「辺境で診る 辺境から見る」感想。中村哲さんは日本人でもアフガン人でもない。地球人だったのだ。

 彼らは外国人の情熱のはけ口でもなければ、慈善の対象でもない。日本人と同様、独自の文化と生活意識を持った生身の人間たちである。
(本文引用)
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 中村哲さんの「6万字インタビュー」が、令和2年2月12日に公開された。
 (サイトはこちら→「中村哲が14年に渡り雑誌『SIGHT』に語った6万字」。)

 6万字インタビューと本書を読み、改めて強く思う。

 中村哲さんは、真の「地球人」だったのだ、と。

 ご著書を読んでいると、心底「国境」という言葉を忘れてしまう。
 
 たまたま文化や言語、気候や宗教等違いはあるが、日本もアフガニスタンも「人間」は変わらない。
 同等の人権・思想・理想・信念・自尊感情を持ち、上下など一切ない。


 同じ人間が、気候等の何らかの違いで困っている。
 そこで彼らとともに力を併せ、解決していく。
 ただただ実直に誠実に、それを続けてきただけのこと。

 中村哲氏の本からは、そんな「フラットな目線」と「決してぶれない姿勢」がヒシヒシと伝わってくる。

 だから私は思う。
 中村哲さんの心の中の地図には、国境はなかったのではないかと。

 同じ地球に生きる者として、助けを必要としている仲間に手を差し伸べ、ともに歩む。
 そんな「真の地球人」だったのではないかと。

 本書を読み、改めて、中村哲氏の死が悔やまれる。
 
 中村氏の死去は、日本やアフガニスタンの損失にはとどまらない。
 地球全体が至宝を失ったのだ。
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■「辺境で診る 辺境から見る」内容



 本書は、メディアに掲載された氏のコラムをまとめた一冊。
 
 国際化信仰に対する苦言、アフガニスタン・パキスタンでの活動、現地の文化、差別の現状等々。
 
 中村哲氏がペシャワール会での活動のなかで、日々感じていることや信念についてつづっている。

 あとがきではさらに、アフガンを通して「地球の未来」について提言。

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 現場主義を貫いた姿勢から、地球が今、直面する危機についても解説・主張していく。

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■「辺境で診る 辺境から見る」感想



 本書を読むと、己の中にある「無意識の優越感」に気づき、ドキリとする。

 「自分じゃなくて良かった」「自分は日本に生まれてよかった」「自分は気候の良い都市に住んでいてよかった」「災害危険区域じゃなくて良かった」etc.

 国内外問わず、支援や寄附をするとき、私は心のどこかで「優越感」に浸っているのではないか。

 本書で、中村氏の活動・信念を深く知るにつれ、己の浅慮と愚かさに打ちひしがれた。
 
 中村哲氏の偉大さは、「優越感」や「してあげてる感」が一切ないことだ。

 相手の文化・思想・自尊感情を決して侵さず、敬意を忘れない。
 そして身も心も完全に入り込み、「中から外」を見つめていく。

 だから中村氏の活動は、本当に人々を幸せにするものだった。

 中から見て「真に必要な事」を、倦まず弛まず生み出しつづける。
 自分にどんな危機が迫ろうとも、「中の人」になっているから逃げだしはしない。
 
 アフガニスタンの人々にとって、中村哲氏の存在はどれほど心強かったことだろう。
 本書を読みながら、そんなことを想像し涙がこぼれた。

 日本・アフガニスタンにとどまらず、地球にとって宝だった中村哲さん。
 凶弾に倒れたことが心から悔やまれるが、その死を無駄にしないことが、同じ「地球人」としての務めであろう。

 6万字インタビューおよび「辺境で診る 辺境から見る」を繰り返し読みながら、自分に何ができるかをじっくり考えていきたい。

詳細情報・ご購入はこちら↓


■併せて読みたい→「医者、井戸を掘る」感想
 
 
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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