「一人っ子同盟」感想。「重松清の小説はこの世に不可欠」と確信した一冊。

評価:★★★★★

 「あっしは、まだ赤ん坊の頃の、最初の最初の最初から、見捨てられてるんでやんスよ。だから、そのあとは、もう、どれだけ見捨てられてもOKなんでやんス」
(本文引用)
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 重松清の本は、世の中になくてはならない物だ。

 なぜなら重松作品は、決して「ひとりぼっち」をつくらないから。
 誰も一人にしないから。

 だからといって重松作品は、「みんな仲良く友達になりましょう」と言ってるわけではない。

 表面的には一人でいてもいい。

 ただ、「誰か助けて」という小さな声を絶対に聞き逃さない。
 誰かを求める瞳を、決して見て見ぬふりをしない。


 そんな「誰も一人にしない」という信念が、重松作品にはある。

 だから重松作品を読むと「ああ、自分は決して一人にはならない。本当の孤独なんてない」と力がわいてくる。
 
 誰かが必ずそばにいてくれる、と心がスッと軽くなる。 

 だから断言できる。
 重松清の本は、この世の命綱。

 誰に見捨てられても、重松作品だけは見捨てない。
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 舞台は昭和時代の小学校。
 主人公のノブとハム子は6年生。
 お互い、現在兄弟姉妹はいない。

 ノブは兄を交通事故で亡くし、ハム子の母はシングルマザー。
 ただしハム子は近く、幼い弟ができる。
 母親が再婚するのだ。

 ノブもハム子もクラスの人間関係は良好だが、お互い「さびしさ」を感じている。

 「事故で死んだのが、兄ではなく自分だったら?」
 「新しいお父さんって、なじめない・・・」

 ノブとハム子は同盟を組み、家族ぐるみで互いの秘密・悩みを共有しながら生きていく。

 そんなある日、ノブのマンションに、転校生がやってくる。
 転校生の名はオサム。

 オサムは変わり者の大ウソつきで、徐々に周囲から孤立。

 ついに地域全体を巻き込む、大問題を起こしてしまい・・・?

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 「一人っ子同盟」の核は、問題児オサムだ。
 大人からも子どもたちからも、完全に距離を置かれている。
 実際にオサムみたいな子どもがいたら、やはり疎外されてしまうことだろう。

 しかしそこからが、重松作品の読みどころ。
 ノブとハム子がどのようにして、オサムを「一人にしない」か。
 オサムを守る大人たちが、どう心を砕いて、オサムを「一人にしない」か。

 途中ヒヤヒヤするが、最後まで読めば「受け入れることの大切さ」がよくわかる。

 子どもたちに問題が起きたとき、解決する方法は「排除すること」ではない。
 表面的に楽になるかもしれないが、根本的な解決には決してならない。

 排除され、人とのつながりを断たれると、人は人を大切に思えなくなる。
 自分も他人も蔑ろにし、傷つけることを厭わなくなり、取り返しのつかないことを起こしてしまう。

 問題が起きた時は「疎外しないこと・一人にしないこと」が重要。
 
 排除せず受け入れ、つながりを保ちつづければ、相手も自分も大事に思えてくる。

 相手も自分も大事に思えれば、きっと人生は明るく開けてくるのだ。

 だから重松作品は、この世に必須。
 特に「一人っ子同盟」は、命綱ともいえる一冊。
 
 「楽な排除」に甘んじるのではなく、「勇気を出して受け入れる」ほうが、どれほど幸せか。

 「LINEはずし」など「排除」がまかり通ってる今だからこそ、ぜひとも読みたい名作だ。
  
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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