「子どもを攻撃せずにはいられない親」感想。親に悩んだ著者だから書ける「毒親独特」の思考回路とは?

評価:★★★★★

 まず肝に銘じなければならないのは、この手の親を変えるのはほとんど不可能ということである。
(本文引用)
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 毒親本は多々あるが、本書は他の「毒親本」とは“明らかに違う”。

 “違い”は臨場感。

 読むだけで、まるで自分が親に干渉され、息をするのもつらくなる。
 その卓越した「臨場感」ゆえ、本書は毒親本のベストセラーとなっている。

 ではなぜ本書には、恐ろしいほどの臨場感があるのか。
 
 理由は「著者自身が毒親に悩まされた」から。
 著者・片田珠美氏は精神科医。
 医師と聞くと、やはり順風満帆なエリート人生を送ってきたような印象がある。


 だが驚くことに、この「医師」という職業こそ、毒親に支配された結果。 

 私が文学部に進みたいという希望を伝えても、聞く耳を持たなかった。最後には、「医学部に行かないんだったら、学費を出さない」と言いだし、結局医学部を目指すことになった。
 そのため理系のクラスに入り、一生懸命勉強して医学部を受験し、無事合格した。ところが、合格通知が届いたときも、母の一言で私はうちのめされた。母は満面に笑みを浮かべながら「これでいい金づるができた」と言ったのだ。


 著者が開業医でないのは、子を「金づる」呼ばわりした親へのささやかな抵抗だという。

 だから本書は臨場感が違う。
 親に人生を壊される危機感も違う。
 親に苦しむ人への共感度も、他の毒親本とは明らかに違うのだ。

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 その「違い」がわかるのは、毒親独特の思考分析。
 
 まず毒親の傾向として、「子どもの価値を自分の価値と勘違いする」「子どもを支配しコントロールする」ということが挙げられる。

 ここまでは、ほとんどの毒親本に書かれている。

 本書が違うのは、ここから。

 毒親は恐ろしいほど「自覚がない」、「想像力がない」、「恥を知らない」。
 本書ではさまざまな事例から、その「3つの傾向」を分析。

 そしてその傾向ゆえに「毒親は治らない」と断言しているのだ。

 たとえば本書には、驚きの一節が書かれている。

 2019年に起きた、千葉県・小4虐待死事件。
 父親が苛烈な虐待を続け、子どもが自宅浴室で死亡した事件だ。

 著者は、逮捕された父親について、こう分析する。

 警察の取り調べに「しつけで悪いとは思っていない」と供述したようだが、おそらく本音だろう。


 つまり父親は「本当に躾」と思って、常軌を逸した虐待をしていた、ということだ。
 
 「しつけで悪いとは思っていない」と聞けば、たいていの人は「犯罪と認識していたくせに、言い逃れしている」と思うだろう。

 だが著者は断言する。
 父親は本気でそう思っていた、と。

 著者によると、毒親は「愛情と虐待の混同をする」という。
 自分が正しいと頑強に思い込んでるからこそ、あそこまでひどい暴力ができるというのだ。

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 この分析は、著者自身が親に苦しめられたからこそ、できるもの。

 著者は暴君の親のために、自分の希望をねじ曲げ、もがいて生きてきた。
 せめて親には一言謝ってほしいと思っても、親の思考はむしろ逆。
 

「子どものためにやったことなのに、親切がわからないのか」となる。


 というのだ。
 
 とにかく毒親の思考回路は矛盾点ばかり。
 それはやはり「自覚がない」、「想像力がない」、「恥を知らない」から。

 他の兄弟と露骨に差別し、洋服一枚買ってやらなかったのに、老後、子どもにお金を無心。
 育ててやった恩、お金をかけてやった恩を返せ、とわめき散らすなど、どう考えてもチグハグだらけ。

 だが親自身は「自分が正しい」「愛情があるからこそ、そうしてきた」と思い込んでるから、酷なようだが「治る見込み」はない。

 児童相談所などに一時保護されても、結局同じことが繰り返され、最悪の事態を迎えるのも、「親に『ひどいことをしている』という自覚が全くなく、むしろ『愛情ゆえの良いことをしている』と思い込んでるから」なのだ。

 虐待の報道や、毒親の体験記などを読んでいると「なんでそうなった!?」と驚くが、本書を読むとゾッとするほど腑に落ちる。

 そんな分析ができるのは、実際に親に苦しめられた著者だからこそ。
 「常人には考えられない毒親思考」を、「そういうことか!」と心から納得できる内容となっている。

 今現在、「親に違和感」を覚えてる人は、必ず読んでみてほしい。

 「親の顔を見るだけで頭が痛くなる」「親のことを考えるだけで震えがくる」「親が怖くて、自分の人生設計をどうしても立てられない」

 そんな人に本書は本当におすすめ。

 さらに言うと「親を憎んではいけない」「親を憎んでしまうのは、自分が悪い子だから」などと思ってる人は、本当に必読。

 本書を読めば、自分の人生を取り戻す力が、きっとわいてくる。
 「自分は十分苦しんだ。もう親に気を遣うことはない」と、一歩踏み出す勇気が出るだろう。 
  
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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