「安楽死特区」あらすじ感想。ミステリーじゃないのにミステリーより怖い「どんでん返し」3連発!

この物語が近い将来、現実にならないことを祈っています。
(「あとがきにかえて」より)
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 「どんでん返しにもほどがある!」
 これが、本書読了後の第一声だ。

 そう聞くと、ミステリー小説と思うかもしれないが、本書はミステリーではない。
 全く、ない。

 しかし「どんでん返し」の衝撃度は、そんじょそこらのミステリーよりはるかに強い。
 
 どんでん返しといえば、ミステリーの専売特許と思っていたが、本書を読み、認識がガラリと変わった。

 実は人間はすでに、「どんでん返し」が渦巻く住処。


 知能犯でも名探偵でもない、普通の人間こそが「大どんでん返し」を起こしてしまう。

 「安楽死特区」は、そんな気づきをくれる衝撃的な一冊だ。
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■「安楽死特区」あらすじ



 本書の主人公は3人。
 
 小説家・澤井真子。
 心臓外科医・尾形紘。
 そして写真家・岡藤歩だ。

 澤井はかつて一世を風靡した人気作家だが、現在は年を重ね、ほぼ隠居の身。
 最近、認知症が疑われ、「自分が自分でいられるうちに死にたい」と考えるようになる。

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 心臓外科医・尾形も、「死の選択」に悩むひとり。
 ある日、命を天秤にかける必要に迫られ、責任をとる形に。
 医師生命を絶たれるかと思いきや、終末ケアの医師に転身することとなる。

 そして歩は、恋人・章太郎が多発性硬化症を発病。
 章太郎は日に日に体が動かなくなり、安楽死を望むブログを発信。
 歩は、そんな章太郎と共に過ごしながら、安楽死への交錯する思いを募らせていく。

 おりしも日本で、安楽死法制化への動きが発動。
 安楽死希望者の願いを叶える地域=安楽死特区をつくるという。

 真子、章太郎ら「安楽死を望む者」は、安楽死特区で幸せになれるのか?
 そして終末ケアの行方は? 
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■「安楽死特区」感想



 冒頭で書いたとおり、本書には強烈な「どんでん返し」がある。

 しかもミステリーより圧倒的に衝撃度が高い。

 その理由は、本書が「人間の奥深くに眠る本能」を残酷なまでにえぐり出しているからだ。
 
 本書の主人公たちは、「安楽死」という「死の瀬戸際」に身を置く。
 そんな「究極の状況」に置かれた時、人はどんな行動に出るか。

 人は「いざいう時、本性が出る」というが、安楽死は究極の「いざ」という時。

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 その瞬間、人はどこまで理性的でいられるのか。
 当初の予定通りの行動・心持でいられるのか。

 本書は安楽死の間際を描くことで、本人にもわかり得なかった「本能の目覚め」を暴き出す。

 だから「安楽死特区」のどんでん返しは、顎がはずれ、腰が抜けるほど衝撃的。

 トリックやアリバイ崩し等、想像の「どんでん返し」では追いつけない。

 人間が「いざという時にやっちゃったこと、いざという時にわきあがってしまった感情」こそが、最大のどんでん返しなのである。

 どんでん返し小説の概念を、完全に覆す「安楽死特区」。

 読書好きなら「読まずに死ねるか!」と言いたくなる一冊だ。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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