「サッカーボールの音が聞こえる」感想。オリパラに向けて必読!本当のバリアフリーがここにある。

評価:★★★★★

 「おにいちゃんはね――」
 宏幸は、眼の高さまでボールを上げてみせた。
 「ほんとうに、眼が見えなくなっちゃったんだ。でもね、眼が見えなくても、サッカーはできるよ。だって、ほら」
 宏幸は、両手で軽くボールを揺すった。

(本文引用)
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 2020年オリンピック・パラリンピックに向けて、ぜひ読んでおきたい一冊。
 映画化プロジェクトも始まっているらしい。
 実現することを心から、心から強く願っている。

 本書はブラインドサッカー元日本代表・石井宏幸氏を描いたノンフィクション。
 片目ずつ光を失い、ブラインドサッカー日本選手権を発足。

 絶望から希望を見出すまでの、軌跡の物語だ。
 
 本書の魅力は、「主人公だけに焦点を当てていない」こと。
 石井氏の奮闘ももちろんだが、石井氏を囲む仲間の心が色濃く描かれている。


 本書を読むと、「誰かと助け合う」「誰かが困っていそうと感じたら、自然と行動する」とは、何と気持ちのよいことなのかと涙が出る。

 なかでも泣きに泣いたのが、日本選手権開催当日のエピソードだ。

 尋常ならざる苦労をして、ようやくこぎつけた「ブラインドサッカー日本選手権」。
 しかし当日、石井氏は高熱を出してしまう。
 
 自分が行かないと大会が始まらない・・・という焦りのなか、家族に止められながらも現場へ。
 
 必死の思いで現場に着いた時、そこで「聞こえたもの」とは?

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 本書からは、「真の心のバリアフリー」というものが見えてくる。

 障害があるから助けるのではない。
 誰かがピンチだから、困っているから、助ける。

 バリアフリーの社会とは要するに「困っている人をお手伝いする。そんなシンプルなことなんだ」ということが、本書を読むとストンとわかる。

 最後に、作中のこんな言葉を紹介する。
 このフレーズこそ、「心のバリアフリー」と言えるだろう。
 

 ――And you'll never walk alone.
 ――けっして一人で歩かせはしない。


 ※本書主人公の石井宏幸さんは、2019年10月2日に逝去されました。
  石井氏の功績を讃えるとともに、心よりお悔やみ申し上げます。

  
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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