「未来をはじめる 人と一緒にいることの政治学」感想。この講義こそ世界を変える一歩だ!

評価:★★★★★

自分が自分らしくありながら、他人とつながるにはどうしたらいいか。自分が自分のボスでありながら、同時に周りの人とも意味のある関係を保っていくにはどうしたらいいのか。これこそ、すべての人にとって重要な課題であると同時に、政治が本質的に抱える課題なのです。
(本文引用)
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 「この本こそ、この講義こそ世界を変える一歩だ!」
 読みながら、私は叫んだ。

 本書は豊島岡女子学園で行なわれた、政治学の講義である。
 
 政治といっても、日本や世界だけには限らない。
 家庭や教室等さまざまな場の「政治」をとりあげていく。

 人が周囲とつながる時、必ず対立・衝突・すれ違いが起こる。
 ならばどうすれば、他者との違いを受け入れながら、自分らしく生きることができるのか。

 本書では中高生への講義を通して、「人と一緒にいること」「人と共に生きること」を徹底討論。
 
 次代を担う若者たちができることとは?


 

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■「未来をはじめる 人と一緒にいることの政治学」内容



 本書では、中高生とともに「政治」について考えていく。

 日本と世界はどのように変化してきたか。
 グローバリズムの進行と衰退。
 資本主義と社会主義のメリット・デメリット。
 今後の労働・雇用。
 女性が活躍する社会とは?
 教室から見える「人とのつながり」。
 選挙制度の問題点等々・・・。

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 政治学者・宇野重規氏が生徒たちの意見を丁寧に拾い上げながら、講義を進行。

 生徒たちの忌憚のない意見から、「未来を始めるヒント」が徐々に見えてくる。
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■「未来をはじめる 人と一緒にいることの政治学」感想



 本書最大の魅力は「政治」について「ホンネ」で考えられること。
 読みながら、「私ならこんな政治がいい!」「こんな社会はイヤ!」と、むき出しの気持ちで考えられることだ。

 たとえば面白いのが、ロールズの「正義論」を題材にした講義。
 米国の政治哲学者・ロールズは、かつて「最も恵まれない人に最大限の利益が与えられるべき」と唱えたという。
 社会的・経済的に不平等が生じるのは、ある程度仕方がない。
 しかし「最も恵まれない人の利益最大化」が大前提。

 公正な社会をつくるには、「最も恵まれない人の利益を最大化する」ことが必要だ、とロールズは主張する。

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 本講義では、そのロールズの主張に関して議論が白熱。
 
 ・身体的なハンディがある場合は仕方がないが、自業自得の場合は?
 ・努力不足で「恵まれない人」になった場合と、そうじゃない場合をどうやって見分けるの?
 ・教育なら全員受けられるようにしないといけないけど、自分でやらかした人もいるだろうし・・・。
 ・給料がみんな同じだったら、頑張ってる人の士気が下がるのでは?
 
 生徒たちは口々に、ロールズの主張に対し意見を述べていく。

 多くの生徒が「最低限の生活・教育は保障されるべき」と思いながらも、「自業自得の人」と「仕方のないハンディがある人」との区別が難しい、と主張。
 
 そこから「税負担の公平性の難しさ」にまで、講義は進展。
 日本人の、税に対する「謎の思考」が露呈されていく。

 このロールズの主張に対する討論には、心底シビれた。
 ビリビリきた。

 まさにこの講義・討論こそが、未来を作るのだ。

 ただ挙手や多数決で民意をはかるのではなく、本音で意見を交わしていく。
 共通意思や「場の空気」に押し流されることなく、自由に主張し、それを受け入れながら他者とつながっていく。

 大人からすれば「そんなこと言っちゃっていいの?」とハラハラするような言葉が多いが、それこを「未来を始める原動力」となるのだ。

 本書の講義・議論を読み、自分がいかに思考停止していたかがよ~くわかった。
 「よく考えたら、この制度、おかしくない?」という気づきをたくさん得られた。

 宇野先生と豊島岡女子学園の生徒たちの「ホンネの議論」は、人々の意識を変え、日本を変え、世界を変える起爆剤となるだろう。

 巻末の「放課後の座談」も必読。

 政治ってなんだかめんどくさい、LINEでポチッだけにしたい。
 でもいざ、クラスで話し合いがまとまらなかったら、どうする?

 そんな小さな「政治」について、生徒たちは実感たっぷりに話してくれる。いや~、実に面白い!

 こんな講義・座談会を読んじゃったら、選挙に行きたくなること必至。

 「投票に行くこと、政治に参加することこそが、自分が自分であることなんだ!」
 
 そう思いながら、スキップで投票所に行っちゃうかも。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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