堂場瞬一「チーム」。箱根駅伝の真実がここにある!学連選抜が優勝をねらうのは無謀?それとも・・・。

評価:★★★★★

 「チームって何なんだろうな。駅伝なんて、所詮は個人競技のつなぎ合わせだ。そう思わないか?」(本文引用)
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 「チーム」は「裏・箱根駅伝」といえる異色小説。

 何しろ主人公は学連選抜。

 シード権もとれず、予選会にも落ち・・・という、箱根を走る夢破れし者の物語だ。
 
 だからこそ「チーム」には、箱根駅伝の真実がある。

 「箱根駅伝のランナーは、どんな思いで走ってるの? どんな風景を見ているの?」
 「自暴自棄になってるメンバーもいるのでは?」
 「自分がブレーキになったら、どんな気持ちでチームメイトと向き合うの?」
 
 「チーム」はきれいごと抜きで、「聞けそうで聞けない箱根駅伝の真実」をどっぷり描写。


 本書を読んでから箱根駅伝を観れば、今までと全く違う景色が見えるはず。

 「もっと早く読んでから、箱根駅伝を観ればよかった!」と後悔するだろう。
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 舞台は箱根駅伝予選会。

 城南大の浦大地は、レース後、「駄目だった」ことを確信。
 会場には他にも、沈んだ顔がチラホラ。
 
 個人の実力は一流なのに、チームの総力がおよばないランナー。
 多くの名選手を育ててるのに、なぜか箱根とは縁がない名監督。

 彼らは力なく、会場を後にしようとする。

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 だがひとつだけ、箱根を走る方法がある。

 それは学連選抜。

 浦をはじめ、多くのトップランナーは大学の枠を越えてチームを結成。
 
 「箱根駅伝優勝」をねらうが、チームは最初から波乱の予感。

 学連選抜じゃ意味がない、とばかりに不貞腐れたり、単独行動をする者もいる。

 そしてキャプテンを任された浦自身も、辛い過去と向き合うことに・・・。
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 「チーム」には「箱根駅伝の真実がある」と書いた。

 それは「学連選抜で走る」ということを通して、箱根駅伝の明と暗が見えてくるからだ。
 
 本書にはたびたび、「学連選抜なら自分のために走ることができる」というセリフが出てくる。

 この言葉は「学連選抜でしか出られない」とヤケになってる選手に、ようやくかける言葉だが、このセリフひとつからも「箱根駅伝ランナーたちの微妙な心理」がうかがえる。

 大学の名を背負って走りたかった。
 いつものメンバーで箱根を走りたかった。
 自分の実力が注目されるより、自分のチームが称賛されたかった。

 本書には、そんな学連選抜メンバーの揺れる心が、丁寧に丁寧に書き込まれている。

 だから「チーム」には、「箱根駅伝優勝チームの本」にはない魅力、読みごたえがある。

 「箱根を走る、それだけでいいのか?」
 「自分が箱根を走る意味とは?」

 ランナーの暗部を読むと、「そもそも箱根駅伝で走るとは何か」を深く考えざるを得なくなる。

 「チーム」を読んでから箱根駅伝を観ると、違う風景が見えてくる・・・私がそう思うのは、「チーム」を読むと「箱根駅伝を走ることの意味」から考えるようになるからだ。

 さらに「チーム」は、レースの描写がリアリティたっぷり!
 もう読んでるだけで、目にゴミか雪か砂が入って痛くなり、ふくらはぎがけいれんしてきて、足が前に出なくなってきて、脱水症状を起こしそうになる。

 「チーム」はさながら、箱根駅伝VR小説。
 「本書には箱根駅伝の真実がある」と書いたが、本書の「レース描写」を読めば「なるほど・・・これは真実だ」と納得するはずだ。

 学連選抜や人間ドラマ云々は関係なく、純粋に「箱根駅伝を走るって、どんな感じなの?」と興味がある人にも、「チーム」は非常におすすめだ。

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 箱根駅伝本は多々あれど、「チーム」ほど「箱根駅伝の核」に迫った小説はそうそうない。

 ファンならぜひ一読を。
 
 次に箱根駅伝を観た時、「あれ? こんなに面白かったっけ?」と目をむくことだろう。 

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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