「モンスターマザー」レビュー。子どもを殺すのは暴力・ネグレクトだけではない。もうひとつの虐待とは?

評価:★★★★★

このゆがんだストーリーにおいては、裕太君を救おうと懸命になった者ほど、理不尽な非難を浴びる羽目になっていたのである。
(本文引用)
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 「虐待とは、殴る蹴る、ネグレクトだけじゃないんだな」
 本書を読み、呆然とした。

 子どもを死に追いやるのは、直接の暴力や育児放棄だけではない。
 
 親の攻撃対象が子どもでなくても、子どもが死んでしまうことがあるのだ。

 「親が子どもを攻撃してないのに、子どもが死ぬ? それ、どういうこと?」

 そう疑問に思った人は、ぜひ本書を読んでみてほしい。

 「世の中には、こんな虐待もあるのだ」と驚愕することだろう。



 そしてそれは決して他人事ではない。
 自分もいつ、このような“事件”に巻き込まれるかもわからないと、背筋が凍ることだろう。
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■モンスターマザー」内容



 ある日、男子高校生が自殺をする。

 彼は高校でバレーボールに励み、部員との関係も良好だった。

 しかし彼は自殺をした。

 原因は「部員によるいじめ」という。

 しかし本当に彼をいじめていたのは、部員ではなかった。

 実は 「いじめがあった」と喚き散らした母親こそが、真の加害者。

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 母親は、息子の友人や高校に対し執拗に攻撃。
 弁護士も母親の言うことを鵜呑みにし、「校長を殺人罪で提訴」という異例の動きに出る。
 
 そんな日々が続き、教職員や、部活の仲間・保護者たちは脱毛症を患うほど追い詰められる。

 男子高校生を守ろうとした人物ほど、攻撃される理不尽な日々。
 果たして真実を明かされる日は来るのか? 
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■「モンスターマザー」感想



 以前「でっちあげ」で衝撃を受けたため、本書も読んでみた。
(「でっちあげ」のレビューはこちら
 
 事実がねじまげられ、学校・友人・関係者家族が壊される過程は同じだ。
 
 しかし「モンスターマザー」のほうが、より恐ろしい。

 その理由は、「いかにもありそうなこと」で「子どもが死んでしまう」ことを示しているから。

 親が、子どもを思うあまりに暴走すると、子どもはどんどん追い詰められる。
 しかし親は一向に、子どものSOSに気づかない。

 なぜなら、自分は「正しいことをしている」と思い込んでるから。




 「あなたのためにしたことなのに、何がいけないの?」・・・その考えが横暴であることに、気づきもしない。

 だから子どもはゆでガエルのように、深く静かに心が蝕まれていく。
 次第に「この世にはもう、いたくない」と思うようになっていく。

 本書は「親が正しいと思い込んでいる行動」が、時として「子どもを殺す」ことを明確に示しているのだ。

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 現在報道されている「虐待」は、「殴る蹴る等の暴力」「飲食させない育児放棄」「性的虐待」などが多い。
 そのようなニュースを聞くたびに、「わが家は虐待していない」と胸をなでおろす人もいるだろう。

 しかし本書を読むと、そんな呑気な気持ちでいられなくなる。

 「私が子どものためと思っている行動は、本当に子どものためなのか? 私のためではないのか?」
 「子どもが本当に望んでいること、生き生きとしている場面を、私はわかっているか?」
 「子どもを攻撃していなくても、子どもが愛しているものを攻撃していないか?」

 どんな親でも、これらの疑問に自信をもって答えられる人はいないだろう。
 だから本書は恐ろしい。

 虐待事件で報じられるような「異常な親」でなくても、間接的に「子どもを殺す親」になる可能性は、誰もが秘めているのだ。
 
 確かに本書のモンスターマザーほどの人間は、そうそういないだろう。

 彼女は子育てに限らずあちこちで常軌を逸したトラブルを起こしている。
 息子に対しても養育が行き届かず、異常な暴言を吐くこともたびたびあった。
 よって、「誰もが彼女のようになる可能性がある」とは言えない。

 だが、モンスターマザーと息子さんとの関係は、親としてとうてい他人事とは思えない。
 

「あの遺書は、『お母さんがやだので死にます』と普通に読める。そこから推測してほしい」


 自分の一挙手一投足で、子どもがそんな遺書を書く可能性は、いくらでもあるのだ。

 今、連日虐待事件が報道されている。
 聞くたびに「なぜ救えなかったのか」と胸がつぶれる思いだ。

 だから本書は、今読むべき一冊。

 子どもを殺すのは、殴る蹴るの暴力、育児放棄だけではない。
 子どもを殺すのは、子どもを攻撃した時だけではない。

 殴らなくても蹴らなくても、食事を与えても、子どもを攻撃しなくても・・・。
 
 「生きているのが辛い」と子どもに思わせてしまったら、それは立派な虐待になる。

 本書を通して、それを知るだけでも、1人でも多くの子どもが救われるだろう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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