「パレートの誤算」あらすじ感想。正義のケースワーカーはなぜ殺された!?意外すぎる真犯人に妙に納得。

 「言うなれば、生保は自分の力で生きていけない人の-社会的弱者と呼ばれている人たちの最後の命綱だ。その命綱を、悪用する奴らを俺は許せない」
(本文引用)
______________________________

 3月からドラマ放送される「パレートの誤算」。
 
 読めば思わず「さっすが柚月裕子!」と言いたくなる。

 揺るぎない正義感、ギリギリまで犯人がわからない展開に、一気読み必至の傑作だ。

 役所のケースワーカー・山川が、火事の焼け跡から死体で発見。
 しかし山川は火事の前に、殺されていたことが発覚。

 誰よりも熱心で、誰よりも社会的弱者に寄り添っていた山川が、なぜ殺されたのか。

 聡美、小野寺ら同僚たちが真相究明に乗り出すが・・・? 


 本書の「すごさ」は、「社会正義」と「ミステリーの超絶技巧」が両方見事に立っている点だ。

 山川が着けていた、年収に見合わぬ高級時計。
 山川が敢えて書かなかった、生活保護受給者情報。

 「山川の隠れた素顔」を、真相につながる「点」としてばらまきながら、読者を見事に煙に巻く。
 
 さらにいよいよラストにさしかかろうとしたとき、「もしやこいつが・・・?」と黒幕をにおわせ、意外な結末に。

ce49168c2988700b9015d840a4e1f77f_s.jpg



 読者をさんざん翻弄し、かといって「確かに犯人は、この人なら無理もない」と納得させてしまうあたり、さすがミステリーの女王。

 柚月裕子の小説はいつも、予想外すぎる真相なのに、全く腹が立たないのが魅力。
 「あの人が犯人だったのー!?」とビックリさせられつつも、「まあ、あの人以外はあり得んわな」とストンと肚落ちしてしまう。

 そこが柚月裕子ミステリーが、愛される理由であろう。

 そして本書を読むと、犯人・真相探しをじっくり楽しみながら、社会の闇も知ることができる。

 今、新型コロナウイルス感染拡大で、経済的に追い詰められる人が多数出てくるであろう。
 たとえ感染が収束し、社会が落ち着きを取り戻しても、1人ひとりの生活に大きな爪痕を残すだろう。

 その時に、私たちは何ができるか。
 「生きることが、死ぬよりつらい」と言うような社会を、どうすればせき止められるのか。
 
 そんな社会の実現のためにも、本書は読んで損なし。

 「富める二割の者以外は、存在意義無し」という「パレートの法則」を、誤算にする-世界的に経済が底をつきつつある今、求められているのはそんな志だ。
 
詳細情報・ご購入はこちら↓
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告