このミス大賞受賞「怪物の木こり」感想。本当の怪物は犯人ではなくて・・・。

評価:★★★★☆

 怪物の木こりはただの木こりとして生きてみたくなりました。
(本文引用)
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 「2019年 このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
 選考委員がこぞって「ぶっ飛んでる」「スリリング」「勢いがある」と絶賛。

 実際に読んでみて・・・まさかここまで「ぶっ飛んでる」とは思わなかった。
 宮沢りえちゃんのドラマじゃないが、思わず「ぶっとび~!」と叫んでしまった。(古いネタですみません)。

 本書はタイトル通り、「怪物」が登場する。
 人の皮をかぶったモンスターが出現し、事件を起こす。

 しかし読むうちに、ふと思った。

 本当の怪物は、著者・倉井眉介なのでは?と。

 ミステリー界にこれほどの新風を吹き込んだのだ。
 ガツンと巨大な石を投げ込んだのだ。

 倉井眉介氏こそ、紛れもなく怪物だ!


 
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■「怪物の木こり」内容



 弁護士・二宮彰は弁護士。
 しかし彼には別の顔がある。

 実は彰は何人も人を殺している。
 人間らしい感情が著しく欠けているのだ。

 ある日、彰は謎の人物に襲われる。
 犯人は怪物マスクをかぶった人物。
 
 怪物マスクをかぶった人物は、彰にこう叫ぶ。

 「お前ら怪物は死ぬべきだからだ」


 怪物に怪物と言われ、納得のいかないまま彰は斧で頭部を殴られ入院。

 犯人は、彰に恨みをもつ人物か?

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 しかし怪物による襲撃事件は、その他にも発生。
 
 真相を追ううちに、彰はじめ被害者に「ある共通点」が浮上する。

 そして過去に起こった、連続児童誘拐事件にたどりつき・・・?
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■「怪物の木こり」感想



 人を何人も襲う怪物が、「お前ら怪物は死ぬべき」と叫びながら人を襲う。
 
 つまり本書の事件は「怪物の、怪物による、怪物のための犯行」という異色のものだ。

 新人作家ということで、ベテランに比べると粗削りな面もある。

 しかし目の付けどころが、とにかく斬新。
 SF的要素もあいまって、瀬名英明氏の「パラサイト・イヴ」を読んだときのような衝撃を受けた。

 文章やセリフのテンポが良く、ポンポンスイスイ読めるのも大賞受賞の勝因だろう。
 だがやはり、本書はアイデアが光りまくってる。
 
 途中で「童話調の文体」が入って来るのも、実にいい。

 童話は時に、大人の本よりシュールで残酷だ。
 「怪物の木こり」は、「三匹のやぎのがらがらどん」のような童話口調を挟むことで、さらに不気味さを増している。





 そして、童話要素を絡めているからこそラストがグッとくる。

 超絶に猟奇的なのに、後味爽やか、ホッとハートウォーミング。
 最初は読み切れるか不安になるほど気味悪かったが、気がつけば読了。
 しかも「いい話だなぁ」などと、読みはじめからは想像もつかない気持ちがわいていた。
 
 まあ、何人も人が殺されているので「いい話」ではすまされないが・・・。

 アイデアのぶっ飛びぶり、常軌を逸した猟奇性、それなのになぜか「ホッコリあたたか」で着地。
 
 どう考えても、いちばんの怪物は著者・倉井眉介だ。

 ぜひ次回作も読んでみたい。

 怪物がどんどん熟練し、ミステリー界をひっかきまわすのが楽しみだ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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