角幡唯介「探検家の日々本本」感想。ブックガイド最高峰の面白さ!本好きの人は読んだら危険。

評価:★★★★★

 この際だからはっきりと言っておこう。人生をつつがなく平凡に暮らしたいのなら本など読まないほうがいい。しかし、本を読んだほうが人生は格段に面白くなる。
(本文引用)
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 本好き危険!
 読んだが最後、全ての本を買いたくなり、気づけば家計は火の車となるだろう。

 冒頭に挙げた引用部分を借りて、私はこう進言する。

 この際だからはっきりと言っておこう。
 人生をつつがなく平凡に暮らしたいのなら「探検家の日々本本」は読まないほうがいい。
 しかし、「探検家の日々本本」を読んだほうが人生は格段に面白くなる。


 「極夜行」で一気に脚光を浴びた角幡唯介氏。
 彼はどんな本に影響され、どんな本を探検先に持ち込んでいるのか。


 書籍代で懐がスッカラカンになる覚悟がある人、あるいはお金がありすぎて困ってる資産家の人は、ぜひ読むべき。
 節約中の人は、読んだら人生最大の危機の陥るかもしれない。

 何しろこのブックガイド、メチャクチャ面白いんだから!
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■「探検家の日々本本」要約



本書は探検家・角幡唯介氏による、読書エッセイ。
 
 どんな本と出会い、探検家になったのか。
 どんな本に影響され、あの探検・行動に至ったのか。
 探検中、どんな局面であの本・この本を読んだのか。
 そして、探検をやめられないのは、どんな本を読んだせいなのか・・・。

 読書履歴からまざまざと現れる、探検家・角幡唯介の「頭ん中」「心ん中」、そして「人生観」とは?

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■「探検家の日々本本」感想



 本書はブックガイドとしては、あまりに異色すぎる存在だ。
 
 だって感動した本を、読んだ後、焚火にくべちゃうのだ。

 雪男捜索中に、あれほど夢中で読んだ本。
 その本の著者の作品を、もう二度と読まないと言いきっちゃうのだ。

 さらに周囲が「えっ?」と眉をひそめる行動を、本のせいにしちゃうのだ。

 読めば読むほど「ンなアホな」と言いたくなる行動が、あっちこっちにある。

 だからこそ、本書は麻薬のような魅力がある(麻薬を吸ったことないけど)。
 紹介された本を、超猛烈に読みたくなる。

 なかでも印象的なのは、次の3冊。
 金原ひとみ著「マザーズ」、サマセット・モーム著「月と六ペンス」、中島京子著「小さいおうち」だ。

  


 まず「マザーズ」と「月と六ペンス」の書評からは、探検家・角幡唯介の「核」が見えてくる。

 人生の三大北壁「就職・結婚・育児」を乗り越えて、なぜ角幡氏は探検をやめないのか、やめられないのか。

 「普通の生活」という圧力から、探検をやめる者が多いなか、なぜ角幡氏はなおも探検を続けるのか。
 
 その理由を角幡氏は、「マザーズ」と「月と六ペンス」を挙げながら告白する。
 
 こう書くと、「探検家ってやっぱかっこいいー!就職や結婚でやめた探検家って、なんか弱いって感じっすよね」と言いたくなるかもしれない。
 
 しかしそう思うのは早計だ。

 はっきり言って、角幡氏が言う「探検をやめない理由」は無茶苦茶だ。
 「本を紹介しながら、自分の行動を正当化しているだけじゃないか!」と憤りすら覚える。

 だからこそ、本書は強烈に面白い。
 「本って、ホントに人生を狂わせちゃうんだ!」と心底思え、ますます本が好きになる。
 紹介された本を、どれも読みたくなってしまうのだ。

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 中島京子「小さいおうち」の書評も秀逸。
 探検家の手にかかれば、探検とはほど遠い小説も「探検小説」なってしまう。

 戦時下という状況にあっても、おうちのなかでは、戦争を感じさせない小さな幸せや、小さないざこざがある。
 その「大状況」と「小状況」のズレを、角幡氏は己の「雪崩体験」と重ねていく。

 「小さいおうち」は私も大好きな小説だが、まさか「雪崩体験」と重ねる人がいようとは・・・!
 探検家ならではの視点に、私は風邪で寝込んだ布団のなかで「う~ん、これはすごい!」と悶絶しながらうなった。

 私はますます探検家・ノンフィクション作家、そして読書家・角幡唯介氏が好きになった。
 そして本書の言葉をそのまま、角幡氏に贈りたい。
 

私のような凡庸な人間が持っている物差しで理解できるような人物ではない。

 

いいなあ。天才って。


 
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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