「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」で、私が本当に180度変わった理由とは?

評価:★★★★★

 そしてもうひとつ、政治信条を人々に刷り込む強力な方法がある。それが経済学だ。
(本文引用)
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「読み終えた瞬間、世界が180度変わって見える」


 表紙をめくると、飛び込んでくるこのコピー。
 
 読めばすぐに「誇張ではない」と納得。
 「・・・これは確かに180度変わるわ・・・」と、うなずかざるを得ない。

 「なぜ格差は生まれるのか」という少女の疑問に、元財務大臣のパパが答える経済書。

 本書を読み、今まで手に取っていた経済本が「いかに私を受け身にしてきたか」がわかった。

 
 金利が低いから高いから、好況だから不景気だから、そしてあの人は成功者でお金がたくさんあるから・・・。
 その環境・事実に、自分を合わせることが、賢い生き方・良い生き方と思い込んでいた。
 
 だが本書を読み、まさに180度変わった。
 私の達観は、私自身の考えではない。
 実は「他者の考えに操作されているだけだ」と気づいたのだ。

 こんな風に書くと、何だかヤバい本に見えるかもしれない。
 本書こそ、人を操作する本なのでは?と訝しく思うかもしれない。

 しかし本書はそういう「怪しい本」ではない。
 未来を作るのは君自身だ、それにはまず手始めに経済だ、ということにちょっと気づかせてくれるだけ。
 そしてまず手をつけるべき患部を、やんわりと示唆。

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 それだけで、私にとっては間違いなく革命的な本。
 未来を作る子どもたちに、ぜひ読ませよう・・・そう固く心に誓った。
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■「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」内容



 本書の著者は、ギリシャの元財務大臣。
 経済学者でありながら、「経済学者だけに経済をまかせておいてはいけない」という信念を持ち、本書を上梓。
 
 「経済学は科学」という説に抗い、哲学的な視点から経済に迫っていく。

 経済といえばお金、お金といえば、やはり気になるのが「富裕と貧困」。
 
 なぜ人類には格差があるのか。
 なぜ高価な産着を着られる赤ちゃんもいれば、ミルクも母乳も満足に与えられない赤ちゃんもいるのか。

 従来の経済学では解明できなかった「格差の秘密」を、本書はビシッと解説。

 人類と文明から経済を眺めれば、理不尽の理由がありありと・・・。

 果たして「格差」が生まれる理由とは? 
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■「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」感想



 経済学と聞くと「難しそう」と怖気づいてしまうかもしれない。

 しかし本書は、とりあえず弥生時代を知っていればOK。
 「弥生時代になると貯蔵が始まり、財産の多寡によるヒエラルキーが発生した」ということさえ知っていれば、スッと入り込める内容だ。

 農作物の貯蔵ができるようになると、余剰というものが生まれる。
 さらに余剰を記録するために文字が生まれ、債務や、通貨の流通、通貨に必要な「信頼」を付与する国家が形成。
 徐々に、余剰の偏りに伴う格差が発生し、いわゆる庶民たちは首を傾げるようになる。

 そこで本書のキモが登場。
 「支配者だけが国を支配する権利を持っている」と「庶民に信じさせる」ことで、格差が生まれると解説。

 つまり格差が生まれる理由は、商売上手云々ではなく「洗脳である」と、著者は主張する。

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 ではその洗脳を解くには、つまり格差をなくすにはどうすればよいか。

 答は「外の世界から世界を見る」こと。

 人を支配するには、物語や迷信に人間を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。だが一歩か二歩下がって、外側からその世界を見てみると、どれほどそこが不完全でばかばかしいかがわかる。


 と著者は語る。

 そこが私が、「180度見方が変わった」と思った所以。
 自国の経済に対し、今まであまりに受け身だったこと、何の疑問も持たずに暮らしてきた愚かさを痛感。

 格差の上部にいる人は「国家の中枢にいる人・商売上手な人・もともと資産家だった人」ということで、完全に納得していた。
 疑うことすらしなかった。

 だが本書を読み、自分がそういった思い込みをさせられていることを、ハタと認識。

 世の貧困問題も「仕方がない」と受け止めていたが、それが「洗脳による産物」だとわかってしまったのだ。

 そうとわかれば、自ずとエネルギーがわいてくるもの。
 「経済は、未来は自分の手の中にある」「もう騙されない」と元気がわいてくる。

 本書は「子どもに話している本」でありながら「子どもには難しい」と言われているが、やはり「ぜひ子どもにぜひ読ませたい」一冊。

 自分が生きる社会を、泣く元気もない赤ちゃんのいる世界にするか。
 泣けばたっぷりとミルクを飲める、赤ちゃんのいる世界にするか。

 本書で、「己が住む社会を客観視する術」を身につければ、子どもたちはきっと後者の世界を作るだろう。
                                                                     
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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