今日の総理 池上彰

あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。


 さて、新年早々突然であるが、以下の文章を読んでいただきたい。

 【午前】10時52分、千葉県船橋市の市立薬円台小学校。衆院選の投票。58分、報道各社のインタビュー。11時32分、同市の野田佳彦選挙事務所。
 【午後】0時40分、公邸。10時42分、東京・芝公園のホテル「ザ・プリンスパークタワー東京」。44分、民主党の輿石幹事長、安住幹事長代行。50分、岡田副総理。11時6分、連合の古賀伸明会長。輿石幹事長同席。18分、ホテル内の民主党開票センター。20分、記者会見。38分、公邸。
(朝日新聞2012年12月17日朝刊より)

 上記は、2012年12月16日の野田首相の行動である。

 そしてその10日後の「首相」の行動は、以下のとおり。



 ▼安倍新首相
 ▽26日
 【午前】9時50分、衆院第1議員会館。52分、安倍晋三事務所。10時6分、国会。7分、報道各社のインタビュー。14分、自民党本部。34分、自民党の初当選議員との会合。11時34分、党両院議員総会。53分、同党の細田幹事長代行。
 【午後】0時50分、国会。52分、党代議士会。1時7分、特別国会の衆院本会議。衆院正副議長選挙。首相指名選挙。3時12分、伊吹、赤松衆院正副議長、佐田議運委員長にあいさつ。25分、衆院各会派にあいさつ回り。42分、平田、山崎参院正副議長、岩城議運委員長にあいさつ。46分、参院各会派にあいさつ回り。4時6分、官邸。41分、公明党の山口代表と与党党首会談。自民党の石破、公明党の井上両幹事長同席。55分、閣僚内定者らを呼び込み。6時22分、皇居。内奏、首相任命式、閣僚認証式。9時20分、官邸。39分、記者会見。10時33分、閣僚に補職辞令交付。51分、初閣議。11時21分、閣僚と記念撮影。26分、首相補佐官らに辞令交付。34分、首相補佐官らと記念撮影。
 ▽27日
 【午前】0時28分、東京・富ケ谷の自宅。
 
 ▼野田前首相
 【午前】8時54分、官邸。9時1分、臨時閣議。10分、終了。
 【午後】0時44分、官邸玄関ホールで職員らの見送り、花束贈呈。47分、国会。1時7分、衆院本会議。
(朝日新聞2012年12月27日朝刊より)
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 2012年12月16日の衆議院議員総選挙により、政権は民主党から再び自民党へと渡された。

 世の中には、やや諦めにも似た空気が蔓延している。「3年前のあの政権交代は何だったのか」と。

 そこで読みたいのが、この「今日の総理」
 
 あの池上彰氏が、朝日新聞「首相動静」の記事を通して、2009年の総選挙でいったい何が変わったのか、そして過去の首相はどのように行動してきたのか、あるいはパフォーマンスを見せてきたのかをつぶさに振り返るという、異色の一冊である。
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 スタートはもちろん、鳩山由紀夫首相(当時)の一日から。
 外出や食事にはいつも幸夫人を伴い、行動範囲は従来の銀座・赤坂から一変、自宅周辺の田園調布へ。そんな生活スタイルから、鳩山氏の会合スタイルなどを覗いていく。
 (余談だが、私は、鳩山氏が首相に就任した直後に、スーパーマーケットで買い物をする鳩山夫妻に遭遇したことがある。屈強なSPらしき男性もちらほら。ご夫妻は非常に大量に食材を買っており、会計にかなり時間がかかっていたことが印象に残っている。お二人は終始にこやかであった。当たり前か)

 そして鳩山氏からさかのぼり、「秋葉原エンタまつり2008」に参加する麻生太郎首相、そこからぐっとタイムスリップして福田赳夫、大平正芳、そして消費税導入にリクルート事件、大喪の礼と今なお強烈な印象を残す竹下登時代・・・。
 そして細かく首相は変わり、ついに「自民党をぶっ壊す」と銘打った小泉純一郎へ。
 そこから安倍晋三、福田康夫と「政権放棄」といわれた首相たちをもって、この本は終了する。

 こうして一気に読んでいくと、料亭やホテルのバーが好きな高級志向の首相、自宅で過ごすのが好きな首相、生まれもってのお坊ちゃん体質が抜けない首相、意外と地道な努力を重ねている首相など、人物ごとにくっきりと特徴がわかり大変面白い。
 池上彰氏の、首相たちに対する「愛ある視線」をひしひしと感じる。

 しかしこの愛情は、ジャーナリストならではの厳しさをも含む。
 随所随所に「庶民派を訴えたいんだろうけど、これじゃあね」といった、付け焼刃的なパフォーマンスにはズバズバと苦言を呈する。
 その観察眼は、さながらシャーロック・ホームズか杉下右京。

 「誰と、どれぐらいの時間、話したか」
 「どんな本を買ったか。そして果たしてその本を、本当に読んでいるか」

 といった、首相にとってちょっと痛い指摘を、細かな動向から推察して遠慮なく投げかける。読んでいて非常に痛快だ。

 今年2013年は、7月に参院選が行われる。
 政局にとって最大のヤマ場といわれるこの選挙で、有権者である私たちはどうするか。

 毎日の「首相動静」で、現首相や政府の方針が見えてくるかもしれない。
 今日も「今日の総理」に注目だ。

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他の池上彰作品のレビューはこちら→「この社会で戦う君に『知の世界地図』をあげよう 池上彰教授の東工大講義」
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Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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