誉田哲也「背中の蜘蛛」あらすじ感想。直木賞候補作!「読んだら日常には戻れない」は本当だった。

「馬鹿だな、お前・・・・・・人の秘密を暴く側の人間が秘密を持ったら、その時点で負けなんだよ」
(本文引用)
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 直木賞候補作。

 帯に「読後、あなたはもうこれまでの日常には戻れない」と書かれているが、本当にそのとおりだった。

 縁もゆかりもない、赤の他人の殺人事件。
 しかし意外な形で、自分の生活を脅かす。

 その危険に気づけるのは、「背中の蜘蛛」を読んだ人だけ。
 
 だから本書を読んでしまうと、もう読む前には戻れない。

 読んだ人と、読んでいない人とでは、風景の見え方、日々の過ごし方、人生の歩き方が全く違ってくるはずだ。


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■「背中の蜘蛛」あらすじ



 東京・池袋で殺人事件が発生。
 捜査が難航するなか、刑事課長の本宮は、捜査一課長にある依頼をされる。

 被害者の妻の過去を、高校時代までさかのぼって調べろ、特に男関係を、と。
 
 結果、そのねらいは的中し、あれよあれよと犯人逮捕にこぎつける。

 その後、新木場で爆破殺傷事件が発生。
 薬の売人が死亡。
 さらに、売人を追っていた警察官・植木が、事件に巻き込まれて重傷を負う。

 姿の見えない爆弾魔ということで、解決は難しいとみられていたが、これまたすんなり犯人判明。
 植木が病院のベッドで昏睡している数日間で、事件はほぼ解決に向かっていた。

 本宮や植木らは、不思議に思う。

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 なぜこんなに早く、犯人がわかるのか?
 なぜこんなに早く、的を射た捜査ができてしまうのか?

 そこには思いもよらぬ重罪が隠れていた。
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■「背中の蜘蛛」感想



 路上殺人と爆破殺人、ミステリーとしてはよくある事件で、犯人もさして意外ではない。
 事件や犯人像だけ見ると、実にありがちなミステリー。
 中盤までは「これが直木賞候補?」と不思議に思うほど、オーソドックスな内容だ。

 しかし物語が進むにつれ「これは全然、ありがちじゃない!」と驚愕。
 どこに向かうかわからない展開から、予想だにしない大犯罪に到着。 

 その大犯罪がわかった瞬間、ガタガタと震えがきた。
 
 「読まなければよかった、でも読んでよかった、いや、読まないと大変なことになるとこだった」と、嫌な汗がタラタラ出てきたほどだ。

 途中、かなり際どい描写もあり、目をそむけたくなる時もあった。
 「反吐が出る」という表現がそっくり当てはまる場面もあった。

 しかし徐々にあらわになる「見えない大犯罪」のほうが、よほど「反吐」という言葉がふさわしい。
 
 「信じられる」と思いこんでいたものが、「信じられない」とわかること。
  
 「裏切り」という行為は、これほど心身にこたえるものかと・・・本書を読み、初めて認識した。

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 さて、その「信じられると思っていたのに、信じられないとわかったもの」とは、いったい何か。
 身も心も切り刻まれるような「裏切り」とは、いったいどんな行為なのか。

 しかもこの裏切り、いつ誰がされてもおかしくない。
 すでにされている可能性も、充分ある。

 「背中の蜘蛛」を読んでおけば、読まない人よりも早く確実に「手ひどい裏切り」に気づくことができる。
 自分を守るリスクマネジメントとして、本書を読んで損はない。

 だが一方で、こんなこともふと思う。
 「読まないで、平穏な日常を過ごせる自分に戻りたいなぁ・・・」とも。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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