「感染地図 歴史を変えた未知の病原体」感想。新型コロナ、感染経路の特定・公開をしてほしい理由。

 今日、私たちが直面している脅威がどれほど深刻であろうと、その脅威の下に横たわる原則に気づきさえすれば、迷信ではなく科学の声に道を傾けるようにすれば、真実が隠れているかもしれない異なる意見に道を開くようにすれば、解決策はかならず見つかる。
(本文引用)
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 新型コロナの感染情報で、もどかしく思う時がある。
 それは「患者の行動範囲」が、いまひとつ明かされないことだ。

 事案によっては、特定の施設や、かなり絞った自治体レベルまで公開されることがある。

 しかし「●●県」や「××市」レベルだと、感染原因・経路がわからない。

 プライバシーの問題もあり、難しいとは思うが、コロナ克服のためには「感染経路特定・公開」が不可欠ではなかろうか。
 (その代わり、感染者及び関係者に対する差別などは、絶対にあってはならない。
  感染者に対する差別は、却ってコロナ克服を遠ざけていることを、1人ひとり自覚すべきである。)


 人類が感染症を乗り越えるために、なぜ「感染経路特定・公開」が重要か。
 本書を読めば、その理由がよくわかる。 
 
 1854年、ロンドンのとある一角で異変が発生。

 周辺住民が次々と倒れ、悶絶の末死亡する。

 病の正体は何なのか。
 そしてどうすれば、たとえ病にかかっても、最悪の結果を防げるのか。

 医師・科学者たちが、当該地域をつぶさに調査。

 病の原因と「克服の決定打」を、徐々にあぶり出していく。
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■「感染地図」内容



 時は1854年8月。
 ロンドンのブロードストリート界隈で、住民が次々死亡。

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 激しい嘔吐・下痢を発症し、目は落ちくぼみ、唇の色は真っ青に。
 老若男女問わず、苦しみ悶え死んでいくのだ。

 人々はその状況を、悪魔の仕業と捉え、瘴気や人格に原因を求める。

 その間に、医学者たちは自分の足で徹底調査。
 
 刑事のように聞き込みを重ねた結果、徐々に原因が浮き彫りに。

 実は同地区でも「病にかかった者」と「かからなかった者」がいることがわかったのだ。

 病にかかった者たちは、ブロード・ストリートの井戸水を日常的に飲んでいた。
 一方かかっていない者は、「他の水源の水を飲んでいた」「飲んでいるのは酒ばかり」という人々。
 
 ブロード・ストリートの人々の死は、悪魔の気や人格などではない。

 皆が愛飲していた、町の井戸水だったのだ。

 そこから疫病克服は、一気に舵を切っていく。
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■「感染地図」感想



 本書のクライマックスは、「原因特定の証拠固め」の場面だ。
 
 悪魔の所業と捉える世の中で、緻密に調査・分析を行い、いよいよ原因が明るみに。

 証拠に基づき、常識を覆す策を行う経緯は、読んでいて実に痛快だ。

 新型コロナもこのように解決すれば良いが・・・と切に願うが、なかなか難しいものなのだろう。
 
 本書の事例は、感染したら即激烈な症状が出るため、まだ対処がしやすかったのかも。
 
 新型コロナは「感染しても無症状」という人が少なくないため、本書のような「急転直下の解決劇」とは、いかないのかもしれない。

 でもやはり、本書で「疫病克服の一部始終」を知ると、感染経路特定・公開を願いたくなる。

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 もはや経路を追いきれない状況だとは思う。

 しかし、できるかぎり地域・状況・移動経路などを絞り、情報共有することが必要ではないか。
 そうしないと、感染経路の証拠固めができず、いつまで経っても収束させることはできないのではないか。
 
 明確な感染経路・地域・施設が明かされぬ報道に触れるたび、そんな不安に襲われる。

 だが、そうできない責任は、我々の方にあるのかもしれない。

 感染者・感染者が出た施設・地域に対する差別や嫌がらせ・・・そんな言動が続くかぎり、永遠に「コロナの原因の証拠固め」は遠のいていく。

 コロナ克服に重要な「感染経路特定・公開」には、情報の受け手も協力が必須。
 
 一日でも早く、この状況から脱するためには、情報受信者も「原因究明の証拠固め」に協力する姿勢を持つべきだ。
 そうしないと、瘴気・悪魔・人格のせいなどと「非科学的な根拠」に走り、克服どころか、ますます事態は悪化していくことだろう。

 200年以上前の疫病から、新型コロナウイルス克服のヒントが得られる「感染地図」。

 今回の事態において、読んで決して損はない。
 
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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