フェルミ推定力養成ドリル

 実際に鮫の襲撃について心配する必要があるでしょうか。航空機で幼児をチャイルドシートに座らせる必要があるでしょうか。これらの問題に解答していくと、政治家やセールスマンによる、私たちに対する不合理な脅し戦術について理解できるはずです。
 (第11章「リスク」タイトル文引用)
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 最近、「Googleがほしがるスマート脳のつくり方」が売れている。
 これは、現在「世界一の頭脳集団」といわれるGoogleの入社試験とその解法が書かれている本だが、それと併行してぜひチャレンジしていただきたい問題集がある。
 
 それが「サイエンス脳のための フェルミ推定力養成ドリル」だ。

 フェルミ推定とは、一見、見当もつかない事象について予測を行うことだ。

 なかでも有名なのが、この問題。

 「ロサンゼルスにはピアノの調律師が何人いるか」


 そう聞いて、まずはタウンページを開くというのも手だが、それじゃつまらない。
 自分の頭だけで、その数を弾き出してしまおうじゃないか、というのがフェルミ推定なのである。




 いったいどこから手をつければいいかわからないかもしれないが、息を深く吸って、順を追ってゆっくり考えていけばわかる。

 それにはまず、「ロサンゼルスの人口」「フルタイムの労働時間」など基本的な知識が必要だ。

 そしてそれに加えて求められるのが、見当をつける力。
 フェルミ推定とは、ピッタシカンカンの数字を当てることではない。「当てずっぽうの推量よりはずっと近い値」を出すということがポイントだ。

 たとえばピアノの台数については、主な所有者のひとつである「学校」は、生徒約500人について1台置かれていると考える。
 このようにして順序立てて考えていくと、おおよその数値(しかし当てずっぽうよりはずっと正確な値)が導き出せるという寸法だ。

 他にも本書には、
 「地球の赤道上にゴルフボールをぐるりと1周並べたら、ボールはいくつ必要か」
 「全人類のDNAの長さはどのぐらいか」

 など、解けそうで解けない、でもやっぱり解けてしまう問題がズラリ。
 
 1問1問について実に詳しい解説が載せられているのも、本書の大きな魅力だ。

 ちなみに冒頭に挙げた引用文は、「海で鮫に殺されるリスクと、車で海へ出かけて死亡するリスクはどちらが高いか」といったリスク算出問題に寄せられたものだ。

 このような問題に触れることで、我々は自分自身に問うだろう。

 無駄な保険に入らされているのでは?
 無用な情報に翻弄され、枯れ尾花に脅えているのでは?

 たとえ厳密ではなくても、ちょっとフェルミ推定的に頭をひねってみるだけで、私たちはとんでもない過ちを犯さずにすむかもしれないのだ。

 いやそれほど深刻にならなくとも、本書を読むと、自分の体の指1本から宇宙レベルの出来事を推定できることに驚き、心底ワクワクする。
 この本にザッとでも目を通すと、読む前に比べて、世界がずっとカラフルに見えてくるだろう。

 フェルミ推定とは、一流企業への就職だけでなく、楽しい生き方をも伝授してくれる魔法の思考法なのである。

 ※まあ御託はいいから、とにかく問題を解いて解いて解きまくりたい!というマニアックな方(私もその一人)には、間違いなく満足度200%の1冊。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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