長岡弘樹「血縁」感想。「教場」ドラマを観たらコレ!なぜ家族の事件は「まともな人たち」が引き起こすのか。

二人の人間が協力すれば、たいていのことはできるのだ。それが、死んだ家族の復讐であっても。
(本文引用)
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 ドラマ「教場」、原作の「不気味な迫力」がしっかり再現されており、思わず拍手!
 そして改めて、「風間公親はキムタクしかいない」と認識。

 「教場2」のレビューで「風間公親を演じられるのは木村拓哉さんしかいない」と書きましたが、予想以上にピッタリで惚れ惚れしました。

 聡明さ・温かさ・厳しさ・人徳、そして年齢を問わず異性をひきつけるルックス。
 それらをすべて備えた風間教官は、まさに木村拓哉さんそのものです。(※私、別にキムタクファンではないのですが、今回ばかりは惚れました。)

 
 さて、ドラマ「教場」を堪能したら、次に読みたいのがこちら。
 警察学校から一転、長岡弘樹が家族を描いた短編集・「血縁」です。

 介護、相続、ひきこもり、肉親が巻き込まれる事件・事故・・・。

 警察学校の比ではないほど、闇が深すぎる家族問題。

 短編の名手・長岡弘樹が、7つの謎解きで「家族の愛憎」を暴き出します。
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■「血縁」あらすじ



 本書は7編からなる短編集。
 
 強盗に入ったコンビニで、店長の予想外の対応に迷う犯人。
 介護疲れで明らかに父を殺めたのに、殺人罪とならなかった娘。
 妹を奴隷のように利用し、命まで奪おうとする悪魔姉。
 普段はおとなしいのに、特定の人に会った時だけ吠える飼い犬・・・。

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 親、子、兄弟姉妹、ペットまで「家族」には秘密がいっぱい。

 距離が近いからこそ言えない、1人ひとりの「とんでもない目論見」とは?
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■「血縁」感想



 いったい長岡弘樹さんの頭の中は、どうなってるのだろう?

 7編すべて全く違うストーリーで、「既視感のある物語」は1つも無し。
 しかもいずれ劣らぬハイクオリティなミステリー。

 長岡弘樹さんほど「新しくて面白いミステリー」をコンスタントに届けてくれる作家は、そうそういません。

 「血縁」を読み、改めて「天才という言葉は、長岡弘樹さんのためにある」と確信しました。

 7編全て非常に面白く、順位はつけられないのですが、ここではあえて2編を紹介。

 タイトルは「オンブタイ」と「32-2」。
 いずれも「家族への尋常ならざる愛と憎悪」を描いたものです。

 「オンブタイ」は、交通事故を起こした男の物語。
 建設会社の御曹司・西条は飲み会後、部下・原の運転で帰宅。

 しかしその途上、西条は原にパワハラ同然の態度をとり、交通事故を誘発。

 原は死亡し、西条は全盲の後遺症を負います。

 ある日、西条のもとにタミと名乗る女性が訪問。
 西条の介護をするタミですが、ずいぶん上背があるようで・・・?

 そして「32-2」は、ある双子の姉妹の物語。
 葉苗は母、姉夫婦とともにゴルフへ行くことに。

 しかし母はなかなか現れず、姉も来ない。
 葉苗は義兄とゴルフに行きますが、義兄の行動がやたらと不可解。

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 パーキングエリアで葉苗をトイレに行かせようとしない、見知らぬ人にお金を払ってラーメン店の行列に並び、食べずに帰る。

 実はそれらの行動は、義兄の「ある目的」のためだった・・・。


 これら2編を読んでると「家族とは、かくも人を狂わせるものか」と戦慄します。
 
 実在の事件でも、家族が関わってる場合、「加害者はもともと真人間」であることが多いですよね。
 
 エリートの父親による殺人、老々介護、配偶者に逆らえないまま、虐待に加担してしまった女性等々。

 ずっとまともに生きてきて、まさか自分が「事件の加害者」になるなんて、夢にも思わなかった人。

 そんな人が加害者になってしまうのが、「家族の事件」の特徴です。

 「血縁」はフィクションですし、実際に、本書のようなトリックを仕掛ける人はまずいないでしょう。

 でも「家族がからむと人は豹変する」という点は、虚も実も同じ。

 人間とは家族への愛憎が膨張すると、かくも猛り狂い、知恵を振り絞り、馬鹿力を出すものか。

 本書を読み、「家族にまつわる事件」では、「もともとまともな人が加害者になってるケースが多いこと」に心底納得しました。
 家族って恐ろしいものなんですね・・・。

 ドラマ「教場」で、長岡弘樹ミステリーに興味を持ったら、次は「血縁」がおすすめ!

 「教場」で垣間見た「人間の心の妙」が、さらにクッキリ浮き彫りに。

 風間教官になったつもりで、汚泥の向こうにある「家族たちの思惑」をぜひ暴いてみてください。
 
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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