「風間教場」。「教場」ファンだからこそ買うのを迷った一冊。果たして読んだ結果は?

 「その鰯の調理法と同じ手だよ。片方ずつ焼いたのさ」
(本文引用)
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 「風間教場」は「教場」シリーズ最新刊。

 「教場」好きなら飛びつきたい一冊だが、なかには迷ってる人もいるのでは?

 なぜなら「風間教場」は、シリーズ初の長編。

 「教場」は「短編の名手・長岡弘樹」の真骨頂。

 短編集ならではの「謎解き大行進」に、身悶えするファンも多いはずだ。


 しかし「風間教場」は一冊まるごと「章立てなし」の長編。
 「ええっ? じゃあ、謎解きは1個しかないの?」と落胆するファンもいるだろう。

 実は私も「長編」と聞き、本書の購入を迷った。
 「謎が1つしかないのなら、長岡弘樹のマジックを堪能しきれないな~」と、買うのをずいぶん躊躇した。

 しかし欲望に抗えず、「風間教場」を「えいっ」と購入。

 結果・・・「買って良かった!」の一言。
 何と「風間教場」、長編なのに短編よりも「謎解き」が多いという予想外の構成。
 
 1つの物語にちりばめられた「謎解き」は、さながらオリエンテーリングのチェックポイント。
 
 謎を解きながら、物語りを読んでいると、自分がRPGの世界に入り込んだ錯覚に襲われる。

 「風間教場」は「教場」ファンだからこそ、買うのをためらう一冊。
 しかし「教場」ファンだからこそ、「買って良かった!」と心底思える一冊だ。
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■「風間教場」あらすじ



 警察学校の名教官・風間公親は、校長からある課題を出される。
 
 「一人でも退校者を出したら、教官を辞めてもらう」

 警察学校は非常に厳しいもの。
 どんなに警察に憧れを抱く者でも、耐えきれず辞める者は後を絶たない。

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 また規則違反で退校を迫られる者も。

 さらには、他の職業への足掛かりとして、ひとまず警察学校に入るという者もいるのだ。
 
 劣等・優等関係なく、いつ誰が辞めてもおかしくない警察学校。

 すでに「やる気のない者」「重大な規則違反を犯しかけてる者」「他の仕事に心が傾いてる者」がチラホラ。

 教官・風間公親は、どうやって彼らを警察学校に踏みとどまらせるのか!?
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■「風間教場」感想



 冒頭で書いたように、「風間教場」は「謎解きのオンパレード」だ。
 しかしそれらの「謎解き」が、いずれも恐ろしく深いのが本書の魅力。

 「事件が起きた」「証拠はコレ」「だから犯人は●●」という、単純なものは1つもない。

 本書の謎解きは、「辞めたい者を辞めさせない」という心理戦。

 風間公親が生徒の心を操作・誘導し、卒業にまで持っていく様は、メンタリストDaigoもビックリの巧みさ。
 ある意味、「自分の心がこんなふうに操られたら・・・」と思うとゾッとするほどだ。

 たとえば警察学校をステップとして、マスコミ転職を夢見る生徒。
 風間はどうやって、彼を翻意させるかに頭をひねる。

 ある日、風間は食事中に、大きなヒントを得る。
 警察学校の魚料理は、おいしいと評判。
 おいしさの理由は、片面焼きのグリルにあるというのだが・・・?

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 日常生活の何気ない出来事から、風間が「解決の糸口」を見つけるプロセスは、実にお見事!
 校長がお殿様なら、風間はさながら一休さん。

 風間の手腕を前にして、校長が「アッパレ!」と手を叩いて喜ぶ様が目に見えるようで、読んでて実に痛快だ。

 「教場」ファンも、「教場」ファンでなくても、宝探しのように謎解きを味わえる「風間教場」。
 正月休みでボンヤリした頭も、本書一冊でシャキッと覚醒できるだろう。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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