「牙 アフリカゾウの密猟組織を追って」。「小学館ノンフィクション大賞」受賞作。象の滅亡が人間にもたらすものとは?

評価:★★★★★

「周囲で子ゾウがウロウロされると象牙がうまく抜き取れないから。そういう時はやっぱり後悔する。僕だって子どもがいるし、結局は家族を守るためにやっているわけだから・・・・・・」
(本文引用)
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 人間は自然界カースト最高位。
 そう思っていたら、「牙」にガツンとやられる。

 本書は「人間=地球に生きる生命体」として、必読の一冊。

 なぜなら「人間は生態系の一部にすぎいない」と、自覚できるから。

 ではなぜ、「人間は生態系の一部と自覚できる」から必読なのか。

 それは人類を滅亡させないため。

 人間は他の動物と補い合わないと、生きていけない。
 その事実を知らず暴走すると、間違いなく人類は滅亡するからだ。


 自分が死んだ後、子どもの世代も孫の世代も人類が続いてほしい。
 そう願うなら、「牙」はぜひ読んでおきたい本だ。
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 本書は、象の密猟を追ったノンフィクション。
 
 アフリカで跋扈する「象の虐殺」、そして主に中国に対して行われる「象の密輸」を命懸けで追ったルポだ。

 本書を読むと「象牙ビジネス」が及ぼす影響の甚大さに、ただただ驚く。

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 たとえば、テロ組織の膨張化。

 ケニアの大規模テロ組織は、活動資金の4割が「象牙」によるもの。

 象牙を密輸して稼いだお金で武器を買い、戦闘員を育て、市民を虐殺しているというのだ。

 そして「人類」への影響。

 人間はロボットではない。

 他の動物と同じく内臓をもち、呼吸をして生きてるかぎり、「生態系の摂理」からは決して逃れられない。
 「野生動物が住めない世界」は、すなわち「人間も住めない世界」ということになるのだ。

 本書を読んでいると、「天に唾する」という言葉が浮かぶ。
 あるいは、イラク戦争の反戦を訴えた「円柱ポスター」。

 円柱ポスターは、柱に巻くことによって「敵に向けた銃口が自分の後頭部に向けられる」というポスター。
 
 「象牙ビジネス」も同じこと。

 象に向けた銃口は、そのまま人類の後頭部に向けた銃口となるのだ。

 恥ずかしながら、象牙問題がこれほど「自分事」とは思わなかった。

 タイトルの「牙」は、ただ「象の牙」そのものを指しているのではない。

 人類が抜き取った牙は、そのまま人類を指す牙となることを、率直に表してるのだ。
  
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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