「おっぱいエール」感想。若年性乳がんの女性3人組が日本にエール!控えめに言って最高の一冊。

抗がん剤の副作用も心配だし、それが無事終わったところで、その先にはまだ光すら見えなくて、たくさんの困難が待ち構えているに違いないのに-でも、その最中に、大切な人の笑顔に出会える瞬間があるのだとしたら、やっぱりそれは、「悔しいけれど、おもしろい」に違いない。
(本文引用)
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 今までこれほど元気が出た小説は、ない。
 
 その「元気」も、ただ「やるぞー!」という単純なものではなく・・・なんだろう?
 今後、どんなマイナスなことが起きても、とにかく生きるだけ生きていけるような、這ってでも生きていけるような、予想外の緊急事態に直面しても静かに笑顔をたたえていられるような・・・。

 何があっても自分を見失わず、人を貶めることなく、一個の尊厳ある人間として立っていられるような。
 何があっても、一筋の光に大きな希望を見出せるような。

 そんな「心の奥深くからの元気」を、本書は私に贈ってくれた。

 これほどの感動が、私の人生にまだ残っていたなんて。

 
 「おっぱいエール」、最高だ。
 どんなに控えめに言っても、最高としか言いようのない小説だ。
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■「おっぱいエール」あらすじ



 本書は、3人の女性が交わる物語。
 3人とも、若年性乳がんの患者だ。

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 百花は25歳の新婚で、妊活中にがんを発見。
 夫婦で子どもを切望していただけに、大きなショックを受ける。

 菜都は造り酒屋の旧家に嫁ぎ、不妊治療の末に一女を出産。
 「跡取りの男の子を」という期待のなか、乳がんが判明。
 義母と夫との関係が、日に日にギクシャクしてくる。

 柚子は現在30歳。
 27歳の時に乳がんを経験。
 以後、定期検診で「異常なし」がわかるたびに、自分にご褒美をあげている。

 3人はそれぞれ、「同じ乳がん患者の人に元気をあげたい」と、ブログを開設。
 お互い見ず知らずの3人だったが、ブログ・SNSを通して交流。

 ついに温泉旅行に出かけることに・・・?
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■「おっぱいエール」感想



 新型コロナウイルスの影響で、今、世の中全体が落ち込んでいる。
 明日の生活をもわからない・・・という人も、少なくないだろう。
 
 そんな、先が見えない不安や艱難辛苦を抱えてる人に、「おっぱいエール」はおすすめ。
 乳がんの物語ではあるが、男女関係なくぜひ読んでほしい。
 
 青天の霹靂ともいえる苦難や絶望の先に、どれほどの光が待ち受けているか。
 つらく悲しい日々のなかでも、目を凝らすと、どれほどの希望があちこちに転がっているか。

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 今現在、目の前が真っ暗になっていても、どうか本書を読む力だけは残しておいてほしい。
 その小さな力は、読了後、計り知れないほどの「生きるエナジー」に変わるだろう。

 本書の3人は、若くして「死」を意識し、人生設計が大きく変わってしまった。
 そしてその後、毎日元気に生きていても、心の隅には「死」が横たわる。
 
 「なぜ自分だけ」という思いを抱えつつも、一歩一歩自分の人生をしっかり歩んでいる。

 そんな3人組の様子を見てると、「生きねば」という思いが、身体の芯からヒタヒタとわいてくる。
 「生きる、ただそれだけで、何て素晴らしいことなのだろう」と心底思えてくるのだ。

 さらに本書は、主人公を囲む人々も素敵。
 特に百花の夫・涼太の言葉には涙、涙・・・。

 涼太の言葉を読めば、「誰もが誰かの大切な人。自分も誰かの大切な人。だから生きてる価値がある」と自信がわいてくるだろう。

 本書の著者・本山聖子氏は、自身が27歳で乳がんにかかり、それを機にフリーランスに転向したらしい。
 そう聞くと、この「おっぱいエール」、「乳がん経験者だから書けるんだろう」と思うかもしれない。
 
 しかし本書を読むかぎり、他の題材の小説も、面白いこと間違いなし!
 「おっぱいエール」がデビュー作とのことだが、ぜひ次回作も読んでみたい。
 
 新刊が出たら、即、買います。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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