「ルポ 人は科学が苦手」。子育ての世代間ギャップに悩む人必読!わかってもらう秘策とは?

評価:★★★★★

 たしかに「酸化現象」で間違いはないが、その答えで伝わるのは、炎についての理解ではなく、「その先生が子どもの目線で物事を考えていない」ということではないだろうか。
(本文引用)
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 「子どもを抱っこしてたら、義母に『抱き癖がつく』といわれた」
 「アレルギーだから卵を食べさせないで!って言ってるのに、おじいちゃんが『単なる好き嫌いだ』と言って食べさせようとする」
 「母が『はしかや水ぼうそうは、人からうつるのが一番!』と言って、ワクチンを打たせないようにする」

 子育てで、こんな悩みを抱える人、多いのではないだろうか。

 そんな「世代間ギャップ」でイライラしている人に、本書はおすすめ。

 つらいことを言うようだが、いくら「科学的に正しいこと」を伝えてもムダ。

 どうやら人間、科学的なことについては、とんと聴く耳をもたないらしい。
 「今の育児はこうなんだよ」「母子手帳にも書いてあるよ」と言っても、相手の脳は盛大にはじきとばしている可能性が高いのだ。

 
 だからといって放置はできない。
 わが子を守るためにも、自分を守るためにも、「科学的に誤っているもの」「誤解・偏見・思い込みでママを苦しめるもの」は、できるだけ正していきたいものだ。

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 ならば今すぐ、本書を読もう。
 「サイエンス本? しかも米国云々って書いてあるけど、何の参考になるの?」と思うかもしれない。

 だが本書には、「育児の世代間ギャップストレス」を解消させるヒントが詰まっている。

 今度こそ「今の育児の常識」「科学的に正しいとされていること」を、「わかってくれない人」に伝えることができるだろう。
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■「人は科学が苦手」内容



 本書のタイトルは「アメリカ『科学不信』の現場から」。

 著者は理系出身の科学記者。
 特派員として米国で取材することになり、「最先端の科学に触れられる!」とワクワク。

 ところが現地で見た米国は、イメージと正反対。

 いまだに進化論を否定する人は数知れず。
 「地球は平ら」「地球が生まれたのは6000年前」と堂々と語る人もあちこちに。
 さらに「地球温暖化などない」「あったとしても人間のせいではない」と言い張る人物が、大統領に当選してしまったのだ。

 なぜここまで米国で、科学不信が起きているのか。

 その理由は、学歴の有無でも、知識の有無でも、教養の有無でもない、ある厄介な「人間の特質」だった。

 はて、どうすればそれを打ち破ることができるのか?
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■「人は科学が苦手」感想



 もっと堅苦しい内容かな?読み切れるかな?と不安だったが、すぐ引き込まれ一気読み。
 
 著者の人柄なのであろうか。
 固定観念をグルリと覆す結論が、非常に読みやすく柔和な筆致で書かれている。

 だから心から素直に「面白~い!楽し~い!」とパクパクスイスイ読めた。

 さて本書の魅力は、先述したように「固定観念を根底からひっくり返してくれること」だ。

 「科学的なことを信じない」と聞くと、一見「学歴が低い」「知識がない」と思いがちだ。
 
 ところがこれが全く違う。
 何と調査の結果、「知識が増えるほど科学不信を引き起こす」という事実が判明したのである。

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 実は人間は「思考」「気持ち」に、実に左右されやすい生き物。
 支持政党が「間違った科学知識」を高らかに訴えると、高学歴・科学的知識が豊富な人ほど、そちらになびきやすくなる。

 トランプ大統領の政党を支持していれば、科学的豊富でも一流大学を出ていても、「地球温暖化などない」という思考に。
 それどころか、知識豊富で学歴が高い人ほど、頑なに「地球温暖化などない」と思いこむようになるのだ。

 また面白いことに、この科学不信、何から何まで同様の現象を起こすわけではない。
 「この軟膏は効くか・効かないか」という話になると、科学不信はなりをひそめ、冷静に効果を判断。

 ところが地球温暖化や銃規制など「政治的な話」になると、途端に科学的思考がショート。
 「軟膏の効果」では、あれほど正しい判断をしていた人々が、誤った判断をしてしまうのだ。

 ではどうすれば、科学的に正しい知識を吸収し、冷静に判断できるようになるのか。
 どうすれば、科学的エビデンスが明確な事柄を、相手に伝えることができるのか。

 そのカギは「対話」だと、著者は主張。
 なぜなら科学不信を起こす思考は、知識の有無ではなく、「その人の思い」に原因があるからだ。

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 たとえば「思いが科学思考を狂わせる」例として、ある会社社長の話が興味深い。
 
 アラバマ州で石炭採掘会社を営む彼は、反オバマのトランプ支持派。
 それには、彼のある思いがあった。

 地球温暖化対策として石炭生産が規制され、炭鉱閉鎖に追い込まれたのだ。

 そんな彼にとってトランプは救世主。
 地球温暖化を疑い、環境規制をゆるくするトランプ氏の施策は、彼の生活に希望を与えるものだったのだ。

 このエピソードからもわかるように、科学不信は「知識・教養・学歴の有無」ではない。
 すべては「思い」から発していると言ってよい。

 だから大切なのは、相手との対話。
 「知識・学歴がない」などと勝手に思い込んだり、見下したりするのはNG。

 相手を説得するのではなく、相手の思いをきちんと飲み込み、対話をして信頼・絆を深めることで、ようやく「科学的に正しいこと」を伝えられるのだ。

 その対話の重要性を訴えるラストには、思わず涙。
 
 特に本文最終ページの「3行」は、壁に貼っておきたい至言。

 「科学的に正しいこと」がどうしてもわかってもらえない場合、この3行を思い出せば、一気に壁を突破できるだろう。

 だから本書は、育児の世代間ギャップ解消におすすめ。

 何度言ってもわかってくれない・・・そう思ったら深呼吸して、「相手の思い」にゆっくり耳を傾けてはいかがだろうか。
                                             
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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