「幽霊人命救助隊」(高野和明)感想。人生最後に読みたい一冊。その理由とは?

評価:★★★★★

 「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである」
(本文引用)
______________________________

 「人生最後に食べたいものは?」
 そんな質問をしばしば見かける。
 
 ではこう聞かれたらどうだろう。

 「人生最後に読みたい本は?」

 私なら「幽霊人命救助隊」を挙げる。

 ちなみにこの「人生最後」とは、自分で時限設定している場合だ。

 もう生きているのに疲れた。生きていても仕方がない。辛い。死んだ方がまし。死ぬしかない。よし死のう。



 そんな思いが頭をもたげ、「最後の一冊」を選ぶなら、私は力をふりしぼって「幽霊人命救助隊」を手に取る。
 だから書棚のいちばん目立つところに、私は本書を置いている。

 そしてもし誰かが人生に疲れていたら、私はこの本を書棚から取り、そっと差し出しすことだろう。
 「1日だけ時間をくれませんか? この本を読む時間だけでいいから・・・」

 どんなにおせっかいと思われても、私は本書を押しつけるように手渡したい。

 「幽霊人命救助隊」を「最後の一冊」にさせないために。

___________________________

■「幽霊人命救助隊」あらすじ


 
 裕一は大学受験に落ち、首つり自殺をした青年だ。
 しかし天国に行けず、下界と天界をさまよっている状態。

 見れば他に、3人の男女が。
 彼・彼女たちはいずれも自死した人間だ。

 そこに神が降臨し、裕一ら4人にある指示をする。

 7週間(四十九日)以内に、下界で100人の命を救助せよ。

 裕一らはオレンジのレスキュー服に、ゴーグル、メガホン、携帯などを持たされ、いざ下界へ。

3e7571681ea7a09e2f67de2aaee4d608_s.jpg


 「自殺しそうな人」を見つけ出し、あの手この手で自殺を思いとどまらせるが?
 ____________________________

■「幽霊人命救助隊」感想



 あらすじだけ読むと、非常にコミカルな小説に見えるだろう。

 なかには「死を軽く考えている」と憤る人もいるかもしれない。

 しかしこの小説、実際に読むと驚くほど真面目で高度。

 「自殺の動機」別に「有効とされる自殺予防策」が非常に緻密に書かれており、「ただのフィクション」と一線を画している。
 
 素人はともすると、心を病んでいる人をますます追い詰めがち。
 励ますつもりが、全く逆効果の言葉をかけ、死に至らしめることもある。

 本書はそんな危険を回避してくれる一冊。
 医学的見地に基づいた自殺予防策をしっかり提示しており、物語を楽しみながら「効果が望める自殺予防策」を学ぶことができる。
 
 「人生に疲れている人を助けたい」
 「人生に疲れてきた。どうにかしたい」

 そんな人にとって、本書は至高の人命救助マニュアルだ。

280e75547db956a5662bf210cfb2ba7d_s.jpg


 ちなみに著者・高野和明氏は「"自殺予防小説の難しさ"『幽霊人命救助隊』の創作過程について」という論文を学術誌に寄稿している。

 「幽霊人命救助隊」の内容が高度なのも納得だ。

 それにしても「高野和明」という作家は、改めて「タダものではない!」と確信。
 ユーモラスな筆致で、「自殺」という繊細な内容をここまで重厚に書けるとは、ただただ尊敬の一言。

 高野和明氏は文才云々以上に、人間力が非常に高い人なのだろう。
 そして、こういう人を「真の小説家」というのだろう・・・。

 いよいよ年末。
 世の中が年明けに向かうなか、明日すら見えず、不安につぶされそうな人もいるだろう。

 でも、もし1日か2日だけでも時間があったら、ぜひ「幽霊人命救助隊」を手に取ってほしい。

 立ち上がる力がなかったら、寝転がってでも本書を読んでみてほしい。

 読み切れそうになかったら、最後の数ページだけでもいい。

 「人生最後」の力をふりしぼって、ぜひ読んでほしい。

詳細情報・ご購入はこちら↓
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告