「キラキラネームの大研究」感想。あの古風な名前も、実はキラキラネームだった!?

評価:★★★★★

 「漢字」を「感字」として捉える、日本の「当用漢字第三世代」以降の人たちの漢字感覚は、カッコイイ印として漢字タトゥーを入れる外国の若者とほとんど変わらない次元に達しているのだ。他人事のように外国人を笑っている場合ではない。
(本文引用)
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 先日、ある青年が改名したニュースが話題となった。

 日経新聞「春秋」欄でも、そのニュースがとりあげられ、同時に本書が紹介されていた。

 「どうせまた、キラキラネームをつける親の年収や、子どもの学力などをグラフにした本か何かだろう」
 私は正直、あまり期待せずに本書を読んでみた。

 ビックリ。
 良い意味で大きく裏切られた!
 ただキラキラネームに苦言を呈する本かと思ったら、まさかまさかの大間違い。



 深い・・・めちゃくちゃ深い!!
 名付けの歴史、漢字の成り立ち、「読み」に関する“意外過ぎる”変遷(えーっ!?あの漢字って実はこう読んじゃいけないの?等々)・・・どの考察も「知らなかった!」と目からウロコが出るものばかり。 

 深すぎて、読んでいると「この世はキラキラネームだらけ」あるいは「この世にキラキラネームはない」と思えてくる。

 今、いわゆるキラキラネームをディスっている人は、とりあえず本書を読んでみては?
 
 もしかすると、とびきり古風なあなたの名前も、キラキラネームかもしれない。

 現在、子どもの名付けに悩んでいる人にも、本書はオススメ。
 読めばきっと、自信をもって名前をつけることができるだろう。(限度はあるが・・・)
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 「キラキラネームの大研究」では、現代から戦国、平安時代までさかのぼり、難読名・キラキラネームを分析。

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 たとえば織田信長の子どもたち。
 いずれも幼名だが、「奇妙丸」「人」「三七」など、わりとヤンチャな名がつけられている。

 また「変則読み」(「心愛(ここあ・ここな)等)は、平安時代に頻繁に登場。
 「明子」と書いて「あきらのけいこ」や、「高子」が「たかいこ」、大伴家持の「家」を「やか」と読むのも、実は変則読み。
 
 江戸時代の将軍も、「家茂」と書いて「いえもち」というのは、「何で?」と言いたくなる変則読みだ。

 そしてかなり衝撃的なのが、思いっきりオーソドックスな名前が、実は「難読名」だった事実だ。

 まさか「和子」が「読めない名前」だったとは、本居宣長が批判した「難読名」だったとは、誰が思うだろう!

 本書を読んでいると、世の中「キラキラじゃないネームなどない」と思えてくる。
 
 もしあなたが「自分の名前って普通すぎてつまらない。何でもっと凝った名前じゃないのだろう」などと思っていたら、ぜひ本書をご一読を。
 「私の名前って、キラキラネームじゃん!」と、何だかウキウキしてくるだろう。
 (実は私もその一人。おっそろしいほど平凡な名前で「つまらないなぁ」と思っていたが、本書で大きな自信を得た。
  これは私の人生において革命的な出来事だ。)

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 さらに本書を読むと、「私たちの中にある、キラキラネームに対する変化」がわかりハッとする。

 一昔前まで「キラキラ認定」していた名前を、今は「キラキラ」と思わなくなっている。
 たとえば「心+漢字一文字」を、「ここ~」「み~」と読む名前。
 当代きっての大スターが、お嬢さんにそのような名前をつけた時には「えっ?」とおもったが、今ではフツーだ。

 また前出の「心愛ちゃん」も、最近はたいていの人が「ここあちゃん?」といきなり読める。
 乃愛ちゃんや結愛ちゃん、陽翔くんなども、今は「のあちゃん」「ゆあちゃん」「はるとくん」などとわりと読めてしまう。
 10年前だったら考えられないことだ。
 
 かように、私たちの「キラキラネームに対する意識」は、どんどん変化・寛容になってきているのだ。

 本書で「どんな名前もキラキラネーム(あるいはキラキラネームではない)」であることと、「キラキラネームだった名前がキラキラじゃなくなってきている時代の変遷」を知ることは、他人と向き合ううえで重要だと思う。

 今まで、名前を一瞥しただけで何らかのレッテルを貼られ、悔しい思いをしてきたい人もいるかもしれない。
 しかし「誰もが実はキラキラネーム」「今では読める名前も、ちょっと前まではキラキラネーム」だと皆が認識すれば、名前だけでふるいにかけられることはない。

 ある意味、「無知による差別」を防ぐことができる。
 本書のような本で「漢字の正しい知識」を吸収すれば、名前だけで誰かを切り捨てたり、いじめたり、不利な立場にたたせたりすることはグッと減るだろう。

 そんな寛大な本書だが、どうも「感字」だけは許せないようで・・・。
 たとえば名前に「腥」「胱」「惷」などの漢字をつける。
 これは漢字本来の意味を完全に無視し、「雰囲気」「感じ」だけで名前をつけてしまうケースである。

 名前に対し、極限まで寛大な姿勢を見せていた著者も、これはちょっと・・・とさすがに苦言。
 
 今、子どもの名づけに「漢字」ならぬ「感字」をつけようとしている人。
 役所に届ける前に、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。

 「危ないとこだった!」とヒヤリとするかもしれない。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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