三浦瑠麗「孤独の意味も、女であることの味わいも」感想。泣いた。ただ泣いた。そして書いてくれてありがとう。

評価:★★★★★

あなた自身を、出来事や外部に定義させてはいけない。あなたのことはあなた自身が定義すべきなのだから。
(本文引用)
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 衝撃だった。
 1ページめからラストまで、ショックの連続だった。

 しかしそれは「煽情的」という意味ではない。

 筆致はあくまで知的で静謐。
 どぎつい内容で人を引き付けようという「あざとさ」は、全く感じられない。

 ただ三浦氏を襲う出来事は、女性としてあまりに辛いものばかり。

 「神様は彼女に、豊かな才能を与える代わりに、大きなものを奪おうとしたのか?」


 私は思わず、運命の残酷さに天を仰いだ。

 何が起きたかは、私の口からは言えない。
 いくら本として公開されていることとはいえ、他人づてに言うことではない・・・そんな気がするから。
 他人がペラペラしゃべっては、「本書を書いた三浦氏の覚悟」を無駄にしてしまう・・・そんな気がしてならないからだ。
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■「孤独の意味も、女であることの味わいも」内容



 本書は国際政治学者・三浦瑠麗氏の自伝エッセイ。
 人生のあらゆるステージについて、当時の出来事や思いをつづっている。

 孤立していた小学校時代、いじめが深刻化した中学時代、名門・湘南高校での日々、数々の恋愛と別れ、東大入学、夫との出会い、結婚、博士号取得への邁進、そして出産・・。

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 才媛の名をほしいままにする、気鋭の政治学者の半生とは?
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■「孤独の意味も、女であることの味わいも」感想



 「この本を書くのに、どれほど勇気を要したことだろう」
 
 私は本書を読んだ日、そう考えて眠れなかった。
 三浦さんが炬燵のなかで丸まったように、布団のなかで丸まり、私は泣いた。

 そして憎み、憤った。

 一人の女性を、このような状況に追い詰めた全てのことに。
 こんな辛い告白をさせた全てのことに、はらわたが煮えくり返ったのだ。

 本書の核は「女であること」「女として生きるとは何か」ということだ。
 女として「常に人から見られる」ことを意識し、「女とはこういうもの」という型に自分をはめ、時に自分を犠牲にする。
 三浦氏は自分の生まれ育った環境や、学生時代の恋愛、夫との価値観のすり合わせなどを通じ「女である自分は、さてどう生きるべきか」を語っていく。

 それだけ聞くと、稀代の才女によるフェミニズム論に見えるかもしれない。

 だが本書は、そんな甘いものではない。

 この本に書かれる「女性」論は、人間の尊厳を根底から揺るがすもの。

 女というだけで、かような苦難にも耐えねばならないのか? 蔑みに耐えねばならないのか?
 女というだけで、やはり世間から「下」に見られるのか?
 なぜ女というだけで、こんな運命を受け入れねばならないのか?
 誰かを蔑みたくても、男に対しては怖くてできない。
 だから女子どもに刃を向けるのか?

 私は本書を読みながら、頭が痛くなるほど考えた。

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 しかしいくら考えても答えは出ない。
 そして残念ながら、これからも解決することはないだろう。

 ならば私一人だけでも、著者の思いに報いて決断するしかない。

 著者の言葉を借りれば「自分自身を、外から定義させない」と。
 「女だから」というステレオタイプの定義に、自分をはめない。
 自分は自分で定義する、と。

 これからもたぶん女は女として見られ、時に蔑まれるだろう。

 しかし他人を変えること、世間を変えることは、自分の力ではほぼ不可能。
 激しい無力感に襲われるのは明白だ。

 そんなとき、私はきっと本書を思い出す。
 

私は休息所ではない。ここは私の部屋なのだから。


 そう、私の人生の主役は、私以外いない。
 人生の主役に男も女もない・・・その思いを呼び覚まし、前を向くことができるだろう。

 そんな意識改革を起こさせてくれた点で、本書を読み、本当に良かったと思う。
 本当に、本当に良かった。
                                             
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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