「夫の骨」感想。どんでん返し9連発!推理クイズ感覚で寝食忘れて一気読み。

評価:★★★★★

いったい、私の夫は、なんという名だったのだろう。
(本文引用)
______________________________

 気がつけば常に、どんでん返しを求めている。

 ミステリーばかり読んでるわけでもないし、恋愛小説や社会派ノンフィクションも大好きだ。

 だけど「あー読書ってやっぱり楽しい~!」と気分がスカーッとするのは、つまるところ「どんでん返し」だなぁと感じる。

 「夫の骨」を読み、改めて「読書ってこんなに楽しかったっけ!?」と自分で自分にビックリ。
 読みながらいくら推理をしても、足払いをかけられるようにひっくり返される。

 帯でも書店員さんが「そうきたか!と思わず声に出してしまう」と書いているが、まさにその通り。


 ここまで予想・推理・想像がスッコーンとはずれ、しかもその「はずれ方」が快感になるミステリーは初めてだ。

 それにしても主人公の旦那さんは、ホントになんという名だったのだろう。
____________________________________

 

■「夫の骨」あらすじ



 主人公は未亡人。
 夫は2年前、山で死亡した。
 しばらくは夫の母・佳子と同居していたが、今はグループホームに預けている。

 ある日主人公は、家を整理しているうちに小さな桐箱を発見する。
 箱を開けると、そこにあったのは何と乳児の骨。

b754c87f300457e4517143477490bc2c_s.jpg


 それを見て、主人公はある疑いをもつ。

 佳子は義父の後妻で、孝之と血縁関係はない。
 年齢差も、本当の親子ほど開いていない。

 何よりも佳子は以前、孝之をねっとりするような熱い瞳で見つめていた。

 もしかするとこの乳児は・・・。

 主人公は疑いに疑った挙句、ひとつの結論に到達。

 しかし意外なところから、まさかの真相が浮かび上がる。
 ___________________________________

 

■「夫の骨」感想



 本書は9編からなる短編集。
 短編集というよりも、「長編推理クイズ9連発」といった感じ。

 「夫の骨」の面白さは「超ハイレベルのどんでん返し」・・・ということも、もちろんある。
 
 しかし本書最大の魅力は、「推理クイズ感覚で読める」こと。
 読むうちに、著者と知恵比べする自分に気づくはず。

 一方的にタネ明かしをされるのではない。

 文字を追いながら「この人、実はこういう人なんじゃないか」「この二人はこういう関係で、●●さんを殺したんじゃないか」等々、いろんな推理をめぐらすことができるのだ。

 だからこそ「やられた感」が半端じゃない。
 だからこそ「ワクワク感」があふれてくる。

 物語がひとつ終わるごとに、「ねえねえ次はなに?」「よーし、今度こそだまされないぞ!」と震えるほどドキドキしてしまうのだ。

 9編すべて満遍なく楽しめたが、特におすすめなのが「柔らかな背」と「虚ろの檻」。

 「柔らかな背」は娘と暮らす老女の物語。
 娘に文句ばかり言われながら、家事を一手に引き受けて暮らしている。

 そんな老女の心の支えは、孫の亮介。

 最近、亮介はしきりに金を無心してくる。
 何でも自転車で小さい犬をはねてしまい、慰謝料がいるらしい。

 老女はお金をおろし、孫を助けようとするが・・・?

 そして「虚ろの檻」は、犬と人間の物語。

 主人公は別荘地の管理人として心穏やかに過ごすが、ある日、大きな土佐犬がやってくる。
 檻に入れられた土佐犬は涎をだらだらたらし、いつもグルグルうめいている。

 ・・・もしかして狂犬病?

544698004296fc306358850f7a42c7b5_s.jpg


 狂犬病にかかったら、死ぬ確率は100%。
 主人公は生きた心地がしないまま、檻に入れられたまま飼い主に見捨てられた土佐犬を日々見つめるが・・・?

 「柔らかな背」のあらすじを読んだ方は、みな異口同音に言うだろう。

 「それ、詐欺だよ」と。

 ではその「詐欺」とはいったい「何の詐欺」なのか。
 誰が本当の詐欺師なのか。

 これは本当に最後の1ページまで全く予想がつかない。
 思わず「ええっ!?」と声を上げてしまうだろう(電車のなかでは読まないように!)。

 そして「虚ろの檻」はまた、四角い頭を思いっきり丸くしないと解決不可能。

 なかには「そんなのわかるかー!」と叫ぶ人もいるかもしれないが、決してありえない話ではない。
 「何か悪いこと」をしようと思えば、そこまで考えないといけないのだ。

 「夫の骨」を読んでいると、「まっとうに生きるのがいちばん楽」と思えてくる。
 ばれないように悪事を働く・・・それがどんなに頭を使うことか。

 超骨太ミステリー「夫の骨」は、犯罪抑止に一役かっているに違いない。

詳細情報・ご購入はこちら↓
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告