして、ウイルスは生物なのか非生物なのか?
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■「ウイルスは生きている」感想



 本書は「科学本の傑作」の条件を、ズラッと備えている。

 ウイルスについて「易しく・深く・面白く」、それに加えて「多様な見方を教えてくれる」。

 特に「感染の仕組み」を「家なき子」にたとえた解説には、ただただ感動。

 ウイルスと、一般的な生物の違いは、まう「細胞という構造」を持たないこと。
 細胞は「セル=小さな部屋」になっており、細胞膜という「壁」が「自分だけの空間」を作り、生命維持に必要な空間を形成。
 

 ドアを閉めれば、そこには自分だけの空間が広がっている。自分の部屋であれば、散らかしっぱなしであろうが、ピンク色のカーテンをつけようが、壁にアイドルのポスターを貼ろうが、自分の好きなようにアレンジできる。また、エアコンをつければ、自分の好きな温度に設定できるし、用心深い人はモニター付きのインターホンをつけるかもしれない。


 区切りがなければ、エアコンをかけても冷気はどんどん逃げて行くし、外から太陽の光や雨も入ってくる。風が吹けば、部屋の中身は飛ばされて外に出て行くし、外からはゴミが飛んでくる。とても自分にとって快適な環境を維持することは出来ない。


 さらに細胞の小部屋の住人、DNAは3Dプリンター所有で、部屋にあるものをそっくり複製できる。
 そして「自分だけの設計図」に基づき、また3Dプリンターで必要な物を作成できる。

 それができるのが「細胞」の大きな特質である。
 
 しかしウイルスは「住処を持たない家なき子」。
 持っているのはせいぜいレインコート程度。

 ところがこの「壁がない・部屋がない」という特質を生かし、「快適な小部屋」にスルッと侵入。
 入り込んだ部屋を乗っ取り、しっちゃかめっちゃかにした挙げ句、室内の3Dプリンターで分身した仲間が、散々な置き土産をして放出。

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 著者曰く「これが典型的なウイルス感染の比喩的説明」とのこと。

 さらにこの説明を押さえておけば、「なぜウイルス感染防止に石鹸が有効なのか」も一発合点。

 うっとりするような巧みな比喩で、エレガントに説明してくれるため、ウイルス感染の基本がしっかり頭に入る。

 さらに本書では、「ウイルスの多様な見方」を続々提供。
 
 最も衝撃を受けたのは、「母子で血液型が違っていても大丈夫」な謎。
 
 著者は冒頭で、妊娠中の妻を例にとり、ウイルスの意外な「貢献」を紹介。
 
 血液型が違う者同士で輸血をしたら大参事。
 しかし胎児と母親の血液型が違っても、問題なく出産でき、成長にも支障はない。
 
 本書によると、それはウイルスのおかげなのだという。

 実は私自身、子どもと血液型が異なる。
 子どもと夫が同じ血液型。
 私は違う血液型である。

 ちなみに私の実家も同じく、母子で血液型が違う。
 「父と長兄」、「母・次兄・私」で血液型が分かれている。
 つまり長兄のみ、母と血液型が違うのだ。(もちろん出産・成長に影響はない。)

 よって、本書冒頭の「ウイルス、意外な貢献をしていたエピソード」には興味をグッと引かれた。
 ウイルスが人間の誕生・健康に、こんな働きをしていたとは・・・。

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 本書を読んでいると、「ウイルス=悪」という固定観念が見事なまでに崩れていく。
 
 このように「ウイルスに対する多様な見方」を知っておくことは、非常に必要なことではなかろうか。

 ウイルス感染症は、確かに怖い。
 しかし生きているかぎり、ウイルスに触れることは避けられない。

 本書で「ウイルスの多面性」を知り、「ならばウイルスとどう付き合っていくか」を考えれば、適切なウイルス対策ができるのではないか。

 過度に恐れすぎることもなく、正常性バイアスにも陥らない。

 本書で「ウイルスの様々な姿・意外な働き」を知ることで、時宜に応じた適切な対応ができるであろう。

 新型コロナ対策も、まだまだ油断はできない。
 第二波に備えるためにも、この「ウイルスは生きている」、一家に一冊持っておいて損はない。
 
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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