「ライオンのおやつ」あらすじ感想。外で読めない号泣本。直木賞・本屋大賞同時候補も納得!

 端から端までクリームがぎっしり詰まったあのチョココロネみたいに、ちゃんと最後まで生きることが、今の私の目標だった。
(本文引用)
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 本書ほど「外で読むんじゃなかった・・・」と後悔した本はない。
 
 カフェで読んでいて、涙がボタボタボタボタ止まらなくなり、鼻水もグズグズに。
 マスクで何とかごまかしたものの、隣席の人はさぞかし不審に思ったことであろう。

 本書タイトルの「ライオン」とは、もう誰に襲われることもなく、寝て食べて、心安らかに過ごしていればいい、とされた人。

 つまり「死が確実に近づいている人」だ。

 「ライオンのおやつ」は、そんな「死が迫っている人たち」を描いた一冊。


 確実に身体が動かなくなるなか、彼らはいかにして「死の恐怖」に立ち向かうのか。
  「死への覚悟」と「生への未練」を行き来する思いを、どう整理していくのか。

 直木賞・本屋大賞ノミネートも納得の、心震える人生賛歌である。
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■「ライオンのおやつ」あらすじ



 主人公・海野雫は33歳の女性。
 末期がんで余命を宣告されている。
 
 結婚はしておらず、唯一の家族・父親とも離ればなれ。
 ほぼ天涯孤独の身で、瀬戸内のホスピスに赴く。
 
 ホスピスの名は「ライオンの家」。
 そこには不思議な慣習があった。

 その慣習とは毎週日曜、ゲストが希望したおやつが出ること。

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 「ライオンの家」のゲストたちは、人生最後に何を食べたいと願うのか。

 甘美なおやつを通して、人生をどのようにして振り返るのか。

 1人またひとりと旅立つ過酷な状況下、彼らは思い出のお菓子を食べながら、運命と折り合いをつけていく。

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■「ライオンのおやつ」感想



 本書を読み、なぜ私は号泣したか。

 それは、己の無神経さにショックを受けたから。
 「死」に直面した人の気持ちを、自分は何もわかってあげられなかったという事実に打ちひしがれたからだ。

 「生命の終わり」を題材とした本は、非常に多い。
 不治の病の宣告、終末医療、安楽死等々、「命の時間」をつづった本は、フィクション・ノンフィクションともに数多ある。

 しかし「ライオンのおやつ」ほど、「死へのカウントダウン」を意識させられた本はない。
 「余命いくばくもない」という状況が、どれほどつらく、どれほど戸惑い、どれほど心の整理に労力を費やすか。
 「人はいつか死ぬ」とはいえ、「もうすぐ死ぬ」と告げられることが、これほどまでに人を懊悩させるとは・・・本書を読むまで想像もつかなかった。

 たとえば雫が、ワンピースを買ったエピソード。

 雫は「ライオンの家」に行く際、多くの荷物を整理する。
 人生の残り時間を考え、涙を流しながら、要る物・要らない物を取捨選択する。

 そして「要らない物」の最たるものが、普段着。
 どうせすぐにベッドから動けなくなるから、と普段着よりパジャマ優先で荷物をまとめた。

 そんななか、一着だけ持ってきたのがワンピース。
 高級ブランド品で、今まで手が出なかったが、雫は思い切って購入。
 
 しかし購入するまで、雫はおおいに葛藤する。
 

どうせ燃やしてしまうのに、そんな大金を払うならどこかに寄付して社会貢献でもした方がいいんじゃないの


 と。

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 その瞬間、雫はこんな声を聞く。

 「違うでしょ!」


 心の声を聞いた雫は、旅立ちの服として、そのワンピースをホスピスに持っていくのである。

 「どうせ燃やしてしまうのに」とワンピースを買わずにいるか、「最期だけでも、自分に正直に生きたい」と思うのか。

 「死後」を考えるか、「生前」を考えるか、1つひとつ行動を起こすたびに迷い、選び、また迷う。

 ワンピースのエピソードを読み、「生命の期限を意識して生きること」がどれほど過酷であるか、打ちのめされる思いがした。

 だから私は泣いた。
 大病を患った人、家族を病で亡くした人・・・そんな「生命の期限」を告げられた人の気持ちを、何にもわかっていなかったことに気づき、ただただ情けなくて泣いたのだ。

 自分もそう若くはない。
 死ぬにはまだまだ若い年齢だが、いつ余命を知らされる日が来てもおかしくはない。
 友人や家族が、生命の期限を突き付けられることもあるだろう。

 そのたびに、きっと私は「ライオンのおやつ」を思い出す。
 そして思い出しては、「命の期限」を知らされる苦悩を、お互い少しでも分け合いたい。
 
 甘いお菓子を分け合うように。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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