「82年生まれ、キム・ジヨン」感想。100万部突破も納得!だって誰もが加害者・被害者だから・・・。

評価:★★★★★

「女があんまり賢いと会社でも持て余すんだよ」
(本文引用)
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「でもね、世の中にはいい男の人の方が多いのよ」

 作中、親切な女性が主人公にこう語りかける。

 つきまとい男性から主人公を救い、「あなたが悪いんじゃない」「世の中にはおかしな男の人がいっぱいいる」と言った後、こう語りかけたのだ。

 私も「その通り」だとは思うが、本書を最後まで読んでいたら・・・「いい男の人って、そんなに多いの???」と心底不安になってきた。


 
 さすがにストーカーや性的暴行、あからさまなセクハラ等をする男性はごく少数だ。
 「誰のおかげで飯が食えてるんだ」と怒鳴る男性もわずかであろう。

 しかし本書に書かれている「あんな差別、こんな理不尽」を一つも犯していない男性など、この世にいるのだろうか?
 
 主人公が味わった様々な屈辱を、一つも経験していない女性はおそらく皆無。

 それと同様に、ほとんどの「まともな男性」も、一つぐらいは「やらかしてる」はず。
 無意識・無自覚のうちに、女性の心と体を傷つけているのだ。
 
 本書は「女性向け」と思われそうだが、男性こそ読むべき。

 特に「僕は女性差別などしていない」「育児に参加している」「女性の味方」と自信を持っている人ほど必読。
 
 「あれ・・・?もしかして僕、ひどいことしてたかも・・・あわわわわ・・・!」とショックで倒れるかもしれない。
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■「82年生まれ、キム・ジヨン」あらすじ



 キム・ジヨンは昨年女児を出産。
 出産に伴い仕事を辞め、大規模団地で育児に励んでいる。

 家族3人で平和に暮らしていたが、ある日、ジヨンの行動に異常が。

 まるで別人がのりうつったような奇行が、目立ちはじめたのだ。

 夫デヒョンがジヨンを精神科に連れて行くと、産後うつ・育児うつを発症した様子。

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 医師がジヨンの言葉に耳を傾けると、そこには驚きの事実が。
 ジヨンの半生は、「女性」というだけで受けた仕打ちの連続だったのだ。
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■「82年生まれ、キム・ジヨン」感想



 「82年生まれ、キム・ジヨン」は韓国で100万部を突破、映画化も決定している大ベストセラーだ。

 しかし本書は日本で書かれても、大ヒットしたことだろう。

 なぜなら本書で描かれている性差別は、珍しいことではないから。
 誰もが思い当たる、「あるある」なことばかりだからだ。

 例えばこんな例。

 女の子を産んだら、「次は男の子」と言われた。
 妻がいくら頑張っても、なぜか全て「夫の功労」。
 子どもの頃、男子にいじわるされて困っていたら、周囲に「あなたのことが好きなのよ」と諭された。
 出席番号が男子のほうが先。
 女子の制服は動きにくくて暑い。
 男子が勝手に「自分に気がある」と思い込み、つきまとってくる。
 進路選択の際、女子というだけで大学・学部の方向性を変更させられる。
 男性と付き合った経験があるというだけで、中古品扱い。
 会社でいつの間にかお茶くみ係になっている。
 義両親との確執について、「子どもが産まれれば解決する」と言われる。
 共働きでも、結局、母親のほうがやることが多い。
 男性に、出産を軽く見られる。
 産休ギリギリまで働くことについて嫌味を言われる
 「専業主婦はいいよな」といった言葉を投げつけられる・・・etc.

 ジヨンが経験した数々の女性差別。
 誰もが1つや2つ、思い当たるのではないだろうか。

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 そしていよいよ終盤では、犯罪レベルの「性差別事件」が発覚。
 
 その事件の影響で、気が狂いそうになった女性や、睡眠薬を飲んで救急車に運ばれた女性も出てしまう。
 
 にも関わらず、男性は「悪いことをした」という自覚がなく、「家庭があるから~」と逃れようとする。

 この究極の男女不均衡にも、「確かに!」と納得。
 まだまだ世の中、意識の底には「男性優位」が横たわっているのだな・・・と愕然とした。

 本書は過激なセクハラのみを扱っているわけではない。
 日常生活にすっかり浸透していた性差別を、1つひとつピンセットで抽出するように、世に見せつけている。

 だから本書は人々の目を覚まさせる。
 「考えてみればおかしいよね」と、無意識の罪に気づかせる。

 100万人以上の人々が読み、話題を巻き起こすのも当然のこと。
 読まれるべくして読まれている本なのだ。

 「82年生まれ、キム・ジヨン」が日本でもっと読まれたら、何かが大きく変わる気がする。

 医学部入試、人事採用、セクハラ、子育て、「女性をモノとして扱う」雑誌の特集・・・。

 本書が広がることで、男も女も「これっておかしいんじゃない!?」と声をあげやすくなるだろう。

 まるで、ジヨンの友人が先生に抗議したように。

 「この服装がどんなに不便だか、しっかり教えてやったんだよ」



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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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