「幸福な食卓」は瀬尾まいこさんの魅力が詰まった必読本!

評価:★★★★★

「真剣ささえ捨てれば困難は軽減できる」
(本文引用)
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 「そして、バトンは渡された」で本屋大賞を受賞した、瀬尾まいこさん。
 瀬尾まいこ作品の口コミを見ると「『幸福な食卓』でファンになった」という声が多い。

 そこで遅ればせながら、「幸福な食卓」を読んでみた。
 
 感想は・・・
 「あ!だから瀬尾さんの本は読んでて嬉しいんだ!楽しいんだ!何冊も読みたくなるんだ!」

 つまり「幸福な食卓」は、瀬尾まいこさんの「良さ」が凝縮された本。
 瀬尾作品の魅力がテリッテリになるまで煮詰められた一冊なのだ。

 私は今まで何冊か瀬尾作品を読み、「どうしてこう、瀬尾まいこさんの小説には心動かされるんだろう? 読んで良かったって思うんだろう?」と疑問に思ってきた。

 
 しかし「幸福な食卓」を読み、理由が一気にわかった。
 あ~~、何だかスッキリ!
 理由がわかった勢いで、実は連休中にもう一冊、瀬尾作品を読んでしまった(その感想はまた後日)。
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■「幸福な食卓」あらすじ



 主人公の佐和子は中学生。
 家族は両親と兄だ。

 しかし佐和子の家庭はちょっと変わっている。

 母親は数年前に家を出て、アパートで独り暮らしをしている。
 しかし両親は離婚したわけではなく、仲が悪いわけでもない。

 だが母は出て行ってしまった。
 それは父親がかつて、風呂場で自殺未遂をしたから。

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 母は生真面目な父に疲れていた。
 そして父はその生真面目さ故に事件を起こした。
 
 母は、父の存在と事件の影響で精神のバランスを崩し、家を出たのだ。
 
 そして今、父も変わろうとしていた。

 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」


 佐和子の家族はいったいどこへ向かっていくのか。

 吉と出るのか凶と出るのか・・・?
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■「幸福な食卓」感想



 瀬尾まいこさんの小説は、いつもどこか壊れている。
 壊れているから、瀬尾作品は何度も何冊も読みたくなるのだ。

 「幸福な食卓」に出てくる人物は皆、社会不適応な部分を含んでいる。
 
 佐和子の両親は「普通の夫婦のあり方」から脱線。
 兄の直ちゃんは秀才の誉れ高く、トップの進学校に通っていたのに、エリート街道からドロップアウト。
 そして佐和子の恋人も相当なクセ者。

 誰も彼も「よくこの調子で生きていけるなあ・・・」とハラハラする人ばかり。
 しかも皆、「自分は正しい」と恐ろしいほど信じており、ハチャメチャな持論を展開する。

 そう、そこが瀬尾まいこ作品の何とも言えない魅力だ。

 ちょっと壊れているから、いい加減だからこそ、弱っている人に寄り添える。
 ちょっと壊れているからこそ、呆れるほどに、相手に愛情を与えることができる。

 瀬尾まいこさんの小説を読んでいると、正論なんて何の意味もないと思えてくる。

 常識からはずれていてもいい。
 自分なりのせいいっぱいの愛の形で、相手に寄り添うことが、真に人の心を救うのだ。

 本書でいちばん注目したいのは、直ちゃんの彼女・ヨシコさん。
 けばけばしく、香水をプンプンさせたヨシコさんを、佐和子は最初敬遠する。

 しかし佐和子は、徐々にヨシコさんの本当の魅力がわかってくる。
 そのプロセスには、心が震えた。
 「愛情って伝えるものではない。押しつけるものでもない。伝わるものなんだ」と、素直にウルッときた。

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 このヨシコさんの人物像や行動には、瀬尾まいこ作品の良さが詰まっている。
 「幸福な食卓」、いや瀬尾まいこ作品のなかで、ヨシコさんは最重要人物といって良いだろう。

 ちなみに文庫版は、「解説」がまた素晴らしい。
 筆者は、あのニッポン放送・人気アナウンサー・うえやなぎまさひこさん。
 音楽好きの人にとっては、たまらないお名前ではないだろうか。

 本書巻末では、うえやなぎさんがニッポン放送の買収問題と絡めて、「幸福な食卓」を解説。
 内部の人にとって、買収騒動がどれほど大変なものだったかを吐露し、さらにその当時の心境と「幸福な食卓」をリンクさせている。
 ニッポン放送社員という立場だったからこそ語れる鬼気迫る内容に、息を止めて読んだ。

 この解説は、数ある小説の「解説」のなかでも秀逸。
 「幸福な食卓」は物語ももちろん面白いが、ぜひ解説まで一冊まるごと堪能していただきたい。
                                                                     
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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