杉下右京の事件簿  碇 卯人

 この地には昔から巨人伝説があるんですよ。<スコッチの神>と呼ばれていて、その巨人が現れた蒸留所のウイスキーはできがいいと伝えられています。ただし、不吉な話もあって、巨人が出た年には蒸留所の人間が誰か死ぬと言われているのです
(本文引用)
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 10月10日から、「相棒」Season11が始まった。
 新しい相棒を迎えた杉下右京の、さらに磨きがかかるフットワークと名推理ぶりが楽しみだ。

 さて、今回ご紹介するのは、ずばり「小説版・杉下右京」。
 ドラマ「相棒」のノベライズではなく、あくまでオリジナル小説という貴重な作品だ。
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 舞台はスコットランド。
 初代相棒の亀山薫が運転免許試験場に異動となり、相棒を失った右京はひとり旅に出る。
 かつてスコットランドヤードにもいた右京は、なじみのあるこの土地で骨休め。
 老舗のウイスキー蒸留所を訪れる。


 モルトウイスキーに目がないという右京は、霧が立ち込める蒸留所の地で楽しい時間を過ごすが、そこで働く一人の男が死んでしまう。

 実はその蒸留所では、以前からウイスキーが蔵開きされる年に、必ず人が死ぬという。
 果たしてそれは、事故か?事件か?
 数十年にわたり語り継がれてきた謎が、今、右京の手で暴かれていく!
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 隅から隅まで「杉下右京」一色の小説。
 ドラマの「相棒」では描ききれない、右京のジェントルぶりと博覧強記ぶりが実に味わい深く、熟成されたウイスキーの香りをよりいっそう豊かにしている。

 またドラマ以上に、逆転、逆転、また逆転の常識を根底から覆すトリックが明らかにされ、最後の1ページまで気が抜けない。

 読み始めは少々理解しにくいかもしれないが、途中、事件の概要や、何がどのように謎なのかが箇条書きにまとめられるといった心配りもなされており、頭を整理しながら読むことが出来るだろう。

 そして嬉しいことに、何と英国版「トリオ・ザ・捜一」らしき存在も登場。
 「捜査の邪魔をしないでくれませんかねぇ~」と言いたげな金髪碧眼のイタミン。
 右京の鋭い質問に、思わずペラペラしゃべってしまう西洋の芹澤。

 このような「相棒」本来の味を損なわない設定も見どころだ。

 英国がシャーロック・ホームズなら、日本が世界に誇る名探偵(探偵ではないが)は、誰が何と言おうと杉下右京と確信できる一冊。

 本書にはもう一編、奄美大島を舞台としたストーリーも収録。
 秋の夜長、推理の美酒に酔いしれたい方は、ぜひどうぞ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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