「Iの悲劇」感想。1冊まるごと「どんでん返し」!「死の村」からどうしても人が去ってしまう原因とは?

評価:★★★★★

「わかりません。僕にはどうしてもわからない。どうしてこんなことになったのか、わからないんです。でも、少なくとも・・・・・・移住者を去らせたのは誰なのかだけは、当たりがついているつもりです」
(本文引用)
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 米澤穂信は“どんでん返し”の魔術師。

 米澤ミステリーを読むと「犯人」の気持ちになり、必ずこうつぶやいてしまう。

 「絶対に、絶対にうまくいくと思ったのに・・・」

 さらに米澤どんでん返しは、「事件のタネあかし」にとどまらない。

 事件の真相が「どんでん返し」でわかり、さらにもう一回、どんでん返しで「本当の真相」が明かされるのだ。

 米澤穂信最新刊「Iの悲劇」は、そんな「ダブルどんでん返し」が連打連打の連作短編。


 「ミステリーで、とにかくビックリしたい」「うなりたい」という人に、「Iの悲劇」は今最高におすすめだ。 
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 舞台はさびれた村落・東はかま市・蓑石。
 人口流出が止まらず、もはや死に体の状態。
 
 そこで役所が「甦り科」を設置。
 蓑石に、人を呼び寄せることにしたのだ。

 若手公務員・万願寺は、東はかま市の「Iターン計画」に奮闘。
 出世のためにも何とか、移住者を集め、いつかせたい。

 しかし移住者たちの間でトラブル続き。
 どうしても人が去ってしまうのだが・・・?

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 本書は「住民トラブル」で構成された短編集。

 バーベキューの騒音、子どもの失踪、地権者との関係悪化等々・・・。
 
 いずれも「隣人トラブル」にありがちな事件だ。

 特に面白いのが、第四章「黒い網」。
 蓑石に住む女性・河崎は、「自然」であることにやたらとこだわる。

 よって、近所の家が建てるパラボラアンテナに腹を立て、役所にクレームを入れる。

 そんなある日、事件が起きた。
 村で開催されたお祭りで、河崎が倒れてしまう。

 原因は、提供された食事による食中毒だった。

 だが原因食物を口にしたのは河崎だけ。
 
 犯人はどうやって、河崎だけが毒物を食べるよう仕向けたのか。
 手口も犯人も深い謎に包まれる。

 この物語こそ「ダブルどんでん返し」の模範例。
 犯人も意外なら手口も意外、そしてラストで「被害者をめぐる、思いもよらない気持ち」があらわになる。

 いつもと違う「頭の使い方」をしたいなら、「黒い網」はダントツでおすすめだ。

 さらにこの「Iの悲劇」、1冊まるごと「どんでん返し」とラストで判明。

 最後までしっかり読んだ人は、「やられたーーーっ!」と頭を抱えて叫んでしまうだろう。

 でもこの「どんでん返し」、ただのエンタメとも思えないのよね・・・。
 「ええっ!?そんなぁ!」と「だまされたこと」にやや憤りながらも、「だました理由」を聞くと納得。

 「どんでん返し」で、現代日本が抱えている問題を強く強く痛感できる。

 米澤穂信さん、実は真山仁級の「社会派作家」なのかも。
 こういう「社会問題の訴え方」ってあるんだなぁ。

 いやもうホント、読んで良かった!

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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