岡田晴恵「怖くて眠れなくなる感染症」感想。コロナパニックに陥らないために絶対読みたい一冊。

 感染症は予防や適切な対応を知って実践することで、健康被害を確実に減らすことが見込めます。知識を持つということは、すなわち、感染症からの生き残りにつながるのです。
(本文引用)
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 パンデミック宣言までされた、新型コロナウイルス感染拡大。
 全国一斉臨時休校、春の選抜高校野球中止等々、日本ではもはや有史以来の動きとなっている。

 今、自分にできることは何なのか。
 突き詰めて考えたところ、「できること」とは次の二点。

 ●正しい知識を持ち、少しでも確かな予防対策をすること。
 ●冷静になること。

 その二点を叶えてくれる本に、やっと出会えた。
 
 感染免疫学の専門家・岡田晴恵著「怖くて眠れなくなる感染症」だ。

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 本書は、「歴史を動かした感染症」を徹底解説。
 
 天然痘、ペスト、コレラ、結核、破傷風、エボラ出血熱やデング熱、O-157等々。

 人類の歴史を語るうえで欠かせない伝染病、人類の歴史を大きく変えた感染症19個について、感染源・伝染のメカニズム・ワクチン開発・再発の可能性などについて、非常に詳しく、なおかつ非常にわかりやすく説いている。

 さすが専門医の著作だけあり、感染拡大防御策・予防法が体の奥まで納得できる内容。

 ワクチン接種をはじめ、手洗いや、消毒液の選び方、受診の目安なども「なるほどわかった!」と合点のいくもの。

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 医学的エビデンスや、病の感染源を突き止めた実験経過なども書かれているため、感染症対策に非常に有意義な一冊だ。

 なかでも黄熱病の感染源追究実験は、息をのむ内容。
 
 黄熱病は動物の発症が稀なため、医師たちは人体実験することに。
 患者の血を吸った蚊に刺されてみるという、まさに命をかけた実験は、ただただ圧巻。
 
 私たちが今こうして生きている世界が、そんな「生命をかけた戦い」のもとに築かれていると思うと、頭が下がる思いである。

 また著者はたびたび、各感染症について「感染してるのに症状が出ないことが多い」ことを指摘。
 天然痘が撲滅できたのは、感染すると確実に発症するから。
 しかし多くの感染症は、感染しても発症せず、その間にどんどん伝播させてしまう。
 
 叩いても叩いてもなくならない「特にしぶとい感染症」の特徴が、腑に落ちる形で書かれている。

 このように、本書は「専門医」の目線で、「感染症の特徴」「感染症の本当の恐ろしさ」「感染源解明に基づく、有効と思われる対策」を詳述。
 
 よって本書を読むことで、感染症に関する「正しい知識」・「正しい恐れ方」を学べるのだ。

 さらにもうひとつ。
 本書には、ある「重要なメリット」がある。

 それは感染症患者に対する差別をなくせることだ。

 病が大流行すると、人々はパニックに陥る。
 これは洋の東西を問わず、今も昔も変わらない。

 今回の新型コロナウイルス肺炎でも、「医療従事者が家族まで差別される」など、とんでもない事態が起きている。
 また「感染者」とデマを流され、経営している会社が追い詰められるという人まで現れている。

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 本書では、そのような「差別・デマ」への危険性も厳しく指摘。

 かつて欧州では、ペストの大流行により、キリスト教への不信感が蔓延。
 そのうち「ペストの流行は異教徒の企みに違いない」という差別・デマが飛び交い、ユダヤ人が大量に殺戮される。

 この事件を、私たちは笑えるだろうか?
 いや、決して笑えない。
 
 約700年前の「感染症による差別・デマ」を、私たちは学習することなく、未だに行っているのだ。

 このような「感染症にまつわる二次被害」についても、手を緩めずに言及してるのが、本書の大きな魅力である。

 新型コロナウイルス感染拡大が止まらないなか、不安を感じる人も多いだろう。
 私も日々、「どうすれば正しく恐れられるのか」「どうすれば有効な策を打てるのか」に頭を悩ませている。

 しかし本書を読み、かなり気持ちが落ち着いてきた。
 
 デマに惑わされず、医学的エビデンスのある情報を選び取り、常に頭をクールにし、有効と思われる策を地道に行なう。

 そうすることで、パニックに陥らないことが、感染拡大防止に少しでも寄与できるだろう。

 とにもかくにも、「読んで良かった」と心から思える一冊だった。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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