「忠臣蔵の決算書」。大石内蔵助はなぜ名リーダーなのか。“お金”から見える真のリーダー像。

 立場も考えもさまざまに異なる多数の同志を足かけ二年に亘って統制した内蔵助の力量は、あらためて高く評価されるべきものである。
(本文引用)
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 「忠臣蔵の決算書」は、「真のリーダー」がわかる本。

 最も人望を集めるリーダーとは、どんな人か。
 それはメンバーの金銭に配慮できる人物。

 さらに言うと、メンバーのプライベートな事情や、多様な価値観を鑑みて、懐事情を考えられる者。

 いくら意欲があっても、どんぶり勘定で、金銭的負担をかけるようでは、人は離れていくばかり。

 大石内蔵助が後世に名を遺すリーダーなのは、「お金」を考えることができたから。


 上方から江戸に来るメンバーの旅費、飲食代、武器購入費、遺された妻子の生活費・・・。

 大石内蔵助は、メンバーの「金銭的負担」を実に緻密に考えていた。
 
 「武士の一分」だけで動いたのではない。
 現実的に「予算」まで考えていたからこそ、名リーダーと語り継がれるのだ。
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■「忠臣蔵の決算書」内容



 本書では、吉良邸討ち入り事件を「金銭面」から解明。

 資料によると、赤穂事件の総費用は700両(約8400万円)。

 長刀、飲食費、交通費・家賃、薬代等々・・・。

 武士道のためなら餓死も問わないメンバーたち。
 
 金銭面を鑑みて、彼らの暴走を止めようとする内蔵助。

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 お金が減るごとに、士気も下がっていく同志の空気・・・。

 赤穂浪士の討ち入りは、なぜ12月14日に決行されたのか。

 経済的側面から、討ち入りの「もう一つの顔」「真実の顔」を暴き出す。

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■「忠臣蔵の決算書」感想



 「ドラマチックな忠臣蔵を、お金に換算するなんて」と、しらける人もいるかもしれない。

 そんな人こそ、本書を手に取ってみてほしい。

 お金ほど、人間を表すものはない。ドラマチックなものはない。

 大石内蔵助がいかに部下の生活を慮り、ギリギリの線をねらって討ち入りの時期をねらったか。

 お金の余裕と、メンバーの心理。
 そのバランスが最大限にとれるのは、いつなのか。

 決算書や部下の手紙から、「討ち入りのタイミング」がいかに絶妙だったかがわかりゾクゾクする。

 本書を読むと、メンバーとリーダーとは、かくも考え方に乖離があるかがよくわかる。

 メンバーは極端に言うと、自分のことだけ考えていればよい。

 お金が不安で脱盟するのも、「餓死してでも討ち入りする!」と自分に酔うのも勝手だ。

 しかしリーダーは、そうはいかない。

 リーダーは自分以上に、メンバーのことを考えねばならない。

 「武士の一分」だけで、家族を飢えさせるわけにはいかぬ。
 我々は切腹は免れない。
 ならば遺される妻子の生活はどうなる?
 
 上方から江戸に来る旅費だって、馬鹿にならない。
 まさか手ぶらで吉良邸に討ち入るわけにもいかない。

 メンバーを家族全員困窮させず、なおかつ吉良の首を確実にとるには、どうすればよいか。

 本書の資料・解説からは、リーダー大石内蔵助の苦悩が痛いほど伝わってくる。

 夢見るメンバーと、現実を見るリーダー。

 決算書や手紙から、メンバーとリーダーのコントラストがありありとわかるのが、本書の面白さだ。

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 現在、組織のリーダーをしている人に、本書はおすすめ。
 メンバーを統率するために、最も必要なエッセンスが本書には詰め込まれている。

 なお本書は、現在公開中の映画「決算!忠臣蔵」の原作。
 映画のために、ナインティナイン岡村さんは算盤を必死に練習したとか。

 金銭から見る赤穂浪士のチームワークが、映像でどのように表現されているのか。

 私もぜひ拝見したい。 

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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