「安楽死を遂げるまで」感想。講談社ノンフィクション賞受賞作。「安楽死を選ぶ人」には5つの特徴があった。

評価:★★★★★

 「何でも99.9%を求める子でしたからね。死ねなかったことも、彼女には苦しみでした」
(本文引用)
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 オランダでは死因の3~4%が安楽死。
 この数値を聞いて、どう思うだろうか。

 「そんなに多いの?」と驚くと同時に、「そんなに少ないの?」と拍子抜けするのではないだろうか。

 「安楽死が認められた国」と聞くと、何となく「安楽死がスタンダード」という印象がある。

 ところが本書によると、実際に安楽死を選ぶ人はごくわずか。
 決して一般的ではないのだ。
 
 ではいったいどんな人が、安楽死を選んでいるのだろうか。
 どんな人が安楽死を遂行しているのだろうか。

 実は安楽死を選ぶ人には、5つの特徴・共通点があった。

 本書でそれを知ったうえで、「安楽死を遂げた日本人」(本屋大賞ノンフィクション賞候補作)を読んでみていただきたい。
 もちろん先に、「安楽死を遂げた日本人」を読んでいても大丈夫。

 なぜ安楽死した日本人女性は、安楽死を選んだのか。
 本書と併せて読むと、彼女が安楽死を選んだことに心の底から納得できる。

 「なるほど、彼女は安楽死を選ぶはずだ」と。
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■「安楽死を遂げるまで」内容






 本書では、著者が「安楽死できる国々」を訪問。
 数時間後に「死ぬこと」が決定している人、および彼らの家族や友人を取材する。

 彼らはさまざまな形で、満足のいく旅立ちを実行。
 死ぬ日に盛大なパーティーを催す人、夫のラブレターを握りしめながら「死」に臨む人、人生最後のタバコを味わう人・・・。

 「人生はすべて自分が決める」という信念のもと、彼らは満足して最期のときを迎える。

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 しかし日本では、患者側の希望で「安楽死」の処置をしても殺人扱いに。
 
 「安楽死が認められる国」と日本では、いったいどんな違いがあるのか。
 そして「安楽死を選ぶ人」には、どんな特徴があるのか。

 濃密な取材と膨大なデータから、違いや共通点をあぶりだす。
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■「安楽死を遂げるまで」感想



 本書の魅力は、「安楽死を認める国・選ぶ人」の特徴を明確に書ききってること。

 安楽死・自殺幇助が認められてる国と、日本の違いはどこにあるのか。

 その「違い」をえぐり出すことで、「日本の風潮・タブー」をエンボスのごとく浮き彫りに。

 「個」を重んじるか「和」を重んじるか。
 「自分の人生は自分のもの」か、「自分の人生は自分のものであり、他者のものでもある」でとらえるか。

 「安楽死ができる国」と比べることで、「日本人の人生観・死生観」をパンドラの匣を開けるように、まざまざとあぶり出している。

 そして本書の読みどころは、何と言っても「安楽死を選ぶ人」の共通点。

 著者の取材によると、安楽死を選ぶ人の共通点は「4W」。

 4つの「W」とは、白人(White)、裕福(Wealthy)、心配性(Worried)、高学歴(Well-educated)である。

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 さらに最大の共通点といえるのが、「意志が強固」であること。
 とにかく一度「こう」と決めたらテコでも動かないタイプの人が、安楽死を選んでいるのだ。

 「安楽死を遂げた日本人」の「ミナ」も、まさにそれらの特徴が合致。
 
 「安楽死を遂げた~」でのインタビューを読むと、ミナの頭脳明晰さに驚かされる。
 また彼女のキャリアからも、「こう」と決めたら邁進する意志の固さがうかがえる。

 そして姉たちの様子からは、ミナの家族の実直さや品の良さが感じられる。

 本書と併せて読むことで、ミナが安楽死を望んだことに至極納得できるのだ。

 また二冊ともに、橋田壽賀子氏が例に挙げられているのも興味深い。
 橋田氏も確かに、「5つの特徴」の多くに合致している。
 
 とはいえ安楽死は、本人が望むだけでは実行できない。
 医師による客観的な判断をいくつも課せられるため、一概に「5つの特徴が当てはまってるから安楽死を選ぶ」とは判断できない。

 だが本書で「安楽死を選ぶ人の特徴」を知っておくことに損はない。

 来たる高齢化社会や「生き方・死に方を選ぶ時代」において、家族や自分がどう人生を全うするか。
 どんな生き方・死に方を真に望むか。

 安楽死を望むのか。
 絶対に安楽死などしたくないのか。

 大切な人と「満足できる死に方」を考える際、きっと本書は大きなヒントを与えてくれる。
 
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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