「氷菓」感想。京アニが遺してくれた名作アニメ原作。タイトルが「氷菓」の秘密とは?

評価:★★★★★

 「先生。伯父がなぜ『氷菓』と名付けたのか、先生はご存じですか」
(本文引用)
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 「氷菓」はアニメ化もされた、学園ミステリーの金字塔。

 それもそのはず、著者・米澤穂信はミステリー界のトップ・オブ・トップ。

 「満願」でミステリー三冠王を獲得し、今や他の追随を許さない人気作家だ。

 「氷菓」は、いわば「米穂人気の序章」本。
 
 ラノベ・中高生向けに見えるが何の何の。
 一歩先行く「ひねり」「驚愕」「どんでん返し」は、ミステリー好きの大人も大満足。

 「こりゃミステリー界トップに躍り出るのも当然だわ」と、思わずうなる傑作だ。 


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■「氷菓」あらすじ



 主人公の奉太郎は高校1年生。

 廃部寸前の「古典部」に入り、部室をのぞくことに。

 部屋の鍵を開けると、そこにはすでに一人の女子生徒がいた。

 ん?なぜ人がいたのに、鍵をかけないと入れなかったのか?
 部屋は中からは施錠できない。
 ということは、女生徒は閉じ込められていたことになる。

 彼女が部室に閉じ込められた理由とは?

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 そこから古典部たちの「謎の日々」が幕を開ける。
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■「氷菓」感想



 「氷菓」を読んでいると、骨の髄から「ゾワッ」とする。
 ミステリーだからゾワッとするのは当然、と思うだろう。

 しかし「氷菓」の「ゾワッ」は、ちょっと違う。

 私もミステリーの当事者かもしれない。
 しかも被害者ではなく加害者側。
 
 「私も気づかぬうちに、誰かに怖い思いをさせているかもしれない」と震えがくるのだ。

 「氷菓」に登場する謎は、とにかく日常に潜む謎ばかり。

 女生徒が部屋に閉じ込められた謎。
 一冊の本を、毎週違う人が借り、当日以内に返してくる謎。
 部活の文集探しを、一人の生徒が頑なに渋る謎。

 どれもこれも「いかにもありそう」な謎ばかり。
 
 読んでいると、「自分が何気なくしてる行動が、他の人には不思議体験になってるかも・・・」とドキドキしてくる。 

 特に「本の貸し借りにまつわる謎」が面白い。
 
 図書室の本は2週間借りられる。
 それにもかかわらず、「ある本」の貸出期間は2時間程度。
 
 毎週違う生徒が借りては、すぐに返却されるのだ。

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 この謎は、読めば誰もが「あるあるあるある!」とうなずくはず。
 学校生活のなんでもない行動が、別の人には大きな謎に映ってしまう。

 だから「氷菓」はゾワッとする。
 平穏に生きているようで、いつどこで、誰を戸惑わせているかわからないのだ。

 そして最大の謎は、「氷菓」というタイトル。
 33年前に高校で起きた「ある出来事」が、「氷菓」と名付けられた原因。

 タネ明かしを見れば、「これぞ米澤穂信!」と思わず納得。
 「あ~! そういうことだったのぉ!?」と半月板が割れる勢いで、膝をポンッ!

 「氷菓」という言葉に込めた深い思い。
 そしてその「深い思い」を隠すように仕込んだ、巧みな言葉遊び。

 後の「よねほ人気」を予感させるには、十分な超絶技巧ぶり。
 アニメ化されるほど評判を呼ぶのも納得だ。

 最後に・・・。
  
 「氷菓」のアニメカバーには、制作者の名が記されている。
 京都アニメーション放火事件で、亡くなられた方の名も、そこに刻まれている。

IMG_5830.jpg


 表紙の裏にはキャラクターや背景の設定資料も。

IMG_5832.jpg


 その緻密な描写からは、京都アニメーションの方々の熱意が伝わってくる。
 「氷菓」の面白さをアニメで精いっぱい表そうと、ペン先にこめたことが伝わってくる。

 改めて、志半ばで未来を奪われた方々の無念を思う。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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