「南極ではたらく」感想。「悪魔のおにぎり」発明・語源の意外な裏側とは?

評価:★★★★★

 それ以降、「たぬきのおにぎり」は「悪魔のおにぎり」と呼ばれるようになった。
(本文引用)
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 ローソンで発売された「悪魔のおにぎり」は、2018年の大ヒット商品。
 「悪魔的においしい!」と大評判で、首位を死守してきたツナマヨを抜いたとか(それはそれでツナマヨが気になる)。

 今や「今日、麩の味噌汁」「開くの十時か?」「悪魔のおにぎり」は、「意味がわかるとこわくない物ベスト3」とされている(どこで?)。

 本書は、その「悪魔のおにぎり」考案者の物語。
 幼い子どものいる主婦が、ある日ピピッときて南極の調理隊員に応募。

 3度目のトライにして合格し、1年4ヶ月南極で働きつづけた女性の自伝である。


 なぜ、どのようにして「悪魔のおにぎり」は産まれたか。
 そして南極で働くには、南極で食事を作るには、そして女性が南極で過ごすには、どんな苦難が待ち受けているのか。

 食材の保存法やお役立ちレシピも掲載。
 人生全体にも、日々の生活にも「効く」一冊だ。

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■「南極ではたらく」あらすじ



 著者・渡貫淳子氏は、名門の調理師専門学校卒業後、同校の日本料理技術職員に。

 結婚し一児をもうけた後、ある写真に運命を感じる。
 その写真は、女性の新聞記者が南極で越冬したという記事の写真。

 その後、映画「南極料理人」を観て、渡貫氏の決意は強固なものに。

 「ここで働きたい! この人たちのごはんを作りたい!」

 
 かくして著者は、南極料理人になるべく挑戦をスタート。
 
 3度目にして、南極行きを果たすのだが・・・?
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■「南極ではたらく」感想



 本書ではまず、3つのことをガツンと学べる。
 
 ●悪魔のおにぎり誕生秘話
 ●食材の保存法(これ、本当に役立ちます)
 そして
 ●人間関係解決法

 人生全体にも、日々の暮らしにも「効く」といったのは、これら3つを五臓六腑にしみわたるほど学べるからだ。

 たとえば「悪魔のおにぎり」は、世間では「悪魔的においしい」という意味と思われているだろう。
 もちろんそれは間違っていないのだが、本書で誕生秘話と、食べた人第一号の声を知ると、ちょっと違うことがわかる。

 1年に一度しか食材を調達できず、廃棄もなるべく減らしたい南極生活。
 体調を崩せば、その場で周囲に迷惑をかけてしまう南極生活。

 そんなギリッギリの生活のなかで、「悪魔のおにぎり」が生まれたのは、ある意味必然。
 しかし極限まで効率と節約を考えながら「潤い」をもたらす力量と技能は、並々ならぬもの。
 
 本当はこの「悪魔のおにぎり」、酷寒でもなんでもない普通の土地で食べてはいけないものかもしれない・・・。
 渡貫氏の努力・心遣いを読むと、「悪魔のおにぎり」がものすごく崇高なものに思えてくる。
 
 「悪魔のおにぎり」は、悪魔ではなく「天使のおにぎり」・「神おにぎり」なのだ。
 
 ちなみに本書では、渡貫氏直伝の「悪魔のおにぎり」レシピも掲載。
 「オリジナル版」と「簡易版」両方載っているので、自宅で手作りしたい人におすすめだ。

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 そして食材の保存法が、これまた役立つ。
 南極での生活は、とにかく野菜が不足しがち。
 でもやはり健康を保つためにも、野菜は必須。
 
 どうすれば半端ではない寒冷地で、しかも食材調達が1年に1回しかできない状況で、野菜を摂ることができるのか。

 渡貫氏が伝授する野菜保存法は、役立つこと必須。
 しかも足が早そうな「あの野菜」が、意外な底力を見せることに。

 作り置きに頭を悩ませている人、野菜をなるべく摂りたいけれど、野菜の活用法に苦慮している人。
 そんな方に、本書は全力でおすすめだ。

 そして最後、「人間関係」だ。
 渡貫氏は他の隊員たちと時にぶつかり、その後、かけがえのない戦友として心を溶かし合いながら、南極生活を乗り越えていく。

 何しろここは南極、他に逃げ場はない。
 「会社に行きたくないから休む」なんてことはできない状況だ。

 閉鎖的な環境だから人間関係はこじれがちだが、こじらせるわけにはいかない。
 そこでどう踏ん張り、過酷な状況を生き抜くか。

 本書は「今現在の人間関係から、逃げたくても逃げられない」と悩んでいる人にもおすすめ。
 南極の越冬下での、交流のもつれ・解決を読めば、自分なりのブレイクスルーが見えてくるだろう。

 ラストでは「南極廃人」となった著者の心境を、赤裸々に告白。
 読むと何だか南極で越冬したくなってしまうが・・・やはり選ばれた人しか無理だろうなぁ。

 渡貫氏のバイタリティと人間力をほんの少しでもいただきながら、南極に来たつもりで日々を過ごしてみようかな。

 今までの、どこか凝り固まっていた「うまくいかないあんなこと・こんなこと」が一気にほぐれていく気がする。
 とりあえず生野菜の保存方法や、南極ならではのリユース料理から始めてみるか。

詳細情報・ご購入はこちら↓


さらに南極料理を極めたい方には、こちらもおすすめ!
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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